新しい需要を喚起する提案を
秋葉原電気街振興会の新年交歓会でシャープ片山幹雄社長ほか業界関係者が挨拶
秋葉原電気街振興会は、新年の恒例行事である交歓会を1月18日に開催した。この会に出席した家電業界関係者による、興味深い挨拶の内容を紹介する。
秋葉原電気街振興会会長の小野一志氏は、開会の挨拶で、「一昨年はお客様の財布のヒモも固く厳しい状況だったが、この年末年始はエコポイントの追い風もあって下り坂から水平になったという手応え、商売もまあまあだった。一歩ずつ、喜んでいただける街づくりをすすめたいと思う」と語った。
来賓代表として挨拶を行った、シャープ(株)代表取締役社長 兼 COOの片山幹雄氏は次のように語った。
「昨年1年間、景気は生易しいものではなかったが、エコポイントで薄型テレビ、冷蔵庫、エアコンが動いた。アメリカやヨーロッパでは、政府の政策が強く打ち出されているわけでなく、薄型テレビは厳しい状況。台数で110%、金額は単価ダウンが激しく90%といったところだろう。そんな中、日本や中国では政府の政策のおかげで薄型テレビが売れており、2009年度は何とか生き延びることができたというところだ。
しかしメーカーとしては、新しいものをつくる努力をしていかなくてはいけない。2010年度以降、低消費電力のLEDテレビや3Dテレビも出して行く。エコポイントだけに頼らず薄型テレビは新たな需要、買い替え、新しいサービスが広がるようなものを提案していかなくてはと考える。2010年はいかにそれを商売につなげていくかということが業界の仕事である。
健康、環境の目線も大きい。従来型の電球から省エネ型のLED電球へと替えて行くことを考えれば、ビジネスチャンスが広がってきたと考える。
LEDにはさらなる付加価値も広げられる。昨年シャープのコマーシャルで、リモコンでLED電球のスイッチを入れることができ、明るさの変更ができること、さらに色が変えられることをアピールしたところ、当社での電球のLEDシェアが20%にアップした。LED照明は、消費電力が小さいだけでなく、色や形など従来の認識を変えることができる大きな可能性があるのかもしれないと思う。日本から発信し世界に向け、照明を変えて行ける時代がくるかもしれない。
メーカーがこういうものをしっかり提案できれば、新たな需要が沸いてくる。LEDはリモコンで色が変わる、それだけでも消費者がわくわくするような提案。これこそ日本の企業がやらなくてはならないことと思う。
2010年、我々は新しいテレビ、新しい照明などを切り開こうとしているがどんな年になるか。当社では「2011年危機」の議論を始めている。
2011年7月のデジタル放送に移行に向けて今デジタルテレビの大きな買い替え需要が前倒しで進んでいるが、アナログ放送が停波した瞬間に売り上げが大きく落ちることが予測できる。またエコポイント制度も年末まで延長とされたが、2011年までは延長されないだろう。テレビ、エアコン、冷蔵庫に対する補助がなくなり需要の喚起ができなくなればどうなるか。
2010年度は色々なフォローの風が吹くだろう。バンクーバー五輪もあれば、ワールドカップサッカーも、エコポイントもある。しかし「2011年危機」に向けてどうするか。業界として、新しい商材、新しい商品を提案できなければ2011年はひどいことになってしまう。
2010年、電機業界として懸命に新しいネタを提案しなくては。もちろんシャープも提案していく。秋葉原の皆様に、業界が2011年に向け活性化できるよう一緒になって取り組んでいただきたい。
私自身、77年頃学生になって入学祝いをもらい、14インチのカラーテレビを秋葉原に買いに来たことを覚えている。学生にとっても秋葉原は魅力的な街だったし、それ以降もオーディオを見に来たり、カメラを買いに来たりしたことがある。海外の方だけでなく、日本の方にとってもわくわくするような商品、わくわくするようなサービスが提供できるような街であり続けて欲しいと思う」。
続いて乾杯の挨拶を行った、(社)日本オーディオ協会 会長の校條亮治氏は次のように語った。「昨年秋葉原で開催した『オーディオ&ホームシアター展 in AKIBA 2009』には3日間で約3万人が訪れ、前回の横浜開催時より10%の増となった。今年理事会がまだ開催されていないが、小野会長から乾杯の挨拶をせよと言われたことは、今年度もやると口走れということだと思う。
