アマゾンジャパン向けWEBセミナーも開催
電気製品認証協議会、Sマーク付き電気製品の店頭普及調査を初めてネット販売へ拡大して実施
■高額製品はネット販売でもSマーク付きが大勢
電気製品認証協議会(SCEA)は記者懇談会を開催し、2020年度の活動内容を報告した。毎年実施している「Sマーク付き電気製品の店頭普及および実態調査」では、初めてネット販売における調査も実施。また、ネット販売における電気製品の安全性を高める観点から、アマゾンジャパン合同会社からの要請を受けて開催されたWEBセミナーについても説明が行われた。
電気製品の安全性を確保するため、民間の第三者認証制度「Sマーク認証」の公正な運用と普及・促進のための活動を行うSCEAでは、さまざまな販売チャネルの協力のもと、「Sマーク付き電気製品の店頭普及および実態調査」を毎年行っている。昨年度は日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、家電量販店、日本DIY協会、日本通信販売協会の協力を得て11月に実施。コロナ禍の影響で毎年協力いただいている全国電機商業組合連合会での調査は行えなかったが、その一方で、ネット販売に対して初めて調査を実施。調査方法としては従来と同様の製品カテゴリー17品目ごとに、一般に公開されている価格.comの売れ筋ランキング上位150機種、amazon、楽天、Yahooそれぞれの売れ筋ランキング上位50機種が調査対象に加わった。
17品目15,131件の従来調査(ネット販売を除く)による店頭普及率は68.3%で、前年度の70.4%から2.1ポイントのダウンとなった。17の調査品目すべてにわたって低下傾向にあり、広報専門部会長の三浦佳子氏はSマークの普及率が比較的高い全国電機商業組合連合会で実施できなかった影響も出ていると分析する。さらに、これに新たに加わったネットを含めた総平均は66.2%。個別には価格.comが66.9%、amazonが55.7%、楽天が58.7%、Yahooが55.9%となる。ネット販売での結果について「調理家電では広範囲にわたり、大幅にSマークの比率が下がっているのが懸念される。一方、洗濯機やテレビなど“一家に一台”の高額製品ではネット販売でもSマークの比率が高い」と説明した。
「4割近い製品がSマークを付けずに売られているが、選ぶのは消費者であり、Sマークが付いているかどうかなどはあまりこだわらずに購入されている傾向が見て取れる」と消費者行動を分析。特にネット販売では「取り扱う商品はご存じの通り玉石混交で、同じような商品でも価格差は大きく、消費者の目からすれば聞いたこともない海外メーカーでも安い方がいいと買われる人も少なくない。また、知名度も高く人気のある海外メーカーなのに実はSマークをとっていないケースも見受けられる」と指摘する。
SCEA事務局長の平井雄二氏は、初めてとなったネット販売への調査について「売れ筋上位に限れば高額なナショナルブランドの製品がズラリと並んでおり、消費者も金額が張る買い物では失敗してはいけないなとかなり慎重な機種選択をされている印象だ」と胸をなでおろす。しかし、Sマーク製品の普及率が低いフードプロセッサーなどの調理家電は「安いだけでなく、デザイン性なども非常に考えられていて、消費者にはとても魅力的に映る。ただ、安全性についてはあまり訴求されていない。家電量販店でもそのあたりの売れ筋はよく研究されていて、そうした商品を店頭にも並べなければとも考えており、ネット販売の好調な部分に引っ張られている印象は否定できない」と分析する。
三浦氏は「安く買うことは消費者からすれば当たり前のことだが、ルール上は返品できない通販だからこそ、選ぶときには“安全性”にも目配りして商品を選択してほしい。法律であるPSEマークすらとっていない事故が起きている商品がネット上で平然と売られているのが実情。それらを消費者がチェックするのはなかなか難しく、ひとつの目安としてSマークを選ぶのは大事なこと。“安全”に対してお金や人を費やしている商品の方がよりよいものだということが世の中の認識になっていって欲しい」と訴えた。なお、店頭に並んでいるものにどれくらいSマークがついているかを表す“店頭普及率”に対し、実販売台数を加味したSマークの“市場普及率”は、おおよそ10〜15ポイント程度は高い数字になることが想定されるという。
