発表会の模様をレポート。カギは“ルームスケール”
「HTC Vive」が国内正式発売 - パートナー各社がVRへの取り組みを説明
HTC NIPPONは、HTCブランドのVRヘッドマウントディスプレイ「HTC Vive」の公式発表会を本日開催。また、本日より国内の正規販売パートナー36店舗で販売が開始された。価格は99,800円(税抜)
「HTC Vive」は既に今年3月から予約受付を行い、グローバルサイトでのみ販売を開始。さらに6月からは日本語のオンラインストアがオープンし、日本円による購入も可能になっていたが、国内における「HTC Vive」の店舗での販売は本日の開始となった。
発表会では、HTC Viveの体験・購入ができる店舗が発表されたほか、HTC NIPPON代表取締役社長 玉野氏や、HTC CORPORATION 北アジア代表 ジャック・トン氏、パートナー企業の代表者が登壇。「HTC Vive」およびVRに対する想いを語った。
HTC CORPORATION 北アジア代表 ジャック・トン氏は、「2016年はVR元年だと言われているが、中でも今日は特別な日だ。HTC ViVeは日本のゲーム業界における新たなマイルストーンになる」とコメント。「HTC Viveは、境界をなくしてアイデアを無限に膨らませることができるツールだ。4月5日に世界で販売が開始されてから、多くのユーザーが境界のない無限の世界を楽しんでいる。HTC Viveは夢を現実にしてくれるものだ」とその成果に自信を見せた。
同氏はHTC Viveのコンセプトについて、ヒューマニティ・テクノロジー・イマジネーションで構成された三角形を示し、その中心に新たな体験を生み出す「卵」があると説明。「人生の中で最高のものは、経験することはできても説明はできない。しかしHTC Viveを使えば、言語では説明できないようなものごとを体験できるようになるという」と述べた。
そして、「言葉では説明できないが、HTC Viveで体験できるもの」として複数の例を挙げた。ひとつは手術用のビジョンで、肉眼や従来のモニターでは確認することができなかった脳神経領域や、疾患を解析することが可能になるとした。自動車メーカーのアウディーは、限られたスペースのショールームで車内のデザイン変更などをVRで体験できるようにしてるという。インテリア大手のイケアでは、実際の家具の大きさや仕上げを体感するのにVRを用いている。中国の不動産会社では、遠隔地の物件を体感するのにHTC Viveを用いているとのこと。
同氏は冒頭の言葉通り、HTC Viveがゲームにおいてもやはり重要な担うこともアピール。「日本はゲームビジネスのリーダーを担っている国。HTC Viveは、日本においてより強力なエコシステムを構築し、ゲーム業界をより強力に促進できると考えている。今後は、日本を起点に世界を驚かせるコンテンツを提供していく」と述べた。さらには2020年の東京オリンピックにも言及し、「VRを推進するための格好の材料だ」とした。
次いでHTC CORPORATION VR 新技術部門担当 VPのレイモンド・パオ氏が登壇。HTC Viveの特徴を改めて説明した。
HTC Viveは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ワイヤレスコントローラー、そして室内に設置するモーションセンサーで構成される。外部のモーションセンサーがより正確なトラッキング、そして後述する「ルームスケール」を可能とする。コントローラーにより、ユーザーの手の動きをVR上に直感的に反映することができる。これらはHTC Viveのユニークな点であると同氏は説明する。
続けて「ルームスケール」と「シッティング・エクスペリエンス」という2つの特徴についても言及。「ルームスケール」とは、モーションセンサーにより、4.5m×4.5mのバーチャル空間を再現して、その中を自由に動き回ることができるというもの。一方で、狭い室内での利用も想定して、座った状態でも快適にVRを楽しめる「シッティング・エクスペリエンス」も重視している。後者については、アジア諸国の住宅環境では重要になるとも述べられた。
同氏はHTC Viveのエコシステムについても紹介。世界各国において、HTC Viveのための膨大なコンテンツ、そして多数の関連技術やアプリケーションが製作・開発されているとした。こうした状況を後押しするため。VRVCA(VAベンチャーキャピタル)を設立。VR関連の企業や開発チームに対して、今後100億ドル規模の投資を行っていく。
