経営戦略説明会を開催
シャープ、「地産地消」で海外生産にシフト − 堺工場の今年10月稼働も決定
■液晶事業 − 第10世代の液晶パネル堺工場、今年10月に稼働へ
また液晶事業の取り組みとして、大阪府堺市に建設中の液晶パネル新工場について言及。「かねてより堺新工場の早期立ち上げを目指してきたが、今回量産化の検証が完了したことから、今年10月に稼働を開始する。堺工場では世界初の第10世代マザーガラスを採用し、21世紀型の垂直統合事業を展開していく」と説明。
また流通在庫の圧縮を積極的に進めたことが原因で、現在亀山第2工場はフル稼働状態であるといい、「今後の旺盛な需要に対応するため、稼働時期を早めた。市況はまだしばらくは予断を許さない状況。この状況下で最もコスト競争力を持つ工場を立ち上げることが事業にとって必要なことだと判断した」と述べた。
■大きな成長が見込める太陽光発電事業
太陽光発電事業は片山氏が大きな成長が見込めると期待する分野。「太陽光産業が自立型産業となるためにはグリッドパリティーの実現が不可欠。このため、薄膜太陽電池ビジネスの拡大を行っていく。また薄膜太陽電池自体についても変換効率の向上を図り、アモルファス1層からトリプル型までの技術革新を行う。堺工場では当社のオンリーワン技術を投入し、トリプル型を生産予定で、変換効率10〜13%を目指していく」という。
そのほかの主要事業としては、携帯電話事業は中国を中心にグローバル展開を推進することを説明。また健康・環境環境事業ではAV事業などで培ったスパイラル展開を持ち込み、プラズマクラスター事業、ソーラー応用商品事業、LED照明事業などについて、垂直統合モデルを進化させる方針などが紹介された。
以下、経営戦略説明会で行われた質疑応答をご紹介する。
Q: 中国事業の現在の位置づけと、今後の事業の見通しについて教えて欲しい。
A: 報道されている通り、シャープにとっても中国は拡大している市場。直近でも大きく拡大し、液晶テレビや携帯電話の販売が増えている。パネル販売事業でも引き合いが急激に増えている。旺盛な市場の拡大は今後も進んでいくのでは。日本にとっても重要であり、当社としても重要であると考えている。
Q: エンジニアリングビジネスについて。液晶テレビは世界5極体制をとっているが、今回発表したビジネスモデルは、具体的にどの地域でどのように展開するのか。
A: 為替の変動に左右されない事業展開をするためには、地産地消が重要になる。投資についても、消費地での投資に切り替えていきたい。太陽電池ではエネル社とジョイントベンチャーを組んだが、これはイタリアでは工場を単独で作れないと判断したためだ。液晶でもパートナーを探し、時間をかけてでもじっくりと話し合いを進めていきたいと考えている。
Q: パイオニアとは今後どのような協業を考えているか。
A: パイオニアさんとは、テレビとカーナビ製品に我々のパネルを供給するという考え方でやってきた。現在はカーナビ用に絞って供給している。また光ディスクの技術力が高いので、現在当社が力を入れているBD分野においての協業などについて検討していきたいと考えている。
Q: 亀山第2工場がフル稼働という話があったが、一時は3割程度まで落ちたと聞いているがいつ頃需要が戻ってきたのか。
A: みなさん驚かれたと思うが、この2週間から1ヶ月の間で急激に受注が増えだし、足りない状況になったのは事実だ。ざっくり言うと、稼働率は一時期半分程度まで落としていた。そこからフル稼働になったというのは、在庫を圧縮したからだ。通常であれば7〜8月から需要が拡大してくるので、10月から堺工場を立ち上げないと全く足りない状態だ。
Q: 10月の稼働はシャープ単独で行うのか。
A: ソニーさんとの合弁会社は来年の春に合弁会社を立ち上げるという話が進んでおり、6月までに契約をするという予定に変わりはない。10月はシャープ単独での立ち上げになる。
Q: 海外でパートナーを見つけ、合弁としてやっていくということだが、これまでのような機動的な投資がしづらかったり、相手との意志決定の摺り合わせが必要になるなど、今後様々な問題が出てくると思うが、どのように乗り越えていくのか。
A: ご指摘のように、自分でお金を投資すれば非常に楽だが、文化が違う相手と一緒にやっていくにあたり、立ちはだかる課題を乗り越えるためには、シャープ自身が変わらなければいけない。はっきりしているのは、第6世代の工場、第8世代の工場などは自分たちで設備から作り上げ、技術的なことに一番詳しいのは我々だということ。自ら進んで世界中に出て行くことで、他メーカーも世界に進出するのではないかと期待している。