昨年のオーディオは2300億円といったところかと思うが、昨年1年間で対前年比をクリアしたカテゴリーは2つ。1つはCDプレーヤーで対前年比102%、台数は66〜67万台くらいと見る。もう1つはスピーカーで106〜107%、これはホームシアターに付随した新しい楽しみ方が出て来た証であろう。
オーディオ協会はただ音を聴くだけでなく、アクティブにオーディオの楽しさを提案する責任がある。3D映像の音はどうするのか、この新しいジャンルに対する新しい音の提案を日本から率先して提案できないか。また携帯電話の中には、年間1500億円という音楽産業が眠ったまま。第三世代オーディオという新しい考え方で、これをとき放つしかけをつくりたいと思う。
メーカー、流通、地域のよき中間役としてオーディオ協会は、秋葉原を中心に新しい情報発信をしていきたいと思う。今年度も10月か11月には、去年のやり方を手直しし地域一帯となった新しいオーディオフェスタを提案したい」。
そして会の終了に際しては、パナソニック(株)アプライアンス・ウェルネス・マーケティング本部 本部長 兼 パナソニックコンシューマーマーケティング(株)社長 石井純氏が次のように語った。
「ミレニアムと騒がれた年から10年、世の中はその間に大きく変化した。昨年は新型インフルエンザなども出て来たが、エレクトロニクス業界もこの対応にお手伝いできることがあるとわかった。エコポイント制度という景気対策、環境対策が講じられて業界もそこにお手伝いできる。変化がある中でも我々には提案できることがあり、使命感もある。
年末に『アバター』と『2012』の映画を見た。宇宙のある星の住民とのコミュニケーションの話と、温暖化が進んで地球がメルトダウンするという話。2012年に地球がなくなるのであれば、2011年問題もそう怖くない。2010年も皆様とぜひわくわくとした仕事をしていきたい」。
最後に秋葉原電気街振興会 副会長 山下巌氏が御礼の挨拶として「昨年は事業仕分けが話題になり、振興会でも事業仕分けを行ったが、この新年交歓会は議論する余地もなくやると決まった。皆様のご支援、ご指導を受けながら秋葉原を守って行くという共通認識をもっていることかと思う。来年も元気でこの日を迎えたい」と語った。
この新年交歓会にはオーディオビジュアル関連メーカーの関係者が数多く訪れ、昨年の健闘をたたえ合うとともに、新たな1年に向けての意気込みを確認し合うものとなった。秋葉原電気街と、電機業界2010年の活躍に一層期待したい。
秋葉原電気街振興会会長の小野一志氏は、開会の挨拶で、「一昨年はお客様の財布のヒモも固く厳しい状況だったが、この年末年始はエコポイントの追い風もあって下り坂から水平になったという手応え、商売もまあまあだった。一歩ずつ、喜んでいただける街づくりをすすめたいと思う」と語った。
来賓代表として挨拶を行った、シャープ(株)代表取締役社長 兼 COOの片山幹雄氏は次のように語った。
「昨年1年間、景気は生易しいものではなかったが、エコポイントで薄型テレビ、冷蔵庫、エアコンが動いた。アメリカやヨーロッパでは、政府の政策が強く打ち出されているわけでなく、薄型テレビは厳しい状況。台数で110%、金額は単価ダウンが激しく90%といったところだろう。そんな中、日本や中国では政府の政策のおかげで薄型テレビが売れており、2009年度は何とか生き延びることができたというところだ。
しかしメーカーとしては、新しいものをつくる努力をしていかなくてはいけない。2010年度以降、低消費電力のLEDテレビや3Dテレビも出して行く。エコポイントだけに頼らず薄型テレビは新たな需要、買い替え、新しいサービスが広がるようなものを提案していかなくてはと考える。2010年はいかにそれを商売につなげていくかということが業界の仕事である。
健康、環境の目線も大きい。従来型の電球から省エネ型のLED電球へと替えて行くことを考えれば、ビジネスチャンスが広がってきたと考える。
LEDにはさらなる付加価値も広げられる。昨年シャープのコマーシャルで、リモコンでLED電球のスイッチを入れることができ、明るさの変更ができること、さらに色が変えられることをアピールしたところ、当社での電球のLEDシェアが20%にアップした。LED照明は、消費電力が小さいだけでなく、色や形など従来の認識を変えることができる大きな可能性があるのかもしれないと思う。日本から発信し世界に向け、照明を変えて行ける時代がくるかもしれない。
メーカーがこういうものをしっかり提案できれば、新たな需要が沸いてくる。LEDはリモコンで色が変わる、それだけでも消費者がわくわくするような提案。これこそ日本の企業がやらなくてはならないことと思う。