また、こうしたエコシステムが様々な技術やコンテンツを生み出していく結果として、HTV ViveによるVR体験がゲームを超えた様々な領域に波及していくことを想定しているという。具体的な領域として、ソーシャルネットワーク、教育、観光業、工業デザインなどが列挙された。
「HTC Viveのディベロッパーは、いまや5,000社を超えています。今後ますますコンテンツは増えていくでしょう」(パオ氏)。
再度登壇した玉野氏は、「HTC Viveは無限の可能性を秘めたハードウェア、無限のビジネスチャンスが生まれてくる」と語った。また、他社のVR製品とのちがいを改めて強調。GEAR VRのような360度映像による「ローテーションVR」、OCULUS RIFTやPS VRのような上半身の前後の動きを感知する「位置感知VR」に対して、「HTC Viveは唯一無二/世界初の『ルームスケールVR』だと述べた。「ルームスケール VRは部屋の中を歩きまわることができ、センサーはmm単位で動きをトラッキングするため、VR酔いが少なく、かつリアルな没入感を得られる」と説明した。
国内での販売は、ドスパラ、TSUKUMO、ユニットコムの3社で行われ、計36店舗で7日から販売開始された。価格は99,800円(税抜)。「VRという言葉は知っているが試したことがない人が多い」ことを想定して、販売店舗には必ず体験スペースを設置するという。体験スペースは予約制として、オンライン予約システムを用意する。
前述したViveの体験予約システムを提供する(株)DEGICA代表取締役ジャック・モモセ氏は「VRのユーザー体験の場を広く提供し、VRコンテンツ普及のための環境づくり、Viveの普及、コンテンツのパブリッシングとサポートを担うことが当社の役割」とコメント。「VRは体験することが大切なので、その“場”を提供するためにVR予約システムを用意した」と語った。システムでは名前、メールアドレス、希望の場所を入力するだけで体験予約ができる。同社では、6月1日からオンラインでの国内販売を開始。すでに大学の研究所からの引き合いも強いという。
■コンテンツパートナー各社が「HTC Vive」の魅力を語る
発表会には、HTC Viveを用いたコンテンツを提供するパートナー企業のキーマンが多数登場。それぞれ自社の取り組みについて述べた。
VRによる最先端のエンターテインメントを体感できる“エンタテイメント研究施設”「VR ZONE Project i Can」をお台場ダイバーシティで期間限定展開する(株)バンダイナムコエンターテインメントからは、AM事業部 エグゼクティブプロデューサー 小山順一朗氏が登場。同施設の5つのアクティビティーで合計17台のHTC Viveが稼働していることを紹介した。小山氏は「Viveは非常に頑丈。のべ15,000人がHTC ViveでVRを体験したが、壊れたのは1回だけ。他社製品に比べて脱着もしやすく、眼鏡にも寛容なので様々な人が使用できる」と本機の長所について持論を展開した。
また、VR ZONEで提供予定の2つのアクティビティも紹介。1つはVRの中の大観衆を相手に自分がスターになった感覚を体験できる「マックスボルテージ」。もう1つは、ロボットに搭乗して戦う「ボトムズ バトリング野郎」で、狭いコックピットに閉じ込められる感覚をVRで生々しく体験できるという。格納庫を歩き回る場面にルームスケール機能が用いられている。
(株)コロプラネクスト代表取締役社長 山上愼太郎氏は「コロプラ本体はスマホゲームの会社だが、VRにも注力しきた。数年前からVRコンテンツ開発を行っており、昨年には360度映像によるゲームを作成した」とこれまでの経緯を紹介。一方のコロプラネクストは投資子会社で、VR関連会社に対して投資を行っていく。現時点で20数社に投資を行っているという。「今後はVRVRCの一員として、HTCと一緒にエコシステムを拡大させていく」と同氏。
コロプラが提供するVive向けコンテンツとして、サイバー空間でブロックを崩す「Cyber pong VR」も紹介。対戦モードも用意されており、世界中の人と対決することができる。なお、このゲームは「ルームスケールがないとできなかったゲーム」とのこと。その他にもVive向けに幾つかコンテンツを開発中だという。
