本国担当者が技術解説
Dolby Atmos説明会が開催 ー ヘッドホン向けも開発中。AVアンプメーカー各社の体験デモも
ドルビージャパンは、新サラウンド技術「Dolby Atmos」の家庭向けである「ドルビーアトモス ホーム」の説明会を開催した。
最初に登壇したドルビージャパンの大沢幸弘社長は、ドルビーの現在の取り組みについて説明。映画や家庭用オーディオ製品だけではなくモバイル製品にも採用されているほか、テレビの色表現を向上させる技術「Dolby Vision」などの映像技術もリリースしていることを紹介した。
「Dolby Atmosは“オブジェクトオーディオ”を使った画期的な技術。映画の分野で急速に普及し始めており、対応映画館も増えてきているし、制作分野でも続々と対応中だ」と語る大沢氏は、Dolby Atmosの音を「今まで聴いたことがないような最高の音響体験」と評する。
現在、全世界で650館以上、対応タイトルは120作以上、対応するミキシング設備は55以上に。また日本では10の劇場に導入され、2015年GW公開の映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー」長編劇場版に採用される予定となっている。
■「ここ20年でいちばんエキサイティングな技術」(クロケット氏)
またDolbyラボラトリーのアドバンストテクノロジーグループ リサーチサウンドテクノロジー シニア・ディレクターのブレット・クロケット氏が登壇し、技術の説明を行った。
既に様々な記事でご紹介しているが、Dolby Atmosとは米Dolby Laboratoryが開発した新たなサウンド技術だ。すでに映画館向けには2012年から提供開始し、アメリカや中国はもちろん、日本においても、徐々に対応する映画館が増えてきている。
大きな特徴は、オーディオ信号にハイト(高さ)成分とメタデータ(位置・時間情報)を付加し、その情報をもとに、スピーカーの位置や数にあわせて最適になるようレンダリングを行う点。従来のチャンネルベースの再生とは概念から大きく変化していると言えるだろう。
映画館用Dolby Atmosと家庭用である「ドルビーアトモス ホーム」の違いは「チャンネル数」。劇場用のほうは最大64ch・128オブジェクトに対応。一方ホームシアター用は最大34ch・10オブジェクトとなる。
クロケット氏によれば、映画館用からホーム用に技術をまとめていく過程は「スピーカーの数も違うし大変だった」そうだが、ホーム用になっても「失われるものは全くない」と言う。「我々の技術Spatial codingによって、全てのオブジェクトの位置を計算し、ドルビーTrueHDやドルビーデジタルプラスにエンコードすることができる」。
また、Dolby Atmos対応AVアンプに内蔵されたオブジェクト・オーディオ・レンダラーにスピーカーの数や場所などの情報を設定することで「映画館と全く同じ音響を再現できる」という。
天井方向から音が出るのも特徴。これを理想的に再生するためには、天井にスピーカーを設置することになる。しかしそれは実際の家庭にはハードルが高いため、天井の反射を利用して上方向から音を降らせる「イネーブルドスピーカー」を開発した。クロケット氏は「ドルビーの長年の聴覚心理に基づいた研究を応用し、周波数特性などを解析することで、あたかも上から聞こえてくるかのような音を実現することができた」とアピールする。
「上から音が聞こえてくるとき、実は頭や耳のかたちや、肩からの反射などで音が変わる。特にその変化は高周波領域で起こる。この特性を解析し利用したものが、イネーブルドスピーカーだ」(クロケット氏)。
クロケット氏は「Dolby Atmosは観客/フィルムメーカーどちらにとってもメリットがある。観客はリアリティあふれるサウンドを体感できるし、フィルムメーカーにとっては制作時の自由度が向上するからだ。ここ20年でいちばんエキサイティングな技術だ」と自信を見せた。
■モバイル端末向けDolby Atmosも開発中
また、ヘッドホンとモバイル端末を組み合わせてDolby Atmosサウンドを楽しめる技術を開発中であることも明らかにされた。
こちらはDolby Atmos対応DSPを組み込んだモバイル端末と、通常のヘッドホンを組み合わせてアトモスサウンドを楽しめるというもの。頭部伝達関数(HRTF)を応用することにより、天井も含めた360度音場を実現するという。レンダリングされた後のコーデックはドルビーTrueHDではなくドルビーデジタルプラスとなる。
「今までもバーチャルヘッドホン技術はあったが、5.1chなどスピーカーポジションを擬似化したものだった。モバイル向けのDolby Atmosは、その概念から解放された技術だ」(クロケット氏)
