3層基板で電源を大きく確保、125W+125W(4Ω)の定格出力を実現
デノン、Hi-Fiサウンドを手軽に楽しめるHDMI搭載ネットワークアンプ「DENON HOME AMP」
デノンは、コンパクトサイズのネットワークアンプ「DENON HOME AMP」を7月19日より発売する。価