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使いやすさも高めた充実のネットワーク機能

デノン、32bitプロセッシング対応のAVアンプ「AVR-4520」 − 電源&パワーアンプを強化し音質向上

公開日 2012/09/14 09:00 ファイル・ウェブ編集部
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デノンは、32bitプロセッシング対応の「D.D.S.C.-HD32」技術を搭載した9.1ch AVアンプ「AVR-4520」を10月中旬に発売する。価格は346,500円(税込)。カラーはブラック。


AVR-4520
パワーアンプは9chディスクリート・モノラル構成を採用。チャンネルごとに構成パーツを独立した基盤に配置している。加えて各チャンネルのレイアウトを最適化することで、チャンネル間の干渉を排除し、高純度な音場を再生する。定格出力は150W×9ch。

電源部、パワーアンプを強化して基本の音質をグレードアップ


本機の説明を行った(株)ディーアンドエムホールディングス 川北裕司氏
本機はデノンのHiFiオーディオアンプの設計ノウハウを踏襲した「ダイレクトメカニカルグラウンド・コンストラクション」を採用。高電圧部を抱えるパワーアンプ部は、熱的/電磁的な影響を考慮して筐体内部中央にシンメトリカルに配置。電源トランスはベースプレートを介してシャーシへ強固に固定している。パワーブロックは左右に配置。鳴きの原因ともなるヒートシンクは、メカニカルアースポイントを明確にするためボトムシャーシに直接固定。ヒートシンクはフットの間近に配置して、不要な振動を素速く取り除ける構造とした。

筐体の内部

パワーアンプ部は「POA-A1HD」の設計思想を継承した、9chのディスクリート・モノラル・コンストラクションを採用。パワーアンプ部を各チャンネル独立構造でL/Rに分けて配置し、電源の供給も各チャンネルごとに独立で行う。チャンネル間の影響を徹底して排除することで、チャンネル間の影響やクロストークを低減している。このことにより、特にサラウンド再生時にクリアな音質と見通しの良い音場が再現可能になっているという。

各パワーブロックはパワーパックやICに頼らないディスクリート部品で構成されている

パワーブロックのモジュール


ダイレクトメカニカルグラウンド・コンストラクションを採用した

ディスクリート構成のモノラルコンストラクション・パワーアンプを採用
パワートランジスターにはデノン特注の大電流タイプ「Denon High Current Transistor(DHCT)を採用。素子内部に温度補償回路を設定。薄膜技術の応用によりトランジスタ自体に熱を発生させないようにして、放熱効果に優れる構造を実現している。これにより半導体内部の温度が急激に上昇することを抑え、高熱環境下においても安定した動作を実現している。

大電流タイプのトランジスター「Denon High Current Transistor」を採用

パワーアンプ部のクロストークを比較データで示したもの

整流ダイオードには、大電流に対応するショットキーバリアダイオードを採用。高い電流供給能力を持つ素子を内部で並列に2個搭載したダイオードにより、定格15A/ピーク時200Aのパワーサプライを実現。平滑ブロックコンデンサーには大口径、低重心設計の高音質カスタムパーツを採用し、不要振動に強く、安定した音場の再現をサポートする。

ブロックコンデンサーなど本機に搭載されたパーツ

電源部の強化内容


32bitプロセッシング対応「D.D.S.C.-HD32」を搭載

サラウンド回路にはデノンのAVアンプとして初めて、32bitによるフルプロセッシングに対応に進化した「D.D.S.C.-HD32」回路を搭載。回路の中核になるDSPには、400MIPSのアナログデバイセス社製高性能32bitフローティングポイントDSPを3基搭載。デコーダー回路やAL32プロセッシング回路、音場補正回路などを、それぞれ1基ずつのDSPで処理し、高速・高精度な処理を実現している。

「D.D.S.C.-HD32」のブロックダイアグラム

「D.D.S.C.-HD32」の基板解説

デノン独自のアナログ波形再現技術を進化させた、新開発の「AL32 Processing Multi Channel」を全チャンネルに採用。全てのデジタル音声入力信号を元のアナログ波形に近づけて32bit精度で再現する。本機からは従来のPCM信号に加えて、ドルビーやDTSなどのビットストリーミング信号に対しても拡張できるようになった。

AL 32 Processing Multi Channelを新たに採用した

DACはバーブラウン製の192kHz/32bit対応チップを7基搭載。1チップで2チャンネルぶんの処理が行え、全11.2chのディファレンシャル駆動にも対応する。


「Denon Link HD」によるジッターレス再生を実現


Denon Link HDは本機にも採用された
デノンオリジナルのジッターレスオーディオ回路「Denon Link HD」に本機も対応する。同じ技術に対応するデノンのBDプレーヤー「DBT-3313UD」との組み合わせで、AVアンプのマスタークロックを使ってプレーヤーのクロックを同期させ、よりジッターの極めて少ないデジタル音声伝送を実現する。本機能はBDディスクだけでなく、すべての再生可能なディスク、オンラインストリーミングを含むBDプレーヤーからのストリーミング信号に対応する。接続はHDMIから音声信号を、Denon Link HD専用の同軸端子からリファレンスのクロック信号を送り出す。なお、Denon Link 4thとの互換性はない。

