HDAM-SA回路採用プリアンプを新搭載
マランツ、旗艦AVプリ「AV8802」。ドルビーアトモス対応/フルディスクリート電流帰還型プリ採用
■マランツのHiFiクオリティのプリアンプをマルチチャンネルで実現
澤田氏は、このHDAM-SA搭載フルディスクリート電流帰還型アンプがAV8802のサウンドの要であるとして、従来モデルAV8801の回路構成と比較しながら特に詳細に説明してくれた。
まずは従来機であるAV8801のプリアンプ部における、ボリュームIC以降の送り出しアンプ回路を解説。「AV8801は2つのオペアンプの間にバッファーアンプとしてHDAM-SAを配置して、アンバランス出力用の送り出しアンプを構成しています。この出力から、さらに2つのオペアンプを使って信号を生成し、XLRバランス出力を作り出します。この場合、アンプのスピードはオペアンプの性能に大きく左右されてしまいます。実際に測定したスルーレート(信号を入力してから音が立ち上がるまでの早さ)は約6V/μsecと、“汎用オペアンプよりは少し早いかな”という程度の値となっています」(澤田氏)。
対してAV8802は、送り出しアンプはHDAM-SAを用いて完全なディスクリート構成としている。「AV8802の送り出しアンプ回路は非常にシンプルで、オペアンプを使うことなく、HDAM-SAの2段構成による完全ディスクリートの電流帰還型回路となっています。ここで作られる信号はアンバランス出力、およびバランス出力の+側で共用されます。そして、この出力を反転型HDAM-SAの回路に送り込み、バランス出力を生成します。HDAM-SA自体の性能向上が大きいこともあり、AV8802のスルーレートは約100/μsecです。アンプの立ち上がりのスピードがいかに早くなったかがおわかりいただけるでしょう」(澤田氏)。
こうした高速化はHi-Fiでは当たり前だが、AVアンプではチャンネル数が多くなるため、ディスクリート構成のアンプを搭載することは通常難しいという。澤田氏は「AVアンプならばオペアンプを使うほうが楽なのですが、AV8802では何百という膨大なトランジスターを用いてディスクリート回路を実現させました。“Hi-Fiと遜色ないグレードの出力性能を持たせる”というのがAV8802におけるテーマであり、豊間の設計における努力もあって素晴らしい性能を得ることができました」と説明していた。
また、澤田氏はアンプの高速化についてもさらに踏み込んで説明。「ただ単に100V/μsecまで高速化したというだけでなく、測定した波形の立ち上がりもきれいになっています。汎用オペアンプを多段で使うと安定度を取るのが難しく、AV8801の波形のように、立ち上がりの波形に“段々”ができてしまいます。HDAM-SAによるフルディスクリート電流帰還型は、そもそもの出自が映像増幅用の回路であり、スピードが速いのは当然です。立ち上がりの波形もきれいです」(澤田氏)。
しかし、アンプが高速化すると、信号はもちろん不要なノイズまでリニアに増幅してしまうため、それを防ぐための対策も重要だったという。豊間氏は「DCオフセット(直流電流の漏れ)によるポップノイズの発生が非常にやっかいで、この点を対策するのが一番苦労しました。オペアンプを使えば、DCオフセットの問題も簡単にクリアできます。しかし、我々はあくまでHi-Fiクオリティを目指し、ディスクリート構成のアンプにこだわったのです」と説明していた。
澤田氏は、このHDAM-SA搭載フルディスクリート電流帰還型アンプがAV8802のサウンドの要であるとして、従来モデルAV8801の回路構成と比較しながら特に詳細に説明してくれた。
まずは従来機であるAV8801のプリアンプ部における、ボリュームIC以降の送り出しアンプ回路を解説。「AV8801は2つのオペアンプの間にバッファーアンプとしてHDAM-SAを配置して、アンバランス出力用の送り出しアンプを構成しています。この出力から、さらに2つのオペアンプを使って信号を生成し、XLRバランス出力を作り出します。この場合、アンプのスピードはオペアンプの性能に大きく左右されてしまいます。実際に測定したスルーレート(信号を入力してから音が立ち上がるまでの早さ)は約6V/μsecと、“汎用オペアンプよりは少し早いかな”という程度の値となっています」(澤田氏)。
対してAV8802は、送り出しアンプはHDAM-SAを用いて完全なディスクリート構成としている。「AV8802の送り出しアンプ回路は非常にシンプルで、オペアンプを使うことなく、HDAM-SAの2段構成による完全ディスクリートの電流帰還型回路となっています。ここで作られる信号はアンバランス出力、およびバランス出力の+側で共用されます。そして、この出力を反転型HDAM-SAの回路に送り込み、バランス出力を生成します。HDAM-SA自体の性能向上が大きいこともあり、AV8802のスルーレートは約100/μsecです。アンプの立ち上がりのスピードがいかに早くなったかがおわかりいただけるでしょう」(澤田氏)。
こうした高速化はHi-Fiでは当たり前だが、AVアンプではチャンネル数が多くなるため、ディスクリート構成のアンプを搭載することは通常難しいという。澤田氏は「AVアンプならばオペアンプを使うほうが楽なのですが、AV8802では何百という膨大なトランジスターを用いてディスクリート回路を実現させました。“Hi-Fiと遜色ないグレードの出力性能を持たせる”というのがAV8802におけるテーマであり、豊間の設計における努力もあって素晴らしい性能を得ることができました」と説明していた。
また、澤田氏はアンプの高速化についてもさらに踏み込んで説明。「ただ単に100V/μsecまで高速化したというだけでなく、測定した波形の立ち上がりもきれいになっています。汎用オペアンプを多段で使うと安定度を取るのが難しく、AV8801の波形のように、立ち上がりの波形に“段々”ができてしまいます。HDAM-SAによるフルディスクリート電流帰還型は、そもそもの出自が映像増幅用の回路であり、スピードが速いのは当然です。立ち上がりの波形もきれいです」(澤田氏)。
しかし、アンプが高速化すると、信号はもちろん不要なノイズまでリニアに増幅してしまうため、それを防ぐための対策も重要だったという。豊間氏は「DCオフセット(直流電流の漏れ)によるポップノイズの発生が非常にやっかいで、この点を対策するのが一番苦労しました。オペアンプを使えば、DCオフセットの問題も簡単にクリアできます。しかし、我々はあくまでHi-Fiクオリティを目指し、ディスクリート構成のアンプにこだわったのです」と説明していた。