新CEO初の製品ローンチ
クックCEO「これまでのiPhoneで最も素晴らしい製品」 − アップル「iPhone 4S」発表会レポート
米Appleは現地時間10月4日、同社本社にて「Let's talk iPhone」イベントを開催。iPhone新モデルやiOS 5の新機能などを発表した。
本項では、このイベントの模様を時系列に沿って紹介していこう。
■ティム・クック氏、CEOとして初の製品ローンチ
イベントには冒頭、同社の新CEO、ティム・クック氏が登壇。「私がCEOに指名されてから初めての、製品のローンチだ」と挨拶。初めに同社の最新状況をアップデートするいつものスタイルでプレゼンを行った。
クックCEOはリアル店舗のApple Storeについて、新店舗として上海店を立ち上げ、週末に10万の来訪があったことを紹介。現在11カ国に357の店舗があり、今後もその数を増やす計画であることを説明した。
OS X関連では、OS X Lionが好調で、これまでに600万ダウンロードがあったと説明。これはSnow Leopardに比べて80%大きい数字だという。Windows 7と比べても、早いペースでユーザーに受け入れられているとした。
Macのハードウェアも成長しているとクックCEOは強調。PCの成長率が4%だったのに対し、Macは23%だっと述べた。またMacBook ProとiMacが、それぞれノートPCとデスクトップPCのベストセラーマシンだったこともアピールした。
クックCEOは音楽プレーヤー業界での圧倒的なプレゼンスについても説明。iPodが78%近いマーケットシェアを持っていること、これまで3億台以上のiPodが販売されたことを紹介した。
クックCEOは「iPodはAppleにとっていまだに大きく、重要な市場だ」と述べ、今後も引き続き力を入れていく考えを示した。
iPhoneについてもその好調ぶりをアピール。iPhoneは125%の成長を続けており、これは一般的なスマートフォンの成長率、74%と比べても高いと強調。またユーザーの満足度調査で「とても満足」と応えたユーザーの割合も70%と、他社を大きく引き離しているとした。
さらにクックCEOはiPadにも言及し、IDCが米国内で調査した2011年第2四半期のデータでiPadが74%のシェアを獲得したことなどを紹介しながら、iPadがタブレット市場で1位であることをアピール。これまで2億5,000万台のiOSデバイスが販売されたことを紹介した。
■iOS 5は10月12日に無償提供開始
iOSについては、iOS担当シニアバイスプレジデントのスコット・フォーストール氏が説明を行った。
フォーストール氏はまず、コムスコアのインストール台数シェア調査で、iOSが43%だったことを紹介し、Androidの33%に比べて多かったと説明。アプリの数の多さも強調し、App Storeでは50万以上のアプリが提供されており、14万がiPadにネイティブ対応していることを紹介した。
これまでにダウンロードされたアプリは180億で、現在では1ヶ月間のアプリダウンロード数が10億に上ることもアピール。これまで開発者に30億ドル以上の収益をシェアしてきたこともあわせて強調した。
新アプリ「Cards」も紹介。グリーティングカードを作成し、郵送できるサービスが利用できるというもので、米国内なら2.99ドルで郵送が可能だ。
フォーストール氏は続いて、iOS 5の特徴を改めて紹介。概要はこちらで紹介したとおりだが、ツイッターをOSに統合したことや「Newsstand」機能、細かな改善が加えられたカメラ機能、進化した「Game Center」機能などを次々に紹介していった。
さらにモバイル版のSafariも進化し、リーディングリスト機能が追加されたこと、iPad版にはタブブラウジングが追加されたことなども説明した。
そのほかiOS 5ではPC/Mac無しにセットアップが可能となり、ワイヤレスでのアップデートもできるようになったことなどを紹介。10月12日に無料で提供を開始すると発表した。
■iCloudもiOS 5と同日に無償提供を開始
続いてインターネット・ソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントのエディー・キュー氏が、iCloudについて紹介を行った。
iCloudの概要もこちらで紹介しているが、音楽や写真をかんたんにクラウド上に保存し、複数の端末で共有できること、書類をバックアップする機能が設けられていることなどを説明。またiCloudもiOS 5と同じ10月12日から、無料提供が開始されると述べた。
さらに「Find My Friends」という新機能も紹介された。近くにいる友人をかんたんに探すことができ、iMessageでメッセージを送ることなどが可能。プライバシー設定もかんたんに行えるという。
手持ちの音楽データをiCloud上に置いておくことができ、ネットワークを介して再生ができるサービス「iTunes Match」についても紹介。米国では、月額24.99ドルで12月末から提供が開始される。
