ソニーとは異なる「印刷式」を採用
【CES】パナソニック、56型4K有機ELテレビを津賀社長の基調講演で公開【情報追加】
「2013 international CES」の開幕日となる1月8日、ラスベガスのベネチアンホテルでは、パナソニックの津賀一宏社長によるキーノートスピーチが行われた。津賀氏はこの中で、RGBオール印刷方式を採用した56型4K有機ELテレビの開発を発表した。CESの同社ブースでも実機を展示している(関連ニュース)。
■講演全体で、パナソニックの幅広い分野にわたる技術力とその姿勢をアピール
本日の講演で津賀氏は、「多くの人はパナソニックをテレビのマニュファクチャリングカンパニーだとイメージするだろう。しかし今回は、“より良い世界”を作ることを目標とする“エコ&エンジニアリングカンパニー”としてのパナソニックをお伝えしたい」と、パナソニックがテレビだけの会社ではないことをアピール。「リビングルームという枠」を超えた、車や航空、エネルギーといったAV事業以外の分野への取り組み内容・姿勢を紹介した。
講演は、「YOUR TV」「YOUR HOME」「YOUR CAR」「YOUR BUSSINESS」「YOUR JOURNEY」「YOUR COMMUNITY」の6項目に分けて行われ、幅広い分野にわたる同社の技術力を提示。また「大きな成長が期待できる」とし、BtoB事業への取り組みを拡大していく姿勢も明らかにした。
■56型4K有機ELテレビを発表
津賀氏はユーザーがテレビに求めるものとして、「コンテンツへの簡単なアクセス、柔軟な選択肢、シンプルで直感的なユーザーエクスペリエンスなど、単に画質が美しい以上の多くのものを望んでいる」と説明。今回のCESで発表されたスマートビエラ2013年モデルが搭載する、パーソナライズ機能とカスタマイズ機能を改めて紹介した。
津賀氏は、パナソニックの新しい時代に向けた取り組みとして「ハードウェアメーカーに留まらない、トータルソリューションやサービスプロバイダーへの事業領域拡大、他のグローバルリーダーとの連携」を挙げた。
ただしその一方で、「ユーザーのニーズに合わせたAVテクノロジーの開発もこれまでどおり進めていく。様々な革新的な新製品で業界をリードしていきたい」とコメント。「RGBオール印刷方式」を採用した56型4K有機ELテレビの開発を発表した。
「印刷方式」とは、有機EL材料を印刷により塗布し、発光層(EL層)を形成する技術。生産工程がシンプルであることから、多様な画面サイズへの展開が容易に行える技術として期待されている。
今回同社は、RGB3原色それぞれの有機EL材料を印刷で個別に塗り分ける「RGBオール印刷方式」を採用し、大画面に均一に塗布する設備技術・プロセス技術を開発した。これにより、色純度を高め優れた色表現性を実現したという。
さらに、光取り出し効率が高い独自の「透明陰極型トップエミッション構造」により、光取り出し率を高め、広視野角を実現。RGBオール印刷方式では大型サイズとなる56型で、4K2Kの高精細画面を搭載する有機ELパネルの開発に成功した。
ピーク輝度は500カンデラで、階調表現は10bit、コントラストは3,000,000対1。本体の厚みも抑え、最薄部は8.9mm。質量は12.4kgで、通常の4Kディスプレイの約半分となる。
なおパナソニックと有機ELの開発で協業関係にあるソニーは、同じく56型の4K有機ELテレビを開発し、同社ブースで展示しているが、ソニーは有機EL材料の形成に蒸着式を採用。またパネルの開発は台湾AUO社が行っている。
今回は、酸化物半導体を用いたTFTを使うところまではソニーの技術を用い、そこから先の有機ELの形成、実際の生産については、両社で全く別の技術を採用したと考えられる。
■ビジネス用20インチ4Kタブレット公開 − BtoBを拡大
