テレビに搭載ユニットは共同開発
京セラ、1mmの超薄型スピーカーをLGの曲面有機ELテレビに搭載
LGエレクトロニクス、および同社の研究開発日本拠点のLG Electronics Japan Lab(株)は、京セラ(株)が開発した「ピエゾフィルムスピーカー」を活用し、薄型テレビ向けスピーカーユニット「クリアスピーカー」を開発した。
LGエレクトロニクスは曲面型有機ELテレビ「Curved OLED TV」(関連ニュース)に、このクリアスピーカーを搭載した。今回の発表会はLGエレクトロニクスと京セラが共同で開催し、それぞれ「クリアスピーカー」および「ピエゾフィルムスピーカー」の発表を行った。
■曲面型有機EL「Curved OLED TV」搭載の「クリアスピーカー」
Curved OLED TVはLGエレクトロニクスが2013年1月に発表し、現時点で韓国とアメリカで発売されている。有機ELの画面を中央から左右両サイドにかけて内側にカーブさせ、画面までの距離差を最小化し、視野角範囲を拡大している。
このCurved OLED TVに搭載された「クリアスピーカー」は、京セラが独自に開発した圧電セラミック(ピエゾ素子)と、特殊なフィルム素材を組み合わせた「ピエゾフィルムスピーカー」技術をベースとし、LGエレクトロニクスと京セラが薄型テレビ向けに開発した音響デバイスとなる。
クリアスピーカーは中高域特性を改善し、平面波特性で上下左右にわたって音源が広範囲に拡大する。中高域の透明度や明瞭感、臨場感に優れた音質を実現するという。なお本機には、通常の電磁式スピーカーも背面部に搭載されており、「クリアスピーカー」は特に中高域を補間する役割が与えられている。
またクリアスピーカーは薄型形状なので、超薄型テレビにも画面前方に前向きで設置できる。曲面型有機ELテレビへの搭載においては、凹面の曲面上に配置し、映像の最適視聴位置と音声のスウィートスポットの合致を狙っている。
厚さ2mmの超薄型形状を活かして、厚さ4mmの有機ELパネルとのマッチングを図った上でディスプレイ本体正面に搭載。ガラスフレームと透明フィルムの採用により、デザインについても「Curved OLED TV」とマッチさせた。
■ファインセラミック技術を駆使した「ピエゾフィルムスピーカー」
「ピエゾフィルムスピーカー」(製品名:スマートソニックサウンド)は、京セラが長年培ってきたファインセラミックスの技術を駆使して独自開発したピエゾ素子と、樹脂フィルムを組み合わせた音響デバイスとなる。その詳細については、京セラ(株)取締役 執行役員常務 自動車部品事業本部長の触浩氏が説明を行った。
ピエゾフィルムスピーカーは大型・中型・小型の3サイズをラインナップ。「Curved OLED TV」に搭載された中型サイズで厚さ1mm、重さ7gと、薄型化・軽量化が可能なことが特徴。今回のような薄型テレビに加え、PCやタブレットなど、薄型化、軽量化が求められるデバイスへの採用が想定されている。
テレビ用のスピーカーへの搭載を考えた場合、従来の電磁式スピーカーが構造上、薄型化に限界がある一方で、ピエゾ素子と樹脂コーティング、フレームのみから構成されるピエゾフィルムスピーカーは、同等レベルの音量を出力しながら、その20〜30分の1以下の厚さが実現できるという。
また、ピエゾ素子と樹脂フィルムの面全体が振動することで音を出すため、振動板の前後移動で音が正面に放射される電磁式スピーカーに比べ、音の指向性が広い。さらに、軽くて薄く応答速度が速いため、細かい音の再生能力に優れているという。また周波数の違いにより、フィルム面の中で振動する場所が変化する。
同社はピエゾフィルムスピーカーの利点として“脱レアアース”も掲げる。電磁式スピーカーはマグネットとコイルの磁界の反発力を利用して音を出すため、ネオジウムなどのレアアースが使用される。一方で、ピエゾフィルムスピーカーの主要構成部材はファインセラミックスのピエゾ素子と樹脂のため、環境負荷が少ないとしている。