■iPhone/iPod touch、そしてiPhone 4Sが登場
続いて、ワールドワイドプロダクトマーケティング担当シニアバイスプレジデントのフィル・シラー氏が登壇し、ハードウェアの説明に移った。
シラー氏はまずiPodの新モデルを紹介。iPod nanoには16のクロックフェイスを追加し、腕時計としての機能を高めたことを説明した。
またiPod touchについては「ナンバーワンのポータブルゲームプレーヤーだ」と、ゲーム機としての側面を強調。もちろんiOS 5も動作するため、Wi-Fi環境下であればiMessageを使って無料でインスタントメッセージを利用する利点も挙げた。さらにシラー氏はiCloudも利用できることも紹介。カラーバリエーションについては「白バージョンがやってくる。これはゴージャスだ」とした。
続けてシラー氏は、いよいよ「iPhone 4S」の説明に移った。「全く新しいiPhone 4Sを紹介できてとても嬉しい」とコメントし、製品の概要をくわしく説明していった。
シラー氏が強調したのは、「A5」チップ搭載によるスピードの速さ。iPhone 4の「A4」の2倍の速度を実現し、グラフィック性能Hは7倍になっているという。発表会ではiPhone 4Sに最適化されるEpic Gameの「Infinity Blade II」が紹介され、その性能の高さがアピールされた。同作は12月1日に発売される。
またiPhone 4Sではアンテナを改善。2つのアンテナを自動的に切り替えることで通話品質を改善したという。
さらにiPhone 4SではHSDPAへ新たに対応したこともアピール。下り最大14.4Mbps、上り最大5.8Mbpsの通信が可能になった。またGSMとCDMAに両対応したことで、海外での利便性が高まったことも紹介された。
続いてシラー氏はカメラ機能の説明に移った。Flicrのデータでは、ニコンのD90やキヤノンの5Dなどを抜き、iPhone 4が最も人気のあるカメラになったと説明。iPhone 4Sでは、新たに8メガピクセルの裏面照射型センサーを備え、画質を大幅に高めたこと、レンズ性能もさらに高めたほか、オートホワイトバランスの性能なども改善させたことなどを紹介した。
またA5チップの能力を活かし、オートホワイトバランスの精度が26%向上したこと、顔認識機能も備えたことを紹介し、カメラ機能の大幅強化に自信を見せた。
シラー氏はカメラの操作スピードも高まったことも強調。アプリを立ち上げ、最初の1枚を撮影するまでが1.1秒、連写の間の間隔が0.5秒と、他のスマートフォンに比べて動作速度が速いことをアピールした。
さらにシラー氏は、動画機能を強化したことも訴求。新たに1080pの動画撮影が可能になったことを紹介し、「多くの方々にとって、iPhone 4Sはこれまでお持ちの製品の中で最も優れた静止画カメラであり、同じくこれまでで最良のビデオカメラになるだろう」と述べた。
AirPlayにもシラー氏は言及。iPhone 4Sでは、これまでiPhone 4ではできなかったAirPlayでのミラーリング配信が行えることを強調した。
■音声認識能「Siri」もアピール
再び登壇したスコット・フォーストール氏が長めの時間を割いて紹介したのが、音声認識機能「Siri」だ。アップルが買収したSiri社の技術を活用したもので、単語だけでなく文章の意味まで解析し、その内容に応じて反応するのが特徴だ。
「Siri」は自然な文章で問いかけると、その内容に応じた動作を自動で行うというもの。英語(米国/英国/オーストラリア)、フランス語、ドイツ語に対応しており、日本語の認識は行えない。
Siriでは「今日の天気はどう?」と話しかけると、天気予報のウィジェットを表示。そこで「時間ごとの予報を知りたいな」と喋ると、時間毎表示に切り替わる。別の表現、たとえば「今日はレインコートが必要かな?」と問いかけても天気予報ウィジェットが表示される。
時計機能では、「パリは今何時?」と話しかけるとパリの現地時間を表示。また「明日午前6時に起こして」と話せばその時間にアラームをセットする。また株価を表示する機能や、特定の場所のスポット情報を調べる機能、地図で行き先を表示する機能なども搭載している。
さらにSiriでは口頭でSMSの返事を書くことや、同時に、自動的にその予定をカレンダーやリマインダーに入力する機能なども備えている。またWolframAlphaとの連携で、文章による質問を行うこともできる。
iPhone 4Sの発売については、まず10月14日に日本や米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアの7カ国で販売を開始。続いて10月28日には22カ国で販売を開始、年内には70カ国、100キャリアに取り扱いが拡大するという。
■「これまでのiPhoneの中でもっとも素晴らしい製品」