Q: 地産地消との関連で、一部報道では、亀山第1工場を海外に売却するという話もあった。
A: 「世界5極」なので、残り4極に我々の工場を造りたい。一から設備を作ると言う方法もあるが、市場によっては20インチ台などの製品が受け入れられる可能性がある。そういう意味では、亀山第1工場の資産が活きる可能性もあると考えている。
Q: 関税の問題について。
A: 新興国は関税制度がきちんと整備されていない。経済状況が厳しい中、地産地消のようなことを薦めている政府もある。我々としては極力インサイダー化してやっていきたい。
Q: 同時に建設中の、太陽電池工場の立ち上げ見通しと、今後の需要見通しについて教えて欲しい。
A: 太陽電池については、堺工場ではさらに変換効率を上げる必要がある。このために東京エレクトロンさんと一緒にやっている。装置の目途、プロセスの目途、需要の目途が立った状態での立ち上げになる。ただし少なくとも来年3月までには稼働できると考えている。
Q: 堺工場では新しい技術を導入しているということだが、具体的な内容を教えて欲しい。
A: 詳しいことは言えないが、堺工場から出てくるパネルを楽しみに待っていて欲しい。ワクワクするような液晶が出てくると思う。
Q: 携帯電話について、国内と海外、それぞれの市場をどう考えているか。
A: 国内市場は、考えた以上に市場が小さくなってしまった。2009年度もあまり期待できない。海外に目を向けても、先進国はあまり良くない。新興国は順調に伸びている。中国にハイエンド商品を昨夏投入したが、マーケティング活動がうまくいっている。今春からエントリーモデルを投入し、規模を拡大していく。またスマートフォンを、少なくとも2010年には欧米でも展開したい。
Q: 総経費2,000億円の削減はなかなか大変なことだろうが、昨年下期でどのくらいの結果が出たか。
A: 2009年度の予算から既にこの経費削減を盛り込んでいる。
Q: キャッシュフロー重視の経営になるが、今後の投資を行うための施策と考えて良いのか。
A: 来年度はさらに、投資と在庫を絞ってキャッシュフローを改善していきたい。
また液晶事業の取り組みとして、大阪府堺市に建設中の液晶パネル新工場について言及。「かねてより堺新工場の早期立ち上げを目指してきたが、今回量産化の検証が完了したことから、今年10月に稼働を開始する。堺工場では世界初の第10世代マザーガラスを採用し、21世紀型の垂直統合事業を展開していく」と説明。
また流通在庫の圧縮を積極的に進めたことが原因で、現在亀山第2工場はフル稼働状態であるといい、「今後の旺盛な需要に対応するため、稼働時期を早めた。市況はまだしばらくは予断を許さない状況。この状況下で最もコスト競争力を持つ工場を立ち上げることが事業にとって必要なことだと判断した」と述べた。
■大きな成長が見込める太陽光発電事業
太陽光発電事業は片山氏が大きな成長が見込めると期待する分野。「太陽光産業が自立型産業となるためにはグリッドパリティーの実現が不可欠。このため、薄膜太陽電池ビジネスの拡大を行っていく。また薄膜太陽電池自体についても変換効率の向上を図り、アモルファス1層からトリプル型までの技術革新を行う。堺工場では当社のオンリーワン技術を投入し、トリプル型を生産予定で、変換効率10〜13%を目指していく」という。
そのほかの主要事業としては、携帯電話事業は中国を中心にグローバル展開を推進することを説明。また健康・環境環境事業ではAV事業などで培ったスパイラル展開を持ち込み、プラズマクラスター事業、ソーラー応用商品事業、LED照明事業などについて、垂直統合モデルを進化させる方針などが紹介された。
以下、経営戦略説明会で行われた質疑応答をご紹介する。
Q: 中国事業の現在の位置づけと、今後の事業の見通しについて教えて欲しい。
A: 報道されている通り、シャープにとっても中国は拡大している市場。直近でも大きく拡大し、液晶テレビや携帯電話の販売が増えている。パネル販売事業でも引き合いが急激に増えている。旺盛な市場の拡大は今後も進んでいくのでは。日本にとっても重要であり、当社としても重要であると考えている。
Q: エンジニアリングビジネスについて。液晶テレビは世界5極体制をとっているが、今回発表したビジネスモデルは、具体的にどの地域でどのように展開するのか。
