「デジタルコンサートホール」の3Dサンプル映像も配信
<IFA2010>山之内正が“TechWatch”で見た近未来 − 裸眼3Dディスプレイやベルリンフィル3D配信など
家電機器の展示会という性格から当然のことだが、IFAの展示は完成した製品が中心で、技術発表など、商品化以前のアイデアや研究成果をこの場ではあまり見ることができない。だが、近未来を視野に入れた研究成果を展示する“TechWatch”という場が従来からあり、興味深い展示に出会うことができる。今年は展示場所を移動し、拡大して実施しているということなので、楽しみにしていた。
会場のHall 8.1に入ってすぐに目を引く展示はメガネなしの3Dディスプレイだ。マルチビュー方式のディスプレイでアニメなどのデモンストレーションを行っており、その自然な立体感に感心の声が上がっている。
ディスプレイとの距離、角度にある程度気を遣う必要があるものの、たしかにこの表示方式のディスプレイとしては自然な描写で、違和感が少ない。32型〜40型前後のテレビなど、家庭で最も普及しているサイズのディスプレイが仮にこのような裸眼で見られる方式になると、3Dの普及が一気に進むことになるだろう。そう思わせる意欲的なプロジェクトである。実現まで何年かかるかはわからないが、ディスプレイに出ている映像を見る限り、そう遠くないようにも思えてくる。
隣りのブースではサイモン・ラトルとベルリンフィルのリハーサル風景をやはり3Dで再生していた。こちらは偏光メガネを利用する方式だが、著名オーケストラの演奏風景が立体映像で見られることに、新鮮な印象を受ける。
この映像はベルリンフィルのストリーミングサービス「デジタルコンサートホール」でも無料でサンプル配信が始まり、パソコンの再生ソフト(NVIDIAの3D Vision Video Player)さえあれば、自宅で自然な立体効果を味わうことができる。パソコンの要求スペックはそれなりにハードだが、試してみる価値はあると思う。
ベルリンフィルは新しいメディアに強い関心を持つことで知られ、CDやDVDでも先頭を切って可能性をアピールした。映像の最先端テーマである3Dを同オーケストラが取り上げた背景には、ドイツ発の技術を応援したいという事情もありそうだ。
さきほどの裸眼3Dもそうだが、3Dディスプレイの技術開発と映像の作成は、ドイツの公的応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構が行っている。フラウンホーファーといえばMP3の開発でも有名だが、同機構の研究分野は非常に幅が広く、映像はもちろん、エネルギー、情報、メディアなど多岐に及んでいる。3Dの普及を進めるためには、裸眼3Dの早期実現を含む多様なディスプレイの開発と、3D映像自体の完成度を高めるためにメーカーや研究機関が共同で取り組むことの重要性をアピールしている。
その具体的な準備として同機構は「3D4U」というプロジェクトを立ち上げ、欧州4ヶ国(オランダ、UK、フランス、ドイツ)のメーカーや研究機関と協力しながら研究を進めていく姿勢を明らかにしている。
やはりフラウンホーファーが提案する新技術として、平面スピーカー技術の展示も行われた。高能率で帯域の広い性能とスリムなデザイン性を両立させる技術として、特にフラットディスプレイとの相性の良さをアピール。大きな成果を上げることに成功している。厚さはユニット単体で12mm、外装を含めた場合で24mmと極薄だが、88dB SPL/1 W/1mという驚くべき高能率と、100Hzから20kHzに及ぶ広帯域特性を実現。すぐにでも商品化できそうな完成度の高さを見せていた。
そのほか、HDのワイヤレスコミュニケーション、リアルタイムの音楽&楽譜アプリケーションなど様々な研究成果が並び、メーカーブースとは一味異なる開発スピリットを実感することができた。
会場のHall 8.1に入ってすぐに目を引く展示はメガネなしの3Dディスプレイだ。マルチビュー方式のディスプレイでアニメなどのデモンストレーションを行っており、その自然な立体感に感心の声が上がっている。
ディスプレイとの距離、角度にある程度気を遣う必要があるものの、たしかにこの表示方式のディスプレイとしては自然な描写で、違和感が少ない。32型〜40型前後のテレビなど、家庭で最も普及しているサイズのディスプレイが仮にこのような裸眼で見られる方式になると、3Dの普及が一気に進むことになるだろう。そう思わせる意欲的なプロジェクトである。実現まで何年かかるかはわからないが、ディスプレイに出ている映像を見る限り、そう遠くないようにも思えてくる。
隣りのブースではサイモン・ラトルとベルリンフィルのリハーサル風景をやはり3Dで再生していた。こちらは偏光メガネを利用する方式だが、著名オーケストラの演奏風景が立体映像で見られることに、新鮮な印象を受ける。
この映像はベルリンフィルのストリーミングサービス「デジタルコンサートホール」でも無料でサンプル配信が始まり、パソコンの再生ソフト(NVIDIAの3D Vision Video Player)さえあれば、自宅で自然な立体効果を味わうことができる。パソコンの要求スペックはそれなりにハードだが、試してみる価値はあると思う。
ベルリンフィルは新しいメディアに強い関心を持つことで知られ、CDやDVDでも先頭を切って可能性をアピールした。映像の最先端テーマである3Dを同オーケストラが取り上げた背景には、ドイツ発の技術を応援したいという事情もありそうだ。
さきほどの裸眼3Dもそうだが、3Dディスプレイの技術開発と映像の作成は、ドイツの公的応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構が行っている。フラウンホーファーといえばMP3の開発でも有名だが、同機構の研究分野は非常に幅が広く、映像はもちろん、エネルギー、情報、メディアなど多岐に及んでいる。3Dの普及を進めるためには、裸眼3Dの早期実現を含む多様なディスプレイの開発と、3D映像自体の完成度を高めるためにメーカーや研究機関が共同で取り組むことの重要性をアピールしている。
その具体的な準備として同機構は「3D4U」というプロジェクトを立ち上げ、欧州4ヶ国(オランダ、UK、フランス、ドイツ)のメーカーや研究機関と協力しながら研究を進めていく姿勢を明らかにしている。
やはりフラウンホーファーが提案する新技術として、平面スピーカー技術の展示も行われた。高能率で帯域の広い性能とスリムなデザイン性を両立させる技術として、特にフラットディスプレイとの相性の良さをアピール。大きな成果を上げることに成功している。厚さはユニット単体で12mm、外装を含めた場合で24mmと極薄だが、88dB SPL/1 W/1mという驚くべき高能率と、100Hzから20kHzに及ぶ広帯域特性を実現。すぐにでも商品化できそうな完成度の高さを見せていた。
そのほか、HDのワイヤレスコミュニケーション、リアルタイムの音楽&楽譜アプリケーションなど様々な研究成果が並び、メーカーブースとは一味異なる開発スピリットを実感することができた。