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ホンダから25億円の資金調達/三菱と協業など他社との連携強化

【詳報】パイオニアが中期経営計画を発表 − AVレシーバーをホームAVの中核商品に

公開日 2009/04/28 16:32 Phile-web編集部
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■組織や拠点、人員の削減を加速


グループ全体で従業員約1万人のリストラを行う
さらに、事業ポートフォリオ再編成後の事業規模に合わせ、組織のスリム化も行っていく。国内に5つある拠点を川崎と川越に集約。研究開発体制についても、研究テーマの選択と集中を行うという。

さらに生産会社30社の統廃合を進め、9社を閉鎖し、6社の規模を縮小する。また販売体制についても見直しを行い、カーエレクトロニクス事業で営業部門と販売子会社5社を統合するほか、ホームエレクトロニクス事業でも、関係会社も含め、営業部門を販売子会社に統合する。

これらの施策により、2008年12月末に対し、グループ全体で正社員は約5,800名、派遣・請負社員は約4,000名を削減する。

また役員についても、現行の取締役・執行役員計25名から、今年6月の株主総会後には19名に削減する予定だ。元社長の須藤民彦取締役も退任予定者リストに連なっている。「須藤体制からの決別を図るのか」と問われた小谷社長は「パイオニアの新しい出発に向け、新しいメンバーで向かって行きたいと考えた」とコメントした。

なお、この中期事業計画を実行するためには、約400億円程度の資金調達が必要とのことで、「資本増強により必要資金を賄うべく、関係各位と協議を進めている」という。先日より一部メディアにて報道されている公的資金注入でこれを賄うのか、と問われると「そうではない。公的資金注入については現在検討や準備はしているが、まだ決まったわけではないので。400億円については、あらゆる可能性を考えながら調達を図っていきたい」(小谷社長)との考えを語った。

会場からは「もし400億円の増資ができなかった場合はどうするのか」という質問も飛び出した。これについては常務取締役 経理部長 兼 CFOの岡安英喜氏が「当面の資金繰りは前期末の630億強のキャッシュがあるため、仮に増資がなかったとしても、当面の資金繰りに影響はないと考えている。とにかく資本増強をまず第一に考えている」との見解を示した。


■「中期計画を必ずや達成し、企業価値引き上げを約束したい」(小谷社長)

以上のような経営計画をまとめ、「2008年度は創業以来最大の赤字計上をはじめ、株価や企業価値の大きな下落を招き、多くの皆様に多大な迷惑と心配をおかけしてしまった」と切り出した小谷社長。「今期の構造改革の実行するにあたっては大きな痛みが伴うが、強い決意を持ってやりきりたい。まずは検討中の財務パートナーシップを確定するなど、再成長に向けた中期経営計画を着実に実行する考えだ。これにより来期は黒字化を必ずや実現し、企業価値を引き上げることをお約束したい。今後は収益を確保するとともに、ユーザーに感動を提供できる“パイオニアらしい製品”を開発し、お届けしていきたい」と抱負を述べた。


以下、会場で執り行われた質疑応答の主な内容を掲載する。

Q.ホームエレクトロニクス事業の営業収入は、2009年度の2,090億円から、2012年には730億円へと減少する見込みとのことだが、この大幅な減り方はプラズマ撤退だけで説明できない。詳細な内訳を教えて欲しい。
A.プラズマに加え、光ディスク事業による点が大きい。シャープとの合弁会社が設立できない場合は撤退も視野に入れているのだが、今回の試算では撤退を想定した数字で出しているためだ。

Q.カーエレクトロニクスに注力するとのことだが、車の市場はどのように推移していくと見ているのか。
A.確かに全世界的に見れば厳しい。しかし、国によっては前年より伸びているところもある。例えばロシアを除くBRICsは、2012年までに10%台の成長が期待できるのではないかと見ている。国内では現状のシェアを維持していく方向だ。

Q.今回の構造改革で収益体制の改善は万全と言えるのか。約1万人のリストラを行うというが、それでもまだ他社に比べると人数が多いように見える。
A.今回の中期計画では、売り上げの増強より固定費削減をメインにしている。また、今回発表した数字の中にはシャープや三菱、ホンダとの協業によって見込まれる効果は試算に入っていない。今期末の時点で、パイオニアグループ全体で34,000名の社員を抱えているが、こういった協業効果を加味すれば、この人数でも影響ない収益が確保できると思う。

Q.将来的に他社との経営統合を視野にいれる可能性はあるのか。
A.経営統合については現在のところ一切考えていない。

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