電通からは第4CRプランニング局 デジタル・クリエーティブ・センター クリエイティブ・ディレクター 寺本 誠氏が登壇。電通と乃村工藝社とサンシャインにより、池袋サンシャイン60の展望台に設置されたVRアトラクション「TOKYO弾丸フライト」を紹介。これは未来のTOKYOを大砲から発射された人間が飛行するという体験ができるVRアトラクションだ。また、池袋の空を空中ブランコに乗って見る体験ができるVRコンテンツも用意する。
同氏は「TOKYO弾丸フライトの迫力と没入感を表現するためにはHTC Viveが重要だった。解像度を含めた映像クオリティと、老若男女が簡単に装着・使用できる点がポイント」と紹介。「VRを使用したいというクライアントが増えてきており、HTC Viveには期待している。これからもHTCと協力しながら、クライアントにより良いソリューションを提供していく」とコメントした。
大日本印刷(株) ABセンターコミュニケーション 開発本部 デジタルアーカイブビジネス開発部 部長 久永一郎氏は、フランス国立図書館が所有している一般公開されていない貴重な地球儀や天球儀をVR上で鑑賞できる「BnF×DNP MUSEUM LAB Globes in Motion」を紹介した。
そもそもはこうした貴重な地球儀や天球儀をデジタル化するプロジェクトだったが、それが発展して、地球儀・天球儀を内側から見るというVRコンテンツの開発に至ったとのこと。「存在しない世界を見るタイムマシーンを作ったつもり。美術鑑賞というのは人間の考える力を養うためにあると考えています。全てをインタラクティブに見せるのではなく、自分でアクティブに考える道具としての、VRは教育現場でもっと使われていくことになる」と語った。
グリー(株)は、Wright Flyer Studio 事業本部 VR Studio 副部長 江本真一氏は「VRには1年以上前から取り組んでいる。SNSから始まった会社なので、ソーシャルVRにこだわっていく」とコメント。200インチのテレビがある仮想の部屋で、オリンピックを観戦しながらバルーンスティックを叩いたりして応援するというVRを紹介した。同氏は「Viveのコントローラーは、バルーンスティックを叩き合わせた時の振動をリアルに再現してくれるのがいい」と冗談を織り交ぜながら、「当たり前のことが当たり前にできる。ルームスケールのVRなので、コントローラーを落とした時に歩いて行って拾う、ということがスムーズにできるのがすごい。これを他のVRでやろうとすると、リモートで移動できるが体感が全然違ってくる」と語った。
スクウェア・エニックスからは、第10ビジネス・ディビジョン プロデューサー 加島直弥氏が登場。モバイルゲーム「乖離性ミリオンアーサー」の3Dバトル部分をVR化し、イベントに展示したことに言及し、「お客様からの反応がすごかった」ことで可能性を強く感じたという。Viveについては「よかったのはコントローラーがあって、手がトラッキングできること。一見当たり前のようだが、VR内に手があるだけで没入感が高まる。乖離性ミリオンアーサーでは、目の前のカードを選択する場面があるが、今まではスマホをタップして選択していた。Viveを使用することで、実際に自分の手でカードを選択している感覚が体験でき、自分が主人公になった感覚が味わえたことでより楽しんでもらえた」と述べた。
質疑応答では、「日本市場は大きくなく、ルームスケールも一般家庭では使いにくい。コンシューマー向けは難しいのでは?」という質問も挙がった。対してジャック・トン氏は「日本はゲームで成功を収めた国。PCベースのゲームグラフィックカードやテクノロジーパートナーも大勢いるのでコンテンツ次第だと考えている。まずはできるだけ多くのコンテンツパートナーと協力してエコシステムの構築に注力していく。ローカルコンテンツが日本市場から増えていけば、VRビジネス全体が盛り上がる。今はまだ始まったばかりなので、まずはゲームPCを起点として進めていく」と回答した。
■タッチ&トライで「HTC Vive」を体感
発表会の後にはタッチ&トライも用意。記者にとっては初の本格的なVR体験で、HMDの重さとコントローラーの操作に戸惑ったがそれも最初の数秒だけ。あとはボールで花瓶を割ったり、銃でお皿を割ったり、剣で風船を割ったりとやりたい放題。
ボールを投げる時は腕の振りの強さを感知して球速が変化する。優しく投げるとボールが放物線を描いて落下。強く投げたら、壁に当たったボールが思い切り跳ね返ってきて思わず顔を背けてしまう。あくまで仮想空間での出来事とわかっていても、ボールが迫ってくると体が反応しまうリアリティーに驚いた。