■アマゾンジャパンがSマーク認証を活用して出店者負担を軽減
伸長するネット販売での安全性は喫緊の課題として注目されるが、SCEAではアマゾンジャパン合同会社からの要請を受け、「Sマーク認証WEBセミナー」を2020年12月11日に実施した。受講対象者はアマゾンジャパンの各部門から約10名。SCEAの平井事務局長が講師をつとめ、電気用品安全法とSマーク認証の相違点などを中心に講義を行った。
平井氏は経緯について「アマゾンジャパンさんが今取り組んでいるのは、出店者に対して電気用品安全法(電安法)を順守するよう指導すること。電安法の対象となる製品には、経済産業局への届け出や検査記録のコピー、表示が正しいかどうか確認するための銘板の写真の提出などを求めている。できないところは出店停止処分となり、ネットでの販売は行えない。ただ、手間と労力がかかることも事実で、Sマーク認証を取得することによりそうした手続きをもう少し簡素化できるのではないかと考え、今回のWEBセミナーの開催に至った」と説明する。
出店者はSマーク認証を取得すれば、経産省経済産業局への届け出の他にはSマークの認証書の写しを提出するだけで手続きを完了できる。アマゾンジャパンのホームページでは3月からこのことが掲載、説明しており、「SCEA事務局としてネット販売事業者へのアプローチが十分できていなかったため、今回のセミナーでの関係構築により一歩前進することができた」と手ごたえを示す。三浦氏も「アマゾンジャパンさんのようなところがしっかり取り組まれると消費者の認識も変わってくる。今後もさらにネット販売事業者に対するSマーク認証のご理解を深めていきたい」と訴えた。
■電気製品の“安全”へ一翼を担うSマーク
記者懇談会の冒頭では横山明彦会長があいさつ。続けてあいさつを述べた大崎博之会長代理は「最近はいろいろな新しい技術が製品に採り入れられ、安全対策と普及とを並行して検討しているものが多くなっている」と指摘。リチウムイオンバッテリーや遠隔操作を例にあげ、普及を目指すのは当然だが、行政を含め安全な製品を供給することが大事であることを疎かにしてはならないと訴えた。「充電式の電気掃除機や電動工具の事故が最近、急増している。なかにはPSEマークが付いているのに法令の基準に適合していないものも流通していることがある。こうした課題に対し、第三者認証であるSマークがうまく機能することで、電気製品を安心して使っていただけるよう貢献していきたい」と力を込めた。
認証に関する実務等を担う「基本問題専門部会」の活動を報告した部会長の小野亮氏からはSマーク独自の「追加基準」や「運用基準」について「市場における事故情報や法令改正について常に注視しており、必要に応じて認証における追加基準等を制定している。製品を供給する側の実態も十分に踏まえ、最適な認証ルール化を目指している」と説明が行われた。2020年4月から12月の期間に、Sマーク認証製品でのリコールやSマークの不正使用の発生、初回ロット検査での問題等は認められなかった。仮に認められた場合には、認証機関による事実関係調査が行われ、原因究明と再発防止策の徹底、さらに、認証取り消し処分等の厳しい対処が行われる。
最後に認証機関を代表してあいさつに立った一般財団法人 電気安全環境研究所 常務理事・古谷毅氏は「安全な製品が作られ、流通し、消費者の皆様方に使っていただく、その責務を果たすべく我々認証機関は業務を行っている。Sマークが皆様方に認識されることがベースであり、重要であることは言うまでもない。昨今SDGsが注目されるが、電気製品に関する“安全”も同じような目でご理解いただきたい。Sマークがその一翼を担い、大きな役割を果たすことを期待している」と締めくくった。
