テレビ事業は売上高増
ソニー、'14年上半期はモバイル分野減損で最終赤字1,901億円
このように、PS4はG&NS分野の増収増益に貢献。ハードウェアの売り上げだけでなく、PS4導入に伴うネットワーク売上高の大幅な増加、PS4のソフトウェア売上で増収に貢献した。
そのほか、デジタルカメラの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などによってIP&S分野の損益も改善。デバイス分野ではモバイル機器向けの需要増加によりうイメージセンサーの大幅な増収があったほか、「収益化には相当の時間がかかるかと思うが、車載カメラ向けCMOSも着実に進めていきたい」(吉田氏)とした。
そして吉田氏は全体として「平井のこだわりもあり、商品力は強化されていると考えている。また、構造改革も予定のものは順調に進捗し、効果も出始めている」とコメント。「一方で、モバイル分野では収益の安定化のためにこれから新体制で取り組んでいく」と述べて会見を締めくくった。
■質疑応答でもモバイル分野に質問が集中
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.モバイルを除いた、ソニー本体としての利益を稼ぎ出す力はどれくらいになっていると考えているか。
A.一時的な要因を除けば1Q、2Qともある程度利益が出始めている。構造改革の効果も出始めているだろう。最終的には年間で4,000億円という目線を身に着ける途上であると認識している。
Q.減損を除けば利益は出ているが、それでも下期を多少の赤字で見ている背景を教えてほしい。
A.最大のポイントは構造改革だ。販社、本社だけでなく各事業部門にも構造改革を積極的に進める指示がでていて、それに取り組んでいる。もうひとつ、為替の影響がある。プラスに効くセグメントもあるがトータルではマイナスに見ている。また、私が担当になってからも2度下方修正していることもあるので慎重に見ている。
Q.構造改革について、『本社3割』というのはかなりハードな目標だと思うが本当に実現できるのか。進捗具合をききたい。
A.本社3割、販社2割ということでやっており、順調に進捗している。具体的には公表できないが達成できると見ている。
Q.モバイルの販売台数見通しを200万台削減しているが、その200万台はすべて中国なのか。
A.基本的には中国と考えて頂いて結構だ。中国専用モデルの開発を中止するとお考えいただければと思う。
Q.一般消費者のソニーに対する認識として、ブランドイメージが良い時代が続いていたと思う。ブランドイメージの回復についてどう考えているか。
A.構造改革はある意味止血のフェーズ。お客様からのソニーへの期待はそれ以上のものがあると思っている。平井の商品へのこだわりもあって、商品自体はよくなっていると思っている。ただ、そこをしっかり訴求できているかは課題。今後、なんらかの打ち出しをやっていきたい。
Q.止血のフェーズということだが、モバイルでは、そのフェーズが過ぎても数を追わない方針は続くのか。
A.現時点では、9月17日に平井が発表した、エリアと商品数を縮小する方向は変わらない。ただ、数を追わないというのは、売れるものを売らないということではない。すべてが必ず売れるという前提に立たないことが重要だ。
Q.モバイルについて、中国以外の新興市場は現状維持ということでよいのか。
A.現在検討している部分もあるが具体的にはご容赦いただきたい。
Q.モバイルについて、中国で想定を下回ったの原因をもう少し具体的にききたい。
A.外部要因としては、中国メーカーの台頭がある。内部要因としては、キャリアの販路と自社の販路との施策が十分でなかったことが考えられる。
Q.モバイル分野については、市場からはさらなるスリム化などを求める声もある。今後さらなるスリム化を図るような可能性はあるのか。
A.十時の新しいミッションは、よい商品を出すことと同時に、収益力向上のための変革。そのため、追加での構造改革はあり得ると考えている。
Q.これまで、構造改革は吉田氏と十時氏の2名で担当してきていた。このタイミングで十時氏がモバイルにいくということは、『モバイル最優先』ということなのか。
A.収益性を安定させるということで最大の課題はモバイルであると認識している。