イベントの最後にはクックCEOが再び登壇。iPhone 4Sについて「これまでのiPhoneの中でもっとも素晴らしい製品」とし、技術的に先行した偉大な製品を作り上げたエンジニアたちを誇りに思う」と挨拶し、イベントは幕を閉じた。
本項では、このイベントの模様を時系列に沿って紹介していこう。
■ティム・クック氏、CEOとして初の製品ローンチ
イベントには冒頭、同社の新CEO、ティム・クック氏が登壇。「私がCEOに指名されてから初めての、製品のローンチだ」と挨拶。初めに同社の最新状況をアップデートするいつものスタイルでプレゼンを行った。
クックCEOはリアル店舗のApple Storeについて、新店舗として上海店を立ち上げ、週末に10万の来訪があったことを紹介。現在11カ国に357の店舗があり、今後もその数を増やす計画であることを説明した。
OS X関連では、OS X Lionが好調で、これまでに600万ダウンロードがあったと説明。これはSnow Leopardに比べて80%大きい数字だという。Windows 7と比べても、早いペースでユーザーに受け入れられているとした。
Macのハードウェアも成長しているとクックCEOは強調。PCの成長率が4%だったのに対し、Macは23%だっと述べた。またMacBook ProとiMacが、それぞれノートPCとデスクトップPCのベストセラーマシンだったこともアピールした。
クックCEOは音楽プレーヤー業界での圧倒的なプレゼンスについても説明。iPodが78%近いマーケットシェアを持っていること、これまで3億台以上のiPodが販売されたことを紹介した。
クックCEOは「iPodはAppleにとっていまだに大きく、重要な市場だ」と述べ、今後も引き続き力を入れていく考えを示した。
iPhoneについてもその好調ぶりをアピール。iPhoneは125%の成長を続けており、これは一般的なスマートフォンの成長率、74%と比べても高いと強調。またユーザーの満足度調査で「とても満足」と応えたユーザーの割合も70%と、他社を大きく引き離しているとした。
さらにクックCEOはiPadにも言及し、IDCが米国内で調査した2011年第2四半期のデータでiPadが74%のシェアを獲得したことなどを紹介しながら、iPadがタブレット市場で1位であることをアピール。これまで2億5,000万台のiOSデバイスが販売されたことを紹介した。
■iOS 5は10月12日に無償提供開始
iOSについては、iOS担当シニアバイスプレジデントのスコット・フォーストール氏が説明を行った。
フォーストール氏はまず、コムスコアのインストール台数シェア調査で、iOSが43%だったことを紹介し、Androidの33%に比べて多かったと説明。アプリの数の多さも強調し、App Storeでは50万以上のアプリが提供されており、14万がiPadにネイティブ対応していることを紹介した。
これまでにダウンロードされたアプリは180億で、現在では1ヶ月間のアプリダウンロード数が10億に上ることもアピール。これまで開発者に30億ドル以上の収益をシェアしてきたこともあわせて強調した。
新アプリ「Cards」も紹介。グリーティングカードを作成し、郵送できるサービスが利用できるというもので、米国内なら2.99ドルで郵送が可能だ。
フォーストール氏は続いて、iOS 5の特徴を改めて紹介。概要はこちらで紹介したとおりだが、ツイッターをOSに統合したことや「Newsstand」機能、細かな改善が加えられたカメラ機能、進化した「Game Center」機能などを次々に紹介していった。
さらにモバイル版のSafariも進化し、リーディングリスト機能が追加されたこと、iPad版にはタブブラウジングが追加されたことなども説明した。
そのほかiOS 5ではPC/Mac無しにセットアップが可能となり、ワイヤレスでのアップデートもできるようになったことなどを紹介。10月12日に無料で提供を開始すると発表した。
■iCloudもiOS 5と同日に無償提供を開始
続いてインターネット・ソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントのエディー・キュー氏が、iCloudについて紹介を行った。
iCloudの概要もこちらで紹介しているが、音楽や写真をかんたんにクラウド上に保存し、複数の端末で共有できること、書類をバックアップする機能が設けられていることなどを説明。またiCloudもiOS 5と同じ10月12日から、無料提供が開始されると述べた。
さらに「Find My Friends」という新機能も紹介された。近くにいる友人をかんたんに探すことができ、iMessageでメッセージを送ることなどが可能。プライバシー設定もかんたんに行えるという。
手持ちの音楽データをiCloud上に置いておくことができ、ネットワークを介して再生ができるサービス「iTunes Match」についても紹介。米国では、月額24.99ドルで12月末から提供が開始される。
■iPhone/iPod touch、そしてiPhone 4Sが登場
