新たなカーライフ実現間近
あのボーズも参戦、CESで見た「自動運転」最前線
■レベル2と3のあいだにある大きな壁
そんな中で現状を踏まえれば、どの自動車メーカーも「レベル2」の領域を出ておらず、大半はまだ「レベル1」止まりにある。この領域からどうやって抜け出すか、今はそれに向けたチャレンジが懸命に続けられている状況にあるのだ。
特に「レベル2」と「レベル3」の間には相当に大きな壁があり、そこには運転の責任問題が大きく立ちはだかっている。「レベル3」では条件付きながらも、自動車が安全を担保しながら自動走行することが可能になるからだ。技術的な側面と法的な問題、さらには人がそれがどう捉えるかなど、様々な問題を解決することが求められる。とはいえ、各社とも2020年頃までの実現へ向け、技術的課題を克服すべく動き始めているというのが現在の状況なのだ。
■今年も話題の中心にいたNVIDIA。自動運転に欠かせない存在に
では、今年のCESではどんな発表が行われたのだろうか。
まず今年も話題の中心となっていたのはNVIDIAだ。かつてはゲーム用グラフィックボードを提供するメーカーとして知られていたが、10年近く前からドイツのアウディとパートナー関係になると、急速に自動車の制御系CPUの開発に乗り出す。その卓越した処理能力から、その範囲は自動運転の実現を目指す領域にまで広がっている。
今年のCES2017では、基調講演のトップバッターに同社のジェンスン・フアンCEOが登壇。そこでは自動運転用AI(人工知能)プラットフォームである「NVIDIA DRIVE PX 2」を自動車メーカーのアウディや自動車部品メーカー大手のZFとBoschが採用することを発表。さらにはアウディと共同で、2020年前には「レベル4」の自動運転を実現するとの発表も行った。
また、日本のゼンリンを含む世界の主要地図メーカーとも高精度地図で協業を発表するなど、自動運転の実現はNVIDIAなくしては語れないといった雰囲気となってきている。
■自動運転を人間がサポート、日産の新提案「SAM」
CES初出展で存在感を見せたのが日産だ。同社は日本勢では初めて「完全自動運転」の走行実験を行う予定を表明しているメーカーであり、その計画にはDeNAが関わる。
注目だったのは、自動運転中の不測の事態に、AIではなくオペレーションセンターにいる人間が手助けをするというもの。日産は2020年までに高速〜市街地でも使える自動運転技術を投入予定だが、これらをAIが司るには負担が大き過ぎる。そんな時に人間がネットワーク経由でサポートすれば、より円滑に対処できるというわけだ。
日産ではこの実現のために、惑星探索ロボット等の遠隔操作技術を持つNASAと技術提携し、この技術をSAM(Seamless Autonomous Mobility)と名付けて実証実験に臨む考えだ。