ピエゾフィルムスピーカーは、従来の電磁式スピーカーに対して周波数帯域と音圧の点で優位性があるという。周波数帯域については、振動板にフィルムを用いることで共振を有効に使って周波数帯域を稼ぐことができ、音圧については積層型が採用できる点で電磁式スピーカーに勝るとのこと。低音域の再生が今後の課題となる。
各サイズの仕様だが、「大型」は再生周波数帯域が200Hz〜20kHz、外形寸法110W×70Dmm、厚さ1.5mm、質量23g。「中型」は再生周波数帯域が500Hz〜20kHz、外形寸法65W×35Dmm、厚さ1.0mm、質量7g。「小型」は再生周波数帯域が800Hz〜20kHz、外形寸法27.5W×19.6Dmm、厚さ0.7mm、質量1g。
なお、ピエゾフィルムスピーカーは鹿児島県の国分工場が生産拠点となる。販売目標については5年後に100億円の事業となることを目指すという。
■曲面型有機ELテレビの国内投入は来年以降
発表会では、LG Electronics Japan Lab(株)代表取締役の尾上善憲氏が挨拶を行った。尾上氏は冒頭で、「今回の曲面型有機ELテレビを開発する際には、いっそのことテレビの概念自体を変えてしまおうという意識がありました。そして、テレビの音についても革新的なものをと考えていたときに、京セラ様から紹介されたのがピエゾフィルムスピーカーでした。ここから、テレビ用スピーカーを共同開発しようという話になりました」と述べた。
また、曲面型有機ELテレビの日本国内での発売については「本機はフルHDモデルだが、国内での4Kの盛り上がりもあり、投入のタイミングは慎重に検討している。来年あたりに満を持して投入となる可能性もある」と語るにとどまった。
また、LG Electronics,Inc. TV研究所 TV AV研究室長のパク・サンヒ氏も来日し、ピエゾフィルムスピーカーを用いた「クリアスピーカー」の概要を説明した。そして、クリアスピーカーは曲面型有機ELテレビの最適視聴位置とサウンドのスィートスポットを一致させるための最適な技術であると述べた。
LGエレクトロニクスは曲面型有機ELテレビ「Curved OLED TV」(関連ニュース)に、このクリアスピーカーを搭載した。今回の発表会はLGエレクトロニクスと京セラが共同で開催し、それぞれ「クリアスピーカー」および「ピエゾフィルムスピーカー」の発表を行った。
■曲面型有機EL「Curved OLED TV」搭載の「クリアスピーカー」
Curved OLED TVはLGエレクトロニクスが2013年1月に発表し、現時点で韓国とアメリカで発売されている。有機ELの画面を中央から左右両サイドにかけて内側にカーブさせ、画面までの距離差を最小化し、視野角範囲を拡大している。
このCurved OLED TVに搭載された「クリアスピーカー」は、京セラが独自に開発した圧電セラミック(ピエゾ素子)と、特殊なフィルム素材を組み合わせた「ピエゾフィルムスピーカー」技術をベースとし、LGエレクトロニクスと京セラが薄型テレビ向けに開発した音響デバイスとなる。
クリアスピーカーは中高域特性を改善し、平面波特性で上下左右にわたって音源が広範囲に拡大する。中高域の透明度や明瞭感、臨場感に優れた音質を実現するという。なお本機には、通常の電磁式スピーカーも背面部に搭載されており、「クリアスピーカー」は特に中高域を補間する役割が与えられている。
またクリアスピーカーは薄型形状なので、超薄型テレビにも画面前方に前向きで設置できる。曲面型有機ELテレビへの搭載においては、凹面の曲面上に配置し、映像の最適視聴位置と音声のスウィートスポットの合致を狙っている。
厚さ2mmの超薄型形状を活かして、厚さ4mmの有機ELパネルとのマッチングを図った上でディスプレイ本体正面に搭載。ガラスフレームと透明フィルムの採用により、デザインについても「Curved OLED TV」とマッチさせた。