剣で風船を割るアクティビティでは、手の中に現れた剣を打ちあわせるとその振動がコントローラーで再現される。視覚だけでなく、こうした触覚にも訴えるVRである点も魅力だと想った。過去に3D酔いをした経験から、VR酔いしないか心配だったが、それもまったく感じることもなかった。
「HTC Vive」は既に今年3月から予約受付を行い、グローバルサイトでのみ販売を開始。さらに6月からは日本語のオンラインストアがオープンし、日本円による購入も可能になっていたが、国内における「HTC Vive」の店舗での販売は本日の開始となった。
発表会では、HTC Viveの体験・購入ができる店舗が発表されたほか、HTC NIPPON代表取締役社長 玉野氏や、HTC CORPORATION 北アジア代表 ジャック・トン氏、パートナー企業の代表者が登壇。「HTC Vive」およびVRに対する想いを語った。
HTC CORPORATION 北アジア代表 ジャック・トン氏は、「2016年はVR元年だと言われているが、中でも今日は特別な日だ。HTC ViVeは日本のゲーム業界における新たなマイルストーンになる」とコメント。「HTC Viveは、境界をなくしてアイデアを無限に膨らませることができるツールだ。4月5日に世界で販売が開始されてから、多くのユーザーが境界のない無限の世界を楽しんでいる。HTC Viveは夢を現実にしてくれるものだ」とその成果に自信を見せた。
同氏はHTC Viveのコンセプトについて、ヒューマニティ・テクノロジー・イマジネーションで構成された三角形を示し、その中心に新たな体験を生み出す「卵」があると説明。「人生の中で最高のものは、経験することはできても説明はできない。しかしHTC Viveを使えば、言語では説明できないようなものごとを体験できるようになるという」と述べた。
そして、「言葉では説明できないが、HTC Viveで体験できるもの」として複数の例を挙げた。ひとつは手術用のビジョンで、肉眼や従来のモニターでは確認することができなかった脳神経領域や、疾患を解析することが可能になるとした。自動車メーカーのアウディーは、限られたスペースのショールームで車内のデザイン変更などをVRで体験できるようにしてるという。インテリア大手のイケアでは、実際の家具の大きさや仕上げを体感するのにVRを用いている。中国の不動産会社では、遠隔地の物件を体感するのにHTC Viveを用いているとのこと。
同氏は冒頭の言葉通り、HTC Viveがゲームにおいてもやはり重要な担うこともアピール。「日本はゲームビジネスのリーダーを担っている国。HTC Viveは、日本においてより強力なエコシステムを構築し、ゲーム業界をより強力に促進できると考えている。今後は、日本を起点に世界を驚かせるコンテンツを提供していく」と述べた。さらには2020年の東京オリンピックにも言及し、「VRを推進するための格好の材料だ」とした。
次いでHTC CORPORATION VR 新技術部門担当 VPのレイモンド・パオ氏が登壇。HTC Viveの特徴を改めて説明した。
HTC Viveは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ワイヤレスコントローラー、そして室内に設置するモーションセンサーで構成される。外部のモーションセンサーがより正確なトラッキング、そして後述する「ルームスケール」を可能とする。コントローラーにより、ユーザーの手の動きをVR上に直感的に反映することができる。これらはHTC Viveのユニークな点であると同氏は説明する。
続けて「ルームスケール」と「シッティング・エクスペリエンス」という2つの特徴についても言及。「ルームスケール」とは、モーションセンサーにより、4.5m×4.5mのバーチャル空間を再現して、その中を自由に動き回ることができるというもの。一方で、狭い室内での利用も想定して、座った状態でも快適にVRを楽しめる「シッティング・エクスペリエンス」も重視している。後者については、アジア諸国の住宅環境では重要になるとも述べられた。
同氏はHTC Viveのエコシステムについても紹介。世界各国において、HTC Viveのための膨大なコンテンツ、そして多数の関連技術やアプリケーションが製作・開発されているとした。こうした状況を後押しするため。VRVCA(VAベンチャーキャピタル)を設立。VR関連の企業や開発チームに対して、今後100億ドル規模の投資を行っていく。
また、こうしたエコシステムが様々な技術やコンテンツを生み出していく結果として、HTV ViveによるVR体験がゲームを超えた様々な領域に波及していくことを想定しているという。具体的な領域として、ソーシャルネットワーク、教育、観光業、工業デザインなどが列挙された。