A: 為替の変動に左右されない事業展開をするためには、地産地消が重要になる。投資についても、消費地での投資に切り替えていきたい。太陽電池ではエネル社とジョイントベンチャーを組んだが、これはイタリアでは工場を単独で作れないと判断したためだ。液晶でもパートナーを探し、時間をかけてでもじっくりと話し合いを進めていきたいと考えている。
Q: パイオニアとは今後どのような協業を考えているか。
A: パイオニアさんとは、テレビとカーナビ製品に我々のパネルを供給するという考え方でやってきた。現在はカーナビ用に絞って供給している。また光ディスクの技術力が高いので、現在当社が力を入れているBD分野においての協業などについて検討していきたいと考えている。
Q: 亀山第2工場がフル稼働という話があったが、一時は3割程度まで落ちたと聞いているがいつ頃需要が戻ってきたのか。
A: みなさん驚かれたと思うが、この2週間から1ヶ月の間で急激に受注が増えだし、足りない状況になったのは事実だ。ざっくり言うと、稼働率は一時期半分程度まで落としていた。そこからフル稼働になったというのは、在庫を圧縮したからだ。通常であれば7〜8月から需要が拡大してくるので、10月から堺工場を立ち上げないと全く足りない状態だ。
Q: 10月の稼働はシャープ単独で行うのか。
A: ソニーさんとの合弁会社は来年の春に合弁会社を立ち上げるという話が進んでおり、6月までに契約をするという予定に変わりはない。10月はシャープ単独での立ち上げになる。
Q: 海外でパートナーを見つけ、合弁としてやっていくということだが、これまでのような機動的な投資がしづらかったり、相手との意志決定の摺り合わせが必要になるなど、今後様々な問題が出てくると思うが、どのように乗り越えていくのか。
A: ご指摘のように、自分でお金を投資すれば非常に楽だが、文化が違う相手と一緒にやっていくにあたり、立ちはだかる課題を乗り越えるためには、シャープ自身が変わらなければいけない。はっきりしているのは、第6世代の工場、第8世代の工場などは自分たちで設備から作り上げ、技術的なことに一番詳しいのは我々だということ。自ら進んで世界中に出て行くことで、他メーカーも世界に進出するのではないかと期待している。
Q: 地産地消との関連で、一部報道では、亀山第1工場を海外に売却するという話もあった。
A: 「世界5極」なので、残り4極に我々の工場を造りたい。一から設備を作ると言う方法もあるが、市場によっては20インチ台などの製品が受け入れられる可能性がある。そういう意味では、亀山第1工場の資産が活きる可能性もあると考えている。
Q: 関税の問題について。
A: 新興国は関税制度がきちんと整備されていない。経済状況が厳しい中、地産地消のようなことを薦めている政府もある。我々としては極力インサイダー化してやっていきたい。
Q: 同時に建設中の、太陽電池工場の立ち上げ見通しと、今後の需要見通しについて教えて欲しい。
A: 太陽電池については、堺工場ではさらに変換効率を上げる必要がある。このために東京エレクトロンさんと一緒にやっている。装置の目途、プロセスの目途、需要の目途が立った状態での立ち上げになる。ただし少なくとも来年3月までには稼働できると考えている。
Q: 堺工場では新しい技術を導入しているということだが、具体的な内容を教えて欲しい。
A: 詳しいことは言えないが、堺工場から出てくるパネルを楽しみに待っていて欲しい。ワクワクするような液晶が出てくると思う。
Q: 携帯電話について、国内と海外、それぞれの市場をどう考えているか。
A: 国内市場は、考えた以上に市場が小さくなってしまった。2009年度もあまり期待できない。海外に目を向けても、先進国はあまり良くない。新興国は順調に伸びている。中国にハイエンド商品を昨夏投入したが、マーケティング活動がうまくいっている。今春からエントリーモデルを投入し、規模を拡大していく。またスマートフォンを、少なくとも2010年には欧米でも展開したい。
Q: 総経費2,000億円の削減はなかなか大変なことだろうが、昨年下期でどのくらいの結果が出たか。
A: 2009年度の予算から既にこの経費削減を盛り込んでいる。
Q: キャッシュフロー重視の経営になるが、今後の投資を行うための施策と考えて良いのか。
A: 来年度はさらに、投資と在庫を絞ってキャッシュフローを改善していきたい。