■ファインセラミック技術を駆使した「ピエゾフィルムスピーカー」
「ピエゾフィルムスピーカー」(製品名:スマートソニックサウンド)は、京セラが長年培ってきたファインセラミックスの技術を駆使して独自開発したピエゾ素子と、樹脂フィルムを組み合わせた音響デバイスとなる。その詳細については、京セラ(株)取締役 執行役員常務 自動車部品事業本部長の触浩氏が説明を行った。
ピエゾフィルムスピーカーは大型・中型・小型の3サイズをラインナップ。「Curved OLED TV」に搭載された中型サイズで厚さ1mm、重さ7gと、薄型化・軽量化が可能なことが特徴。今回のような薄型テレビに加え、PCやタブレットなど、薄型化、軽量化が求められるデバイスへの採用が想定されている。
テレビ用のスピーカーへの搭載を考えた場合、従来の電磁式スピーカーが構造上、薄型化に限界がある一方で、ピエゾ素子と樹脂コーティング、フレームのみから構成されるピエゾフィルムスピーカーは、同等レベルの音量を出力しながら、その20〜30分の1以下の厚さが実現できるという。
また、ピエゾ素子と樹脂フィルムの面全体が振動することで音を出すため、振動板の前後移動で音が正面に放射される電磁式スピーカーに比べ、音の指向性が広い。さらに、軽くて薄く応答速度が速いため、細かい音の再生能力に優れているという。また周波数の違いにより、フィルム面の中で振動する場所が変化する。
同社はピエゾフィルムスピーカーの利点として“脱レアアース”も掲げる。電磁式スピーカーはマグネットとコイルの磁界の反発力を利用して音を出すため、ネオジウムなどのレアアースが使用される。一方で、ピエゾフィルムスピーカーの主要構成部材はファインセラミックスのピエゾ素子と樹脂のため、環境負荷が少ないとしている。
ピエゾフィルムスピーカーは、従来の電磁式スピーカーに対して周波数帯域と音圧の点で優位性があるという。周波数帯域については、振動板にフィルムを用いることで共振を有効に使って周波数帯域を稼ぐことができ、音圧については積層型が採用できる点で電磁式スピーカーに勝るとのこと。低音域の再生が今後の課題となる。
各サイズの仕様だが、「大型」は再生周波数帯域が200Hz〜20kHz、外形寸法110W×70Dmm、厚さ1.5mm、質量23g。「中型」は再生周波数帯域が500Hz〜20kHz、外形寸法65W×35Dmm、厚さ1.0mm、質量7g。「小型」は再生周波数帯域が800Hz〜20kHz、外形寸法27.5W×19.6Dmm、厚さ0.7mm、質量1g。
なお、ピエゾフィルムスピーカーは鹿児島県の国分工場が生産拠点となる。販売目標については5年後に100億円の事業となることを目指すという。
■曲面型有機ELテレビの国内投入は来年以降
発表会では、LG Electronics Japan Lab(株)代表取締役の尾上善憲氏が挨拶を行った。尾上氏は冒頭で、「今回の曲面型有機ELテレビを開発する際には、いっそのことテレビの概念自体を変えてしまおうという意識がありました。そして、テレビの音についても革新的なものをと考えていたときに、京セラ様から紹介されたのがピエゾフィルムスピーカーでした。ここから、テレビ用スピーカーを共同開発しようという話になりました」と述べた。
また、曲面型有機ELテレビの日本国内での発売については「本機はフルHDモデルだが、国内での4Kの盛り上がりもあり、投入のタイミングは慎重に検討している。来年あたりに満を持して投入となる可能性もある」と語るにとどまった。
また、LG Electronics,Inc. TV研究所 TV AV研究室長のパク・サンヒ氏も来日し、ピエゾフィルムスピーカーを用いた「クリアスピーカー」の概要を説明した。そして、クリアスピーカーは曲面型有機ELテレビの最適視聴位置とサウンドのスィートスポットを一致させるための最適な技術であると述べた。