「HTC Viveのディベロッパーは、いまや5,000社を超えています。今後ますますコンテンツは増えていくでしょう」(パオ氏)。
再度登壇した玉野氏は、「HTC Viveは無限の可能性を秘めたハードウェア、無限のビジネスチャンスが生まれてくる」と語った。また、他社のVR製品とのちがいを改めて強調。GEAR VRのような360度映像による「ローテーションVR」、OCULUS RIFTやPS VRのような上半身の前後の動きを感知する「位置感知VR」に対して、「HTC Viveは唯一無二/世界初の『ルームスケールVR』だと述べた。「ルームスケール VRは部屋の中を歩きまわることができ、センサーはmm単位で動きをトラッキングするため、VR酔いが少なく、かつリアルな没入感を得られる」と説明した。
国内での販売は、ドスパラ、TSUKUMO、ユニットコムの3社で行われ、計36店舗で7日から販売開始された。価格は99,800円(税抜)。「VRという言葉は知っているが試したことがない人が多い」ことを想定して、販売店舗には必ず体験スペースを設置するという。体験スペースは予約制として、オンライン予約システムを用意する。
前述したViveの体験予約システムを提供する(株)DEGICA代表取締役ジャック・モモセ氏は「VRのユーザー体験の場を広く提供し、VRコンテンツ普及のための環境づくり、Viveの普及、コンテンツのパブリッシングとサポートを担うことが当社の役割」とコメント。「VRは体験することが大切なので、その“場”を提供するためにVR予約システムを用意した」と語った。システムでは名前、メールアドレス、希望の場所を入力するだけで体験予約ができる。同社では、6月1日からオンラインでの国内販売を開始。すでに大学の研究所からの引き合いも強いという。
■コンテンツパートナー各社が「HTC Vive」の魅力を語る
発表会には、HTC Viveを用いたコンテンツを提供するパートナー企業のキーマンが多数登場。それぞれ自社の取り組みについて述べた。
VRによる最先端のエンターテインメントを体感できる“エンタテイメント研究施設”「VR ZONE Project i Can」をお台場ダイバーシティで期間限定展開する(株)バンダイナムコエンターテインメントからは、AM事業部 エグゼクティブプロデューサー 小山順一朗氏が登場。同施設の5つのアクティビティーで合計17台のHTC Viveが稼働していることを紹介した。小山氏は「Viveは非常に頑丈。のべ15,000人がHTC ViveでVRを体験したが、壊れたのは1回だけ。他社製品に比べて脱着もしやすく、眼鏡にも寛容なので様々な人が使用できる」と本機の長所について持論を展開した。
また、VR ZONEで提供予定の2つのアクティビティも紹介。1つはVRの中の大観衆を相手に自分がスターになった感覚を体験できる「マックスボルテージ」。もう1つは、ロボットに搭乗して戦う「ボトムズ バトリング野郎」で、狭いコックピットに閉じ込められる感覚をVRで生々しく体験できるという。格納庫を歩き回る場面にルームスケール機能が用いられている。
(株)コロプラネクスト代表取締役社長 山上愼太郎氏は「コロプラ本体はスマホゲームの会社だが、VRにも注力しきた。数年前からVRコンテンツ開発を行っており、昨年には360度映像によるゲームを作成した」とこれまでの経緯を紹介。一方のコロプラネクストは投資子会社で、VR関連会社に対して投資を行っていく。現時点で20数社に投資を行っているという。「今後はVRVRCの一員として、HTCと一緒にエコシステムを拡大させていく」と同氏。
コロプラが提供するVive向けコンテンツとして、サイバー空間でブロックを崩す「Cyber pong VR」も紹介。対戦モードも用意されており、世界中の人と対決することができる。なお、このゲームは「ルームスケールがないとできなかったゲーム」とのこと。その他にもVive向けに幾つかコンテンツを開発中だという。
電通からは第4CRプランニング局 デジタル・クリエーティブ・センター クリエイティブ・ディレクター 寺本 誠氏が登壇。電通と乃村工藝社とサンシャインにより、池袋サンシャイン60の展望台に設置されたVRアトラクション「TOKYO弾丸フライト」を紹介。これは未来のTOKYOを大砲から発射された人間が飛行するという体験ができるVRアトラクションだ。また、池袋の空を空中ブランコに乗って見る体験ができるVRコンテンツも用意する。