電気製品認証協議会(SCEA)は記者懇談会を開催し、2020年度の活動内容を報告した。毎年実施している「Sマーク付き電気製品の店頭普及および実態調査」では、初めてネット販売における調査も実施。また、ネット販売における電気製品の安全性を高める観点から、アマゾンジャパン合同会社からの要請を受けて開催されたWEBセミナーについても説明が行われた。
電気製品の安全性を確保するため、民間の第三者認証制度「Sマーク認証」の公正な運用と普及・促進のための活動を行うSCEAでは、さまざまな販売チャネルの協力のもと、「Sマーク付き電気製品の店頭普及および実態調査」を毎年行っている。昨年度は日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、家電量販店、日本DIY協会、日本通信販売協会の協力を得て11月に実施。コロナ禍の影響で毎年協力いただいている全国電機商業組合連合会での調査は行えなかったが、その一方で、ネット販売に対して初めて調査を実施。調査方法としては従来と同様の製品カテゴリー17品目ごとに、一般に公開されている価格.comの売れ筋ランキング上位150機種、amazon、楽天、Yahooそれぞれの売れ筋ランキング上位50機種が調査対象に加わった。
17品目15,131件の従来調査(ネット販売を除く)による店頭普及率は68.3%で、前年度の70.4%から2.1ポイントのダウンとなった。17の調査品目すべてにわたって低下傾向にあり、広報専門部会長の三浦佳子氏はSマークの普及率が比較的高い全国電機商業組合連合会で実施できなかった影響も出ていると分析する。さらに、これに新たに加わったネットを含めた総平均は66.2%。個別には価格.comが66.9%、amazonが55.7%、楽天が58.7%、Yahooが55.9%となる。ネット販売での結果について「調理家電では広範囲にわたり、大幅にSマークの比率が下がっているのが懸念される。一方、洗濯機やテレビなど“一家に一台”の高額製品ではネット販売でもSマークの比率が高い」と説明した。
「4割近い製品がSマークを付けずに売られているが、選ぶのは消費者であり、Sマークが付いているかどうかなどはあまりこだわらずに購入されている傾向が見て取れる」と消費者行動を分析。特にネット販売では「取り扱う商品はご存じの通り玉石混交で、同じような商品でも価格差は大きく、消費者の目からすれば聞いたこともない海外メーカーでも安い方がいいと買われる人も少なくない。また、知名度も高く人気のある海外メーカーなのに実はSマークをとっていないケースも見受けられる」と指摘する。
SCEA事務局長の平井雄二氏は、初めてとなったネット販売への調査について「売れ筋上位に限れば高額なナショナルブランドの製品がズラリと並んでおり、消費者も金額が張る買い物では失敗してはいけないなとかなり慎重な機種選択をされている印象だ」と胸をなでおろす。しかし、Sマーク製品の普及率が低いフードプロセッサーなどの調理家電は「安いだけでなく、デザイン性なども非常に考えられていて、消費者にはとても魅力的に映る。ただ、安全性についてはあまり訴求されていない。家電量販店でもそのあたりの売れ筋はよく研究されていて、そうした商品を店頭にも並べなければとも考えており、ネット販売の好調な部分に引っ張られている印象は否定できない」と分析する。
三浦氏は「安く買うことは消費者からすれば当たり前のことだが、ルール上は返品できない通販だからこそ、選ぶときには“安全性”にも目配りして商品を選択してほしい。法律であるPSEマークすらとっていない事故が起きている商品がネット上で平然と売られているのが実情。それらを消費者がチェックするのはなかなか難しく、ひとつの目安としてSマークを選ぶのは大事なこと。“安全”に対してお金や人を費やしている商品の方がよりよいものだということが世の中の認識になっていって欲しい」と訴えた。なお、店頭に並んでいるものにどれくらいSマークがついているかを表す“店頭普及率”に対し、実販売台数を加味したSマークの“市場普及率”は、おおよそ10〜15ポイント程度は高い数字になることが想定されるという。
