魔法使いの異名を持つ“ジョン・モールトン氏”
Noble Audio創業者が、同社イヤホンの詳細やチューニングの狙いを自ら語った
エミライは、7月1日より米Noble Audioユニバーサルイヤホンの国内輸入代理店となった(関連ニュース)。それを受けて、14日にプレス向け説明会が開催。Noble Audioの共同創業者であり製品開発に携わるジョン・モールトン氏が来日し、自身の略歴やNoble Audio製品の特徴、名前の由来について語ってくれた。
ジョン・モールトン氏は、聴覚分野の博士号と「audiologist」(オーディオロジスト:難聴の診断や補聴器の調整などを行う聴覚専門家)の資格を持っており、Noble Audioの製品開発の中核を担う人物。特に海外においてモールトン氏の音作り・デザインへの信頼は圧倒的で、海外のヘッドホン/イヤホンマニアが集うWEBフォーラム「Head-Fi」において、モールトン氏につけられた愛称は「Wizard(魔法使い)」。その名はNoble AudioのカスタムIEMに、モールトン氏にデザインを一任する「Wizard design」という名のオプションが存在するほど浸透している。
そんなモールトン氏がIEMを手がけることになった素地は、生まれ故郷のテキサスの片田舎にあるのだという。「信号は3つだけ、タクシーをはじめて見たのは20歳になってから」というその町で、聴覚士の父と芸術に興味を持つ母、木工が得意な祖父やおじに囲まれて育ったそうだ。
その影響でオーディオロジストの勉強をはじめたモールトン氏は補聴器を組み立てる授業を最も楽しいと感じ、自分がモノづくりに向いていると考えたのだという。その後、タイの補聴器会社に勤めることとなり、補聴器製造を指導するかたわらカスタムIEMを制作。Head-Fiに投稿した、木を使ったフェイスプレートデザインが好評となり、前述の「Wizard」の愛称が送られることになった。
モールトン氏が制作するNoble Audioのユニバーサルイヤホンの特徴は、デザイン性とコストパフォーマンスを両立したアルミ削り出しフェイスプレート。さらにトップエンドモデルは、筐体全てがアルミ削り出しで制作される。また、一部モデルにはNoble AudioがBAドライバー製造会社に独自に発注した特殊仕様の「Nobleドライバー」が使用され、モールトン氏が理想とするサウンドの実現に役立てられている。
ちなみに「Nobleドライバー」の詳細なスペックなどは伏せられているが、モールトン氏が相性の良いと感じた複数のドライバーをタンデム化したり、インピーダンス(抵抗)値の変更、ドライバーに空けられた音響調整用のベント(穴)のサイズや位置の調整、スパウト(音の出口)を違う位置に付ける、といったチューニングがなされているそうだ。
今回、エミライに代理店移管されたことによるラインナップの変更はなく、従来通り2ドライバーから10ドライバーモデルまで7種類が販売される。分析的でフラットに近づけた周波数特性を持つ、いわゆるモニター的なサウンドの「Reference Family」と、柔らかな音の輪郭や特定のジャンルに特化した周波数特性を持つなど、いわゆる音楽的なサウンドの「Musical Family」の2種類に分けられている。
エミライ扱いとなって変更されるのは、付属ケーブルが「Ultra Thin Cable」と呼ばれる、特殊コーティングされた細身の銀メッキ銅線になること。一方で、価格については「KATANA」「KAISER ENCORE」「SAGE」の3機種で従来価格から1万円前後の値下げされる。他のモデルについても、ケーブル込みで計算すると価格は従来と比較して値下げに相当するとのこと。
■Noble Reference Familyシリーズ
・9ドライバーモデル「KATANA」実売予想価格¥198,000
・2ドライバーモデル「SAGE」実売予想価格¥71,000
・4ドライバーモデル「SAVANNNA」実売予想価格¥59,000
■Noble Musical Familyシリーズ
・10ドライバーモデル「KAISER ENCORE」実売予想価格¥198,000
・6ドライバーモデル「DJANGO」実売予想価格¥116,000
・5ドライバーモデル「DULCE BASS」実売予想価格¥82,000
・3ドライバーモデル「TRIDENT」実売予想価格¥48,000
Reference Familyのトップエンドモデルが9ドライバーの「KATANA」。特注の「Nobleドライバー」が搭載され、高音から低音まで非常にワイドレンジで情報量が多く、かつ音の立ち上がりが早い。名前の由来となった日本刀のような鋭い切れ味のサウンドが持ち味だ。モールトン氏が自身と日本刀の刀工の職人性を重ね合わせたのも名付けの理由だという。
