コジマ×ビックカメラ宇都宮本店をレポート。厳しい競争を勝ち抜くため、地域密着で存在感を見せつける

■4Kテレビは訴求の軸足を65V型へ

話題の4K8Kテレビでは、「すべてのメーカーの4Kチューナー内蔵モデルが出揃うのを待っている様子見のお客様が多いようです」と主要メーカーでは最後となるソニーからの商品導入を機に、本格的に動き出すのではないかと予測。消費税増税前の駆け込みにとどまらず、増税後も反動を回避する政府の施策、ラグビーワールドカップや東京オリンピックの効果により「もうひとやま来るはずです」と期待を膨らませる。懸念材料として指摘するのは単価ダウン。そこで、これまで中心に据えていた55V型から、各社のラインナップ充実で選択肢も拡がった「65V型」へと提案の軸足を移し、単価アップを目指す。

さらに“テレビの音”の提案も大事なポイントと位置づける。中心となるサウンドバーは価格帯にも幅があり、「特にグレードの高いテレビを購入されたお客様は、よりグレードの高いサウンドバーをお求めいただける傾向が見受けられます」と“聴き比べ”の提案を重視。また、同時購入はなくても、追加購入に結びつくケースも少なくなく、「接客時にご説明しておくことが大切」と語る。「テレビのサウンドに物足りなさを感じている人は数多くいらっしゃいます。その気持ちをどう刺激できるか。“気づき”を提案できるかです。テレビ販売だけで満足してしまうことは、お客様満足にもつながりません」と訴える。

■地域に根差した営業活動にも力点

ワンフロア構成で約4,200�uの売り場を誇るコジマ×ビックカメラ宇都宮本店。売り場づくりでは「目指す商品がどこにあるのか。パッと見てわかる工夫やわかりやすさが大切」と指摘すると同時に、2カ月に1度くらいの割合で定期的に模様替えを行い、来店頻度拡大へ、“飽き”のこない新鮮さにも気を配る。

目指す売り場内には手書きのPOPや人気ランキングなど、セルフでも選べる工夫を演出。「担当者の“顔”が見えるようにしています」との狙いから、販売員の写真を大きく取り込んだPOPが目につくのも特長のひとつ。さまざまな資格取得者が多く、それらもわかりやすく案内し、“信頼”“安心”をアピールする。

コジマ発祥の地として、「地元の企業やお客様を応援していきたい」と地域に根付いた営業活動にも力を入れる。地元企業とのコラボイベントを積極的に開催。1階入口に設けるコーナーでは異業種とのコラボを展開する。取材時には地元JAを大きく取り上げていた。

人口52万人を要する宇都宮市は、人口・世帯数ともに年々増加傾向を見せている。22年8月には、同店が立地する宇都宮駅東口の再開発事業が完成予定。同年3月には、宇都宮の東西を貫く基幹公共交通として位置付けるLRT（次世代型路面電車）が新たに開業する。「さらに人の流れが生まれ、街にも活気が生まれてくるはずです」と大きな期待を寄せる。

その勢いをどう活かせるか。「価格競争だけに目を向ける時代は終わりました。ネットなど買い方の選択肢も多様化していく中で、お客様が来店される理由やきっかけをわたしたちリアル店舗がどう提供できるかが問われています。ミニ四駆サーキットもそうしたアイデアのひとつ。頼りにされ、求められることにしっかりとお応えしていく。そこにとことんこだわっていきたい」と力を込める。

ネットを見て、下調べをされてから来店されるお客様が増えているが、「その情報や結論が本当に正しいものなのか。お客様が知らない情報を提供し、説明することができれば、お客様の満足度は高まり、お客様が店頭まで足を運ぶ理由が生まれてきます」と語る。リアル店舗の存在意義は微塵も衰えることはない。「人を介した商売の大切さをこれからも丁寧に訴えていきます」と顧客接点をさらに強化。活気あふれる店づくりに邁進していく構えだ。

コジマ×ビックカメラ宇都宮本店をレポート。厳しい競争を勝ち抜くために、地域密着で存在感を見せつける