最初に登壇したドルビージャパンの大沢幸弘社長は、ドルビーの現在の取り組みについて説明。映画や家庭用オーディオ製品だけではなくモバイル製品にも採用されているほか、テレビの色表現を向上させる技術「Dolby Vision」などの映像技術もリリースしていることを紹介した。
「Dolby Atmosは“オブジェクトオーディオ”を使った画期的な技術。映画の分野で急速に普及し始めており、対応映画館も増えてきているし、制作分野でも続々と対応中だ」と語る大沢氏は、Dolby Atmosの音を「今まで聴いたことがないような最高の音響体験」と評する。
現在、全世界で650館以上、対応タイトルは120作以上、対応するミキシング設備は55以上に。また日本では10の劇場に導入され、2015年GW公開の映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー」長編劇場版に採用される予定となっている。
■「ここ20年でいちばんエキサイティングな技術」(クロケット氏)
またDolbyラボラトリーのアドバンストテクノロジーグループ リサーチサウンドテクノロジー シニア・ディレクターのブレット・クロケット氏が登壇し、技術の説明を行った。
既に様々な記事でご紹介しているが、Dolby Atmosとは米Dolby Laboratoryが開発した新たなサウンド技術だ。すでに映画館向けには2012年から提供開始し、アメリカや中国はもちろん、日本においても、徐々に対応する映画館が増えてきている。
大きな特徴は、オーディオ信号にハイト(高さ)成分とメタデータ(位置・時間情報)を付加し、その情報をもとに、スピーカーの位置や数にあわせて最適になるようレンダリングを行う点。従来のチャンネルベースの再生とは概念から大きく変化していると言えるだろう。
映画館用Dolby Atmosと家庭用である「ドルビーアトモス ホーム」の違いは「チャンネル数」。劇場用のほうは最大64ch・128オブジェクトに対応。一方ホームシアター用は最大34ch・10オブジェクトとなる。
クロケット氏によれば、映画館用からホーム用に技術をまとめていく過程は「スピーカーの数も違うし大変だった」そうだが、ホーム用になっても「失われるものは全くない」と言う。「我々の技術Spatial codingによって、全てのオブジェクトの位置を計算し、ドルビーTrueHDやドルビーデジタルプラスにエンコードすることができる」。
また、Dolby Atmos対応AVアンプに内蔵されたオブジェクト・オーディオ・レンダラーにスピーカーの数や場所などの情報を設定することで「映画館と全く同じ音響を再現できる」という。
天井方向から音が出るのも特徴。これを理想的に再生するためには、天井にスピーカーを設置することになる。しかしそれは実際の家庭にはハードルが高いため、天井の反射を利用して上方向から音を降らせる「イネーブルドスピーカー」を開発した。クロケット氏は「ドルビーの長年の聴覚心理に基づいた研究を応用し、周波数特性などを解析することで、あたかも上から聞こえてくるかのような音を実現することができた」とアピールする。
「上から音が聞こえてくるとき、実は頭や耳のかたちや、肩からの反射などで音が変わる。特にその変化は高周波領域で起こる。この特性を解析し利用したものが、イネーブルドスピーカーだ」(クロケット氏)。
クロケット氏は「Dolby Atmosは観客/フィルムメーカーどちらにとってもメリットがある。観客はリアリティあふれるサウンドを体感できるし、フィルムメーカーにとっては制作時の自由度が向上するからだ。ここ20年でいちばんエキサイティングな技術だ」と自信を見せた。
■モバイル端末向けDolby Atmosも開発中
また、ヘッドホンとモバイル端末を組み合わせてDolby Atmosサウンドを楽しめる技術を開発中であることも明らかにされた。
こちらはDolby Atmos対応DSPを組み込んだモバイル端末と、通常のヘッドホンを組み合わせてアトモスサウンドを楽しめるというもの。頭部伝達関数(HRTF)を応用することにより、天井も含めた360度音場を実現するという。レンダリングされた後のコーデックはドルビーTrueHDではなくドルビーデジタルプラスとなる。
「今までもバーチャルヘッドホン技術はあったが、5.1chなどスピーカーポジションを擬似化したものだった。モバイル向けのDolby Atmosは、その概念から解放された技術だ」(クロケット氏)
次ページ各社がDolby Atmos対応AVアンプのデモを実施