同氏は「TOKYO弾丸フライトの迫力と没入感を表現するためにはHTC Viveが重要だった。解像度を含めた映像クオリティと、老若男女が簡単に装着・使用できる点がポイント」と紹介。「VRを使用したいというクライアントが増えてきており、HTC Viveには期待している。これからもHTCと協力しながら、クライアントにより良いソリューションを提供していく」とコメントした。
大日本印刷(株) ABセンターコミュニケーション 開発本部 デジタルアーカイブビジネス開発部 部長 久永一郎氏は、フランス国立図書館が所有している一般公開されていない貴重な地球儀や天球儀をVR上で鑑賞できる「BnF×DNP MUSEUM LAB Globes in Motion」を紹介した。
そもそもはこうした貴重な地球儀や天球儀をデジタル化するプロジェクトだったが、それが発展して、地球儀・天球儀を内側から見るというVRコンテンツの開発に至ったとのこと。「存在しない世界を見るタイムマシーンを作ったつもり。美術鑑賞というのは人間の考える力を養うためにあると考えています。全てをインタラクティブに見せるのではなく、自分でアクティブに考える道具としての、VRは教育現場でもっと使われていくことになる」と語った。
グリー(株)は、Wright Flyer Studio 事業本部 VR Studio 副部長 江本真一氏は「VRには1年以上前から取り組んでいる。SNSから始まった会社なので、ソーシャルVRにこだわっていく」とコメント。200インチのテレビがある仮想の部屋で、オリンピックを観戦しながらバルーンスティックを叩いたりして応援するというVRを紹介した。同氏は「Viveのコントローラーは、バルーンスティックを叩き合わせた時の振動をリアルに再現してくれるのがいい」と冗談を織り交ぜながら、「当たり前のことが当たり前にできる。ルームスケールのVRなので、コントローラーを落とした時に歩いて行って拾う、ということがスムーズにできるのがすごい。これを他のVRでやろうとすると、リモートで移動できるが体感が全然違ってくる」と語った。
スクウェア・エニックスからは、第10ビジネス・ディビジョン プロデューサー 加島直弥氏が登場。モバイルゲーム「乖離性ミリオンアーサー」の3Dバトル部分をVR化し、イベントに展示したことに言及し、「お客様からの反応がすごかった」ことで可能性を強く感じたという。Viveについては「よかったのはコントローラーがあって、手がトラッキングできること。一見当たり前のようだが、VR内に手があるだけで没入感が高まる。乖離性ミリオンアーサーでは、目の前のカードを選択する場面があるが、今まではスマホをタップして選択していた。Viveを使用することで、実際に自分の手でカードを選択している感覚が体験でき、自分が主人公になった感覚が味わえたことでより楽しんでもらえた」と述べた。
質疑応答では、「日本市場は大きくなく、ルームスケールも一般家庭では使いにくい。コンシューマー向けは難しいのでは?」という質問も挙がった。対してジャック・トン氏は「日本はゲームで成功を収めた国。PCベースのゲームグラフィックカードやテクノロジーパートナーも大勢いるのでコンテンツ次第だと考えている。まずはできるだけ多くのコンテンツパートナーと協力してエコシステムの構築に注力していく。ローカルコンテンツが日本市場から増えていけば、VRビジネス全体が盛り上がる。今はまだ始まったばかりなので、まずはゲームPCを起点として進めていく」と回答した。
■タッチ&トライで「HTC Vive」を体感
発表会の後にはタッチ&トライも用意。記者にとっては初の本格的なVR体験で、HMDの重さとコントローラーの操作に戸惑ったがそれも最初の数秒だけ。あとはボールで花瓶を割ったり、銃でお皿を割ったり、剣で風船を割ったりとやりたい放題。
ボールを投げる時は腕の振りの強さを感知して球速が変化する。優しく投げるとボールが放物線を描いて落下。強く投げたら、壁に当たったボールが思い切り跳ね返ってきて思わず顔を背けてしまう。あくまで仮想空間での出来事とわかっていても、ボールが迫ってくると体が反応しまうリアリティーに驚いた。
剣で風船を割るアクティビティでは、手の中に現れた剣を打ちあわせるとその振動がコントローラーで再現される。視覚だけでなく、こうした触覚にも訴えるVRである点も魅力だと想った。過去に3D酔いをした経験から、VR酔いしないか心配だったが、それもまったく感じることもなかった。