Reference familyの2番手に位置づけられるのは、「賢人」という意味合いの「SAGE」。たったの2ドライバーしか搭載していないが、「Nobleドライバー」によってクリアでワイドレンジなサウンドに作り込まれている。「SAGE」のベースとなっているのは2015年に発売された「SAVANT」で、こちらは発売当初はドライバー数が非公開で、後に2ドライバーだと分かり話題になったモデルだ。「2ドライバーだと分かった時いったん評価が落ちたが、それからまた人気が戻ってきた」とモールトン氏は語っていたが、「SAGE」はそんな「SAVANT」の逸話を引き継ぎ、音質はドライバー数だけで測れないことを教えてくれるモデルになっている。
残るReference Familyは4ドライバーの「SAVANNA」。サバンナの情景から連想される、聴き疲れしにくい滑らかな音色が特徴で、アコースティックな音楽やライブ録音に特に向いているとしている。
「Musical Family」のトップエンドモデルとなるのが「KAISER ENCORE」。Noble Audio設立当時の最上位機種「KAISER 10」をブラッシュアップしたモデルで、「Nobleドライバー」を搭載している。音の輪郭は「KATANA」ほど鋭利過ぎず、かといって柔らかすぎもしない、音楽の情報量、音場表現、いずれも高い次元でまとまったものに仕上がっている。ちなみにその名前については、映画「The Usual Suspects(ユージュアル・サスペクツ)」の登場人物「カイザー・ソゼ」からインスパイアされて名付けられたのだという。
「Django」は、マカロニウエスタンの映画『Django』に登場する紫の上着を羽織ったガンマン、そして彼が持つ6連装のリボルバーを想起して名付けられた6ドライバーモデルで、他のモデルに比べてもっとも柔らかな、いわゆる「暖色系」の音質となっている。音の柔らかさで解像度が落ちることもなく、バランスと聴き応えが両立されたモデルとしている。
「DULCE BASS」はダンス・エレクトロミュージックを聴くのに最適な低音強調モデル。「DULCE」はスペイン語で「Sweet」、つまり「Sweet Bass」という直球のネーミングとなっている。
最後の「TRIDENT」は低域と高域を強調したポップなチューニングがなされた3ドライバーモデル。3つ叉の矛をトライデントと呼ぶが、まさにそのイメージ通りの鋭い音を鳴らしてくれる。
ジョン・モールトン氏は、聴覚分野の博士号と「audiologist」(オーディオロジスト:難聴の診断や補聴器の調整などを行う聴覚専門家)の資格を持っており、Noble Audioの製品開発の中核を担う人物。特に海外においてモールトン氏の音作り・デザインへの信頼は圧倒的で、海外のヘッドホン/イヤホンマニアが集うWEBフォーラム「Head-Fi」において、モールトン氏につけられた愛称は「Wizard(魔法使い)」。その名はNoble AudioのカスタムIEMに、モールトン氏にデザインを一任する「Wizard design」という名のオプションが存在するほど浸透している。
そんなモールトン氏がIEMを手がけることになった素地は、生まれ故郷のテキサスの片田舎にあるのだという。「信号は3つだけ、タクシーをはじめて見たのは20歳になってから」というその町で、聴覚士の父と芸術に興味を持つ母、木工が得意な祖父やおじに囲まれて育ったそうだ。
その影響でオーディオロジストの勉強をはじめたモールトン氏は補聴器を組み立てる授業を最も楽しいと感じ、自分がモノづくりに向いていると考えたのだという。その後、タイの補聴器会社に勤めることとなり、補聴器製造を指導するかたわらカスタムIEMを制作。Head-Fiに投稿した、木を使ったフェイスプレートデザインが好評となり、前述の「Wizard」の愛称が送られることになった。
モールトン氏が制作するNoble Audioのユニバーサルイヤホンの特徴は、デザイン性とコストパフォーマンスを両立したアルミ削り出しフェイスプレート。さらにトップエンドモデルは、筐体全てがアルミ削り出しで制作される。また、一部モデルにはNoble AudioがBAドライバー製造会社に独自に発注した特殊仕様の「Nobleドライバー」が使用され、モールトン氏が理想とするサウンドの実現に役立てられている。