2010年、我々は新しいテレビ、新しい照明などを切り開こうとしているがどんな年になるか。当社では「2011年危機」の議論を始めている。
2011年7月のデジタル放送に移行に向けて今デジタルテレビの大きな買い替え需要が前倒しで進んでいるが、アナログ放送が停波した瞬間に売り上げが大きく落ちることが予測できる。またエコポイント制度も年末まで延長とされたが、2011年までは延長されないだろう。テレビ、エアコン、冷蔵庫に対する補助がなくなり需要の喚起ができなくなればどうなるか。
2010年度は色々なフォローの風が吹くだろう。バンクーバー五輪もあれば、ワールドカップサッカーも、エコポイントもある。しかし「2011年危機」に向けてどうするか。業界として、新しい商材、新しい商品を提案できなければ2011年はひどいことになってしまう。
2010年、電機業界として懸命に新しいネタを提案しなくては。もちろんシャープも提案していく。秋葉原の皆様に、業界が2011年に向け活性化できるよう一緒になって取り組んでいただきたい。
私自身、77年頃学生になって入学祝いをもらい、14インチのカラーテレビを秋葉原に買いに来たことを覚えている。学生にとっても秋葉原は魅力的な街だったし、それ以降もオーディオを見に来たり、カメラを買いに来たりしたことがある。海外の方だけでなく、日本の方にとってもわくわくするような商品、わくわくするようなサービスが提供できるような街であり続けて欲しいと思う」。
続いて乾杯の挨拶を行った、(社)日本オーディオ協会 会長の校條亮治氏は次のように語った。「昨年秋葉原で開催した『オーディオ&ホームシアター展 in AKIBA 2009』には3日間で約3万人が訪れ、前回の横浜開催時より10%の増となった。今年理事会がまだ開催されていないが、小野会長から乾杯の挨拶をせよと言われたことは、今年度もやると口走れということだと思う。
昨年のオーディオは2300億円といったところかと思うが、昨年1年間で対前年比をクリアしたカテゴリーは2つ。1つはCDプレーヤーで対前年比102%、台数は66〜67万台くらいと見る。もう1つはスピーカーで106〜107%、これはホームシアターに付随した新しい楽しみ方が出て来た証であろう。
オーディオ協会はただ音を聴くだけでなく、アクティブにオーディオの楽しさを提案する責任がある。3D映像の音はどうするのか、この新しいジャンルに対する新しい音の提案を日本から率先して提案できないか。また携帯電話の中には、年間1500億円という音楽産業が眠ったまま。第三世代オーディオという新しい考え方で、これをとき放つしかけをつくりたいと思う。
メーカー、流通、地域のよき中間役としてオーディオ協会は、秋葉原を中心に新しい情報発信をしていきたいと思う。今年度も10月か11月には、去年のやり方を手直しし地域一帯となった新しいオーディオフェスタを提案したい」。
そして会の終了に際しては、パナソニック(株)アプライアンス・ウェルネス・マーケティング本部 本部長 兼 パナソニックコンシューマーマーケティング(株)社長 石井純氏が次のように語った。
「ミレニアムと騒がれた年から10年、世の中はその間に大きく変化した。昨年は新型インフルエンザなども出て来たが、エレクトロニクス業界もこの対応にお手伝いできることがあるとわかった。エコポイント制度という景気対策、環境対策が講じられて業界もそこにお手伝いできる。変化がある中でも我々には提案できることがあり、使命感もある。
年末に『アバター』と『2012』の映画を見た。宇宙のある星の住民とのコミュニケーションの話と、温暖化が進んで地球がメルトダウンするという話。2012年に地球がなくなるのであれば、2011年問題もそう怖くない。2010年も皆様とぜひわくわくとした仕事をしていきたい」。
最後に秋葉原電気街振興会 副会長 山下巌氏が御礼の挨拶として「昨年は事業仕分けが話題になり、振興会でも事業仕分けを行ったが、この新年交歓会は議論する余地もなくやると決まった。皆様のご支援、ご指導を受けながら秋葉原を守って行くという共通認識をもっていることかと思う。来年も元気でこの日を迎えたい」と語った。
この新年交歓会にはオーディオビジュアル関連メーカーの関係者が数多く訪れ、昨年の健闘をたたえ合うとともに、新たな1年に向けての意気込みを確認し合うものとなった。秋葉原電気街と、電機業界2010年の活躍に一層期待したい。