■アマゾンジャパンがSマーク認証を活用して出店者負担を軽減
伸長するネット販売での安全性は喫緊の課題として注目されるが、SCEAではアマゾンジャパン合同会社からの要請を受け、「Sマーク認証WEBセミナー」を2020年12月11日に実施した。受講対象者はアマゾンジャパンの各部門から約10名。SCEAの平井事務局長が講師をつとめ、電気用品安全法とSマーク認証の相違点などを中心に講義を行った。
平井氏は経緯について「アマゾンジャパンさんが今取り組んでいるのは、出店者に対して電気用品安全法(電安法)を順守するよう指導すること。電安法の対象となる製品には、経済産業局への届け出や検査記録のコピー、表示が正しいかどうか確認するための銘板の写真の提出などを求めている。できないところは出店停止処分となり、ネットでの販売は行えない。ただ、手間と労力がかかることも事実で、Sマーク認証を取得することによりそうした手続きをもう少し簡素化できるのではないかと考え、今回のWEBセミナーの開催に至った」と説明する。
出店者はSマーク認証を取得すれば、経産省経済産業局への届け出の他にはSマークの認証書の写しを提出するだけで手続きを完了できる。アマゾンジャパンのホームページでは3月からこのことが掲載、説明しており、「SCEA事務局としてネット販売事業者へのアプローチが十分できていなかったため、今回のセミナーでの関係構築により一歩前進することができた」と手ごたえを示す。三浦氏も「アマゾンジャパンさんのようなところがしっかり取り組まれると消費者の認識も変わってくる。今後もさらにネット販売事業者に対するSマーク認証のご理解を深めていきたい」と訴えた。
■電気製品の“安全”へ一翼を担うSマーク
記者懇談会の冒頭では横山明彦会長があいさつ。続けてあいさつを述べた大崎博之会長代理は「最近はいろいろな新しい技術が製品に採り入れられ、安全対策と普及とを並行して検討しているものが多くなっている」と指摘。リチウムイオンバッテリーや遠隔操作を例にあげ、普及を目指すのは当然だが、行政を含め安全な製品を供給することが大事であることを疎かにしてはならないと訴えた。「充電式の電気掃除機や電動工具の事故が最近、急増している。なかにはPSEマークが付いているのに法令の基準に適合していないものも流通していることがある。こうした課題に対し、第三者認証であるSマークがうまく機能することで、電気製品を安心して使っていただけるよう貢献していきたい」と力を込めた。
認証に関する実務等を担う「基本問題専門部会」の活動を報告した部会長の小野亮氏からはSマーク独自の「追加基準」や「運用基準」について「市場における事故情報や法令改正について常に注視しており、必要に応じて認証における追加基準等を制定している。製品を供給する側の実態も十分に踏まえ、最適な認証ルール化を目指している」と説明が行われた。2020年4月から12月の期間に、Sマーク認証製品でのリコールやSマークの不正使用の発生、初回ロット検査での問題等は認められなかった。仮に認められた場合には、認証機関による事実関係調査が行われ、原因究明と再発防止策の徹底、さらに、認証取り消し処分等の厳しい対処が行われる。
最後に認証機関を代表してあいさつに立った一般財団法人 電気安全環境研究所 常務理事・古谷毅氏は「安全な製品が作られ、流通し、消費者の皆様方に使っていただく、その責務を果たすべく我々認証機関は業務を行っている。Sマークが皆様方に認識されることがベースであり、重要であることは言うまでもない。昨今SDGsが注目されるが、電気製品に関する“安全”も同じような目でご理解いただきたい。Sマークがその一翼を担い、大きな役割を果たすことを期待している」と締めくくった。