ちなみに「Nobleドライバー」の詳細なスペックなどは伏せられているが、モールトン氏が相性の良いと感じた複数のドライバーをタンデム化したり、インピーダンス(抵抗)値の変更、ドライバーに空けられた音響調整用のベント(穴)のサイズや位置の調整、スパウト(音の出口)を違う位置に付ける、といったチューニングがなされているそうだ。
今回、エミライに代理店移管されたことによるラインナップの変更はなく、従来通り2ドライバーから10ドライバーモデルまで7種類が販売される。分析的でフラットに近づけた周波数特性を持つ、いわゆるモニター的なサウンドの「Reference Family」と、柔らかな音の輪郭や特定のジャンルに特化した周波数特性を持つなど、いわゆる音楽的なサウンドの「Musical Family」の2種類に分けられている。
エミライ扱いとなって変更されるのは、付属ケーブルが「Ultra Thin Cable」と呼ばれる、特殊コーティングされた細身の銀メッキ銅線になること。一方で、価格については「KATANA」「KAISER ENCORE」「SAGE」の3機種で従来価格から1万円前後の値下げされる。他のモデルについても、ケーブル込みで計算すると価格は従来と比較して値下げに相当するとのこと。
■Noble Reference Familyシリーズ
・9ドライバーモデル「KATANA」実売予想価格¥198,000
・2ドライバーモデル「SAGE」実売予想価格¥71,000
・4ドライバーモデル「SAVANNNA」実売予想価格¥59,000
■Noble Musical Familyシリーズ
・10ドライバーモデル「KAISER ENCORE」実売予想価格¥198,000
・6ドライバーモデル「DJANGO」実売予想価格¥116,000
・5ドライバーモデル「DULCE BASS」実売予想価格¥82,000
・3ドライバーモデル「TRIDENT」実売予想価格¥48,000
Reference Familyのトップエンドモデルが9ドライバーの「KATANA」。特注の「Nobleドライバー」が搭載され、高音から低音まで非常にワイドレンジで情報量が多く、かつ音の立ち上がりが早い。名前の由来となった日本刀のような鋭い切れ味のサウンドが持ち味だ。モールトン氏が自身と日本刀の刀工の職人性を重ね合わせたのも名付けの理由だという。
Reference familyの2番手に位置づけられるのは、「賢人」という意味合いの「SAGE」。たったの2ドライバーしか搭載していないが、「Nobleドライバー」によってクリアでワイドレンジなサウンドに作り込まれている。「SAGE」のベースとなっているのは2015年に発売された「SAVANT」で、こちらは発売当初はドライバー数が非公開で、後に2ドライバーだと分かり話題になったモデルだ。「2ドライバーだと分かった時いったん評価が落ちたが、それからまた人気が戻ってきた」とモールトン氏は語っていたが、「SAGE」はそんな「SAVANT」の逸話を引き継ぎ、音質はドライバー数だけで測れないことを教えてくれるモデルになっている。
残るReference Familyは4ドライバーの「SAVANNA」。サバンナの情景から連想される、聴き疲れしにくい滑らかな音色が特徴で、アコースティックな音楽やライブ録音に特に向いているとしている。
「Musical Family」のトップエンドモデルとなるのが「KAISER ENCORE」。Noble Audio設立当時の最上位機種「KAISER 10」をブラッシュアップしたモデルで、「Nobleドライバー」を搭載している。音の輪郭は「KATANA」ほど鋭利過ぎず、かといって柔らかすぎもしない、音楽の情報量、音場表現、いずれも高い次元でまとまったものに仕上がっている。ちなみにその名前については、映画「The Usual Suspects(ユージュアル・サスペクツ)」の登場人物「カイザー・ソゼ」からインスパイアされて名付けられたのだという。
「Django」は、マカロニウエスタンの映画『Django』に登場する紫の上着を羽織ったガンマン、そして彼が持つ6連装のリボルバーを想起して名付けられた6ドライバーモデルで、他のモデルに比べてもっとも柔らかな、いわゆる「暖色系」の音質となっている。音の柔らかさで解像度が落ちることもなく、バランスと聴き応えが両立されたモデルとしている。
「DULCE BASS」はダンス・エレクトロミュージックを聴くのに最適な低音強調モデル。「DULCE」はスペイン語で「Sweet」、つまり「Sweet Bass」という直球のネーミングとなっている。
最後の「TRIDENT」は低域と高域を強調したポップなチューニングがなされた3ドライバーモデル。3つ叉の矛をトライデントと呼ぶが、まさにそのイメージ通りの鋭い音を鳴らしてくれる。