続いて、ワールドワイドプロダクトマーケティング担当シニアバイスプレジデントのフィル・シラー氏が登壇し、ハードウェアの説明に移った。
シラー氏はまずiPodの新モデルを紹介。iPod nanoには16のクロックフェイスを追加し、腕時計としての機能を高めたことを説明した。
またiPod touchについては「ナンバーワンのポータブルゲームプレーヤーだ」と、ゲーム機としての側面を強調。もちろんiOS 5も動作するため、Wi-Fi環境下であればiMessageを使って無料でインスタントメッセージを利用する利点も挙げた。さらにシラー氏はiCloudも利用できることも紹介。カラーバリエーションについては「白バージョンがやってくる。これはゴージャスだ」とした。
続けてシラー氏は、いよいよ「iPhone 4S」の説明に移った。「全く新しいiPhone 4Sを紹介できてとても嬉しい」とコメントし、製品の概要をくわしく説明していった。
シラー氏が強調したのは、「A5」チップ搭載によるスピードの速さ。iPhone 4の「A4」の2倍の速度を実現し、グラフィック性能Hは7倍になっているという。発表会ではiPhone 4Sに最適化されるEpic Gameの「Infinity Blade II」が紹介され、その性能の高さがアピールされた。同作は12月1日に発売される。
またiPhone 4Sではアンテナを改善。2つのアンテナを自動的に切り替えることで通話品質を改善したという。
さらにiPhone 4SではHSDPAへ新たに対応したこともアピール。下り最大14.4Mbps、上り最大5.8Mbpsの通信が可能になった。またGSMとCDMAに両対応したことで、海外での利便性が高まったことも紹介された。
続いてシラー氏はカメラ機能の説明に移った。Flicrのデータでは、ニコンのD90やキヤノンの5Dなどを抜き、iPhone 4が最も人気のあるカメラになったと説明。iPhone 4Sでは、新たに8メガピクセルの裏面照射型センサーを備え、画質を大幅に高めたこと、レンズ性能もさらに高めたほか、オートホワイトバランスの性能なども改善させたことなどを紹介した。
またA5チップの能力を活かし、オートホワイトバランスの精度が26%向上したこと、顔認識機能も備えたことを紹介し、カメラ機能の大幅強化に自信を見せた。
シラー氏はカメラの操作スピードも高まったことも強調。アプリを立ち上げ、最初の1枚を撮影するまでが1.1秒、連写の間の間隔が0.5秒と、他のスマートフォンに比べて動作速度が速いことをアピールした。
さらにシラー氏は、動画機能を強化したことも訴求。新たに1080pの動画撮影が可能になったことを紹介し、「多くの方々にとって、iPhone 4Sはこれまでお持ちの製品の中で最も優れた静止画カメラであり、同じくこれまでで最良のビデオカメラになるだろう」と述べた。
AirPlayにもシラー氏は言及。iPhone 4Sでは、これまでiPhone 4ではできなかったAirPlayでのミラーリング配信が行えることを強調した。
■音声認識能「Siri」もアピール
再び登壇したスコット・フォーストール氏が長めの時間を割いて紹介したのが、音声認識機能「Siri」だ。アップルが買収したSiri社の技術を活用したもので、単語だけでなく文章の意味まで解析し、その内容に応じて反応するのが特徴だ。
「Siri」は自然な文章で問いかけると、その内容に応じた動作を自動で行うというもの。英語(米国/英国/オーストラリア)、フランス語、ドイツ語に対応しており、日本語の認識は行えない。
Siriでは「今日の天気はどう?」と話しかけると、天気予報のウィジェットを表示。そこで「時間ごとの予報を知りたいな」と喋ると、時間毎表示に切り替わる。別の表現、たとえば「今日はレインコートが必要かな?」と問いかけても天気予報ウィジェットが表示される。
時計機能では、「パリは今何時?」と話しかけるとパリの現地時間を表示。また「明日午前6時に起こして」と話せばその時間にアラームをセットする。また株価を表示する機能や、特定の場所のスポット情報を調べる機能、地図で行き先を表示する機能なども搭載している。
さらにSiriでは口頭でSMSの返事を書くことや、同時に、自動的にその予定をカレンダーやリマインダーに入力する機能なども備えている。またWolframAlphaとの連携で、文章による質問を行うこともできる。
iPhone 4Sの発売については、まず10月14日に日本や米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアの7カ国で販売を開始。続いて10月28日には22カ国で販売を開始、年内には70カ国、100キャリアに取り扱いが拡大するという。
■「これまでのiPhoneの中でもっとも素晴らしい製品」
イベントの最後にはクックCEOが再び登壇。iPhone 4Sについて「これまでのiPhoneの中でもっとも素晴らしい製品」とし、技術的に先行した偉大な製品を作り上げたエンジニアたちを誇りに思う」と挨拶し、イベントは幕を閉じた。