Denon Link HDのブロックダイアグラム

Denon Link HDをON/OFFで切り換えた際の効果の違い

またデノンの対応プレーヤー以外との組み合わせ時には「ハイブリッドPLLクロック・ジッター・リデューサー」によりジッターを低減。より正確なクロックを作り直してDSPやDACに供給。HDMI入力をはじめ、USB/ネットワーク入力やデジタル入力、アナログ入力から内部でAD変換した信号など全てのデジタル信号に対して効果を発揮する。

ハイブリッドPLLジッター リデューサーのブロックダイアグラム

ジッターリデューサーの効果をグラフ化したもの


サラウンド再生は最大11.2ch対応

サラウンド再生は、新たにフロントハイト/ワイドチャンネルによるサラウンド空間拡張技術「DTS Neo:X」に対応。Audyssey DSXやフロントハイトにチャンネル拡張が可能なDolby Pro Logic IIzのプロセッサーも搭載する。

最大11.2chのサラウンド再生に対応

DTS Neo:Xもサポートしている

フロントハイト/ワイド専用のスピーカー端子も備え、11.2chのスピーカーを同時に接続できる。9chの内蔵パワーアンプ・アサイン機能により、スピーカーを自動で切り替えることができ、さらに外部パワーアンプを接続して、最大11.2chのサラウンド再生も楽しめる。

また内蔵アンプの再生チャンネルを割り当てられる「カスタム・アンプ・アサインモード」にも新しく対応した。

その他、セリフの成分を聴き取りやすく調整できる「ダイアローグエンハンサー」機能も搭載。効果は強/中/弱の3段階から調整できる。ソフト収録時のLFEチャンネルの遅延による位相ズレを解消する「Base Sync(低音の位相補正)」機能も新開発し、0〜16msecの範囲で微調整も行える。外付けパワーアンプの使用時には、内蔵パワーアンプへの信号入力をカットすることで、プリアンプ部への負担を低減する「アドバンスド・プリアンプ・モード」も搭載した。

新たなサウンドプロセッシング技術を採用した


HDMIでのマルチゾーンに対応するなどセットアップ機能も充実

HDMIは7入力/3出力を搭載。出力側はメインゾーン用の2系統に、マルチゾーン出力を加えて3系統としている。3系統は同時出力が可能だが、メインゾーン用の2系統が4Kアップスケーリングを含めたパススルー、ARC、CECに対応する。マルチゾーン出力用の1系統も4Kパススルー出力をサポートしている。なお、本機が内蔵する4K対応IPスケーラーは、HD映像へのスケーリングも高精度で行える性能を備えているという。

4K映像関連のパフォーマンスについて


4Kパススルーとアップスケールの仕様

新世代IPスケーラーにより高精細なスケーリングを実現
マルチゾーン出力は3つのゾーン全てのスピーカーにステレオ信号を同時出力できる「All Zone Stereo」モードを搭載。HDMI、USB、ネットワークなど全ての入力ソースに対して有効なモードで、メインゾーンとマルチゾーンとの間でタイムラグの発生がないことも特徴。ゾーンアウトに対しては、ボリュームやトーンコントロールなど基本的な機能の操作が可能だ。

HDMIによるマルチ・ゾーンに対応

HDMIはマルチゾーン出力用端子も備えている


同じソースを同時に3箇所に出力できる

All Zone stereoモードにも対応
オートセットアップ機能はAudyssey MultEQ XT32を採用し、付属のマイクを使って最適なルームチューニングが行える。ほかにもAudyssey社の最新プロセッシング機能として、自動ボリューム調整「Audyssey Dynamic Volume」や「Audysey Dynamic EQ」のほか、低域のサウンドが隣室に音漏れしないようにコントロールする「Audyssey LFC」も採用。さらに、Audyssey社のインストーラープログラムに準拠した「Audyssey MultEQ Pro」を搭載し、インストーラーによるセットアップ時に、劇場環境に近い視聴環境への詳細なチューニングに追い込むことも可能になった。

付属のセットアップマイク

Audyssey MultEQ XT 32に対応


新しくAudyssey LFEをサポートした

Audyssey MultEQ XT 32により、手軽にルーム環境に合わせたアンプのチューニングが行える
本機の導入時に、機器どうしの接続からアンプ、スピーカーの初期設定までをオンスクリーンで丁寧にガイドしてくれる「セットアップアシスタント」は、「AVR-3313」などのモデルに引き続いて採用されている。