津賀氏が「強化していく」と語ったBtoB事業への取り組みの一つとして、同社 ジョゼフ・テーラー役員から紹介されたのが、ビジネス用の20インチ4Kタブレットだ。筐体の薄さにもこだわり、最薄部は約10mmを実現。OSにはWindows 8を搭載する。
「“紙とペン”を超える使い心地の“タブレットとペン”であること」を目標に開発された専用のペンを使って、画面に書き込みを行うことも可能だ。
■エネルギー、車、航空機、トータルソリューションビジネスなど、その他の取り組みも
さらにテーラー氏は、パナソニックが創エネ、蓄エネ、省エネ、エネルギーマネジメントを合わせたソリューションを提供していることを紹介。また「パナソニックの将来においては“エネルギー”と同様に“クラウド”が重要な役割を果たす」とコメント。IBMとは、クラウドでつながった家電製品の将来的な事業および技術価値の評価を共同で行うことに合意したという。
そのほかに、津賀氏はEV等のエコカーへのトータルソリューション展開、ホームAVソリューション技術を活用したコネクティッドカーソリューションの提供についてや、航空会社275社・5,000機以上の旅客機に機内エンターテインメントや通信機能を提供しているなどもアピール。今年は、1,600機以上の航空機でブローバンドのインターネットが楽しめるなど、進化した次世代システムを投入する予定とのことだ。
また、大学の情報キオスクやデジタルサイネージ、レース場のエナジーソリューションなど、あらゆるコミュニティに対しトータルソリューションを提供していることもあわせて紹介された。
■松下幸之助が創業して以来のDNAは変わらない
最後に津賀氏は、「今回お話した内容は、皆さんが知っていたパナソニックの姿とは異なったかもしれない。しかし、パナソニックの基本理念は変わらない」と語った。「創業者・松下幸之助が100年近く前に当社を創業して以来、当社のDNAは変わらない。物を作る前に人を作る、産業報国の精神、お客様大事の心。そして、エコ&スマートソリューションによって、大切なものをより良くしていく。これが今も昔も変わらないパナソニックの姿だ」とし、パナソニックが人々が求めるより良い世界の実現に貢献していくこと、“Engineering a Better World for you”の言葉で講演を締めくくった。
■講演全体で、パナソニックの幅広い分野にわたる技術力とその姿勢をアピール
本日の講演で津賀氏は、「多くの人はパナソニックをテレビのマニュファクチャリングカンパニーだとイメージするだろう。しかし今回は、“より良い世界”を作ることを目標とする“エコ&エンジニアリングカンパニー”としてのパナソニックをお伝えしたい」と、パナソニックがテレビだけの会社ではないことをアピール。「リビングルームという枠」を超えた、車や航空、エネルギーといったAV事業以外の分野への取り組み内容・姿勢を紹介した。
講演は、「YOUR TV」「YOUR HOME」「YOUR CAR」「YOUR BUSSINESS」「YOUR JOURNEY」「YOUR COMMUNITY」の6項目に分けて行われ、幅広い分野にわたる同社の技術力を提示。また「大きな成長が期待できる」とし、BtoB事業への取り組みを拡大していく姿勢も明らかにした。
■56型4K有機ELテレビを発表
津賀氏はユーザーがテレビに求めるものとして、「コンテンツへの簡単なアクセス、柔軟な選択肢、シンプルで直感的なユーザーエクスペリエンスなど、単に画質が美しい以上の多くのものを望んでいる」と説明。今回のCESで発表されたスマートビエラ2013年モデルが搭載する、パーソナライズ機能とカスタマイズ機能を改めて紹介した。
津賀氏は、パナソニックの新しい時代に向けた取り組みとして「ハードウェアメーカーに留まらない、トータルソリューションやサービスプロバイダーへの事業領域拡大、他のグローバルリーダーとの連携」を挙げた。
ただしその一方で、「ユーザーのニーズに合わせたAVテクノロジーの開発もこれまでどおり進めていく。様々な革新的な新製品で業界をリードしていきたい」とコメント。「RGBオール印刷方式」を採用した56型4K有機ELテレビの開発を発表した。