親切丁寧なセットアップアシスタントは本機にも採用されている

GUIはHDMIの入力映像を画面に表示しながら、その上のレイヤーにオーバーレイ表示することが可能だ。4K映像を表示しながらでもオーバーレイ表示は可能だ。

GUIメニューもレイアウトや使いやすさを改善

GUIはアイコンを大きく見やすくするなど改善も図っている

その他、HDMIについては本体フロントパネル搭載の端子で「MHL」に対応して、スマートフォンやタブレットのコンテンツをアンプで再生することができる。また複数のHDMI接続の入力ソースをPinPでマルチモニターできる「InstaPrevue」にも対応している。InstaPrevue機能は付属リモコンに専用キーを設けた。

フロントHDMIはMHLに対応

InstaPrevueもサポートした

映像モードはスタンダード(ビデオソース)/ムービー(フィルムソース)/ビビッド(ゲームや静止画)/カスタムのほかに、インターネット動画配信など低解像の映像に最適な「ストリーミングモード」を新設した。

背面端子部

HDMIは7入力(フロント1)/3出力ぶん搭載


LAN端子は4系統を搭載。ネットワークハブ機能を持たせた

フロントパネルにHDMI、USB端子を搭載した

充実のネットワークオーディオ再生機能 ー 操作性も高めた

ネットワーク機能も充実している。ネットワークオーディオ再生の機能は初期状態で192kHz/24bitのWAV/FLACファイル再生に対応するほか、アップル・ロスレスファイルもサポート。WAV/FLACともにギャップレス再生にも対応した。

ネットワーク機能は使いやすさも向上

ネットワークのセットアップアシスタントには、ネットワーク診断の項目も追加されている

アップル「AirPlay」機能は標準でサポート。インターネットラジオ機能や、USBメモリーに保存したオーディオファイルの再生にも対応する。USB端子はフロントとリアの両側に搭載した。

インターネットラジオはリモコンのダイレクト選局ボタンに4つのステーションを登録しておき、手軽に呼び出して聴取できる。USB端子にiPhone/iPodをデジタル接続して、高品位なサウンドも楽しめる。なおFMラジオチューナーも内蔵する。

LAN端子は本機に周辺のネットワーク機器を3台まで接続できるネットワークハブ機能を搭載。計4基のLAN端子が搭載されている。例えば高音質な音楽ファイルを保存したNASを本機のハブに接続することで、最短の信号伝送を実現でき、より高品位な音楽再生を楽しめる。

LAN端子は4基搭載。スイッチングハブ機能も持たせている

DLNA再生はオリジナルアプリ「Denon Remote App」により手軽に楽しめる。iOS/Android両方のスマートフォンやタブレットで利用できる。このほかにWindows PCから操作が可能なWebコントロール機能にも対応している。

その他、ドルビーTrueHD/DTS-HD Master Audioのデコーダーを搭載。SACDの信号をPCMに変換して再生できる「DSD→PCMコンバージョン機能」が搭載された。圧縮音源の再生も原音に近い状態に復元して楽しめる「コンプレストオーディオリストアラー」も搭載している。

付属のリモコンも、動かすと自動的にバックライトが点灯するオートマチックバックライティング機能を搭載。マクロ専用キーを4つ配置したほか、各々のボタンに異なるマクロを記憶させることができる。IR送信部はリモコン本体の上下に2個配置している。

本機のリモコン。中央にInstaPrevueボタンを搭載した

リモコンにも新機能が搭載された


(株)ディーアンドエムホールディングスは本製品の導入にあたり、記者向けに新製品発表会を開催した。会場には同社国内営業本部 本部長の本田統久氏が登壇した。

(株)ディーアンドエムホールディングス 本田統久氏

本田氏は本機を今年末の商戦に向けてラインナップするAVアンプの最重要モデルとして紹介。「本機の投入により、30万円台のAVアンプでシェア奪回を目指して頑張りたい」と語った。


【問い合わせ先】
デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオお客様相談センター
TEL/0570-666-112


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トピック

製品スペックやデータを見る
  • ジャンルAVアンプ
  • ブランドDENON
  • 型番AVR-4520
  • 発売日2012年10月中旬
  • 価格¥346,500(税込)
【SPEC】●定格出力:150W×9 ●実用最大出力:220W×9 ●周波数特性:10Hz〜100kHz ●HDMI:入力×7、出力×3 ●映像入出力:コンポーネント映像(入力×3/出力×2)、アナログ映像(入力×4/出力×3) ●音声入出力:アナログ音声(入力×7/出力×3)、デジタル音声入力(光入力×2/同軸入力×2)、Phono入力×1、11.2chプリアウト、7.1ch EXT入力、ヘッドホン出力×1 ●その他入出力:Denon Link HD×1、イーサーネット×4、iPod/USB×2 ほか ●消費電力:780W ●外形寸法:434W×194.5H×422.7Dmm ●質量:16.5kg