「印刷方式」とは、有機EL材料を印刷により塗布し、発光層(EL層)を形成する技術。生産工程がシンプルであることから、多様な画面サイズへの展開が容易に行える技術として期待されている。
今回同社は、RGB3原色それぞれの有機EL材料を印刷で個別に塗り分ける「RGBオール印刷方式」を採用し、大画面に均一に塗布する設備技術・プロセス技術を開発した。これにより、色純度を高め優れた色表現性を実現したという。
さらに、光取り出し効率が高い独自の「透明陰極型トップエミッション構造」により、光取り出し率を高め、広視野角を実現。RGBオール印刷方式では大型サイズとなる56型で、4K2Kの高精細画面を搭載する有機ELパネルの開発に成功した。
ピーク輝度は500カンデラで、階調表現は10bit、コントラストは3,000,000対1。本体の厚みも抑え、最薄部は8.9mm。質量は12.4kgで、通常の4Kディスプレイの約半分となる。
なおパナソニックと有機ELの開発で協業関係にあるソニーは、同じく56型の4K有機ELテレビを開発し、同社ブースで展示しているが、ソニーは有機EL材料の形成に蒸着式を採用。またパネルの開発は台湾AUO社が行っている。
今回は、酸化物半導体を用いたTFTを使うところまではソニーの技術を用い、そこから先の有機ELの形成、実際の生産については、両社で全く別の技術を採用したと考えられる。
■ビジネス用20インチ4Kタブレット公開 − BtoBを拡大
津賀氏が「強化していく」と語ったBtoB事業への取り組みの一つとして、同社 ジョゼフ・テーラー役員から紹介されたのが、ビジネス用の20インチ4Kタブレットだ。筐体の薄さにもこだわり、最薄部は約10mmを実現。OSにはWindows 8を搭載する。
「“紙とペン”を超える使い心地の“タブレットとペン”であること」を目標に開発された専用のペンを使って、画面に書き込みを行うことも可能だ。
■エネルギー、車、航空機、トータルソリューションビジネスなど、その他の取り組みも
さらにテーラー氏は、パナソニックが創エネ、蓄エネ、省エネ、エネルギーマネジメントを合わせたソリューションを提供していることを紹介。また「パナソニックの将来においては“エネルギー”と同様に“クラウド”が重要な役割を果たす」とコメント。IBMとは、クラウドでつながった家電製品の将来的な事業および技術価値の評価を共同で行うことに合意したという。
そのほかに、津賀氏はEV等のエコカーへのトータルソリューション展開、ホームAVソリューション技術を活用したコネクティッドカーソリューションの提供についてや、航空会社275社・5,000機以上の旅客機に機内エンターテインメントや通信機能を提供しているなどもアピール。今年は、1,600機以上の航空機でブローバンドのインターネットが楽しめるなど、進化した次世代システムを投入する予定とのことだ。
また、大学の情報キオスクやデジタルサイネージ、レース場のエナジーソリューションなど、あらゆるコミュニティに対しトータルソリューションを提供していることもあわせて紹介された。
■松下幸之助が創業して以来のDNAは変わらない
最後に津賀氏は、「今回お話した内容は、皆さんが知っていたパナソニックの姿とは異なったかもしれない。しかし、パナソニックの基本理念は変わらない」と語った。「創業者・松下幸之助が100年近く前に当社を創業して以来、当社のDNAは変わらない。物を作る前に人を作る、産業報国の精神、お客様大事の心。そして、エコ&スマートソリューションによって、大切なものをより良くしていく。これが今も昔も変わらないパナソニックの姿だ」とし、パナソニックが人々が求めるより良い世界の実現に貢献していくこと、“Engineering a Better World for you”の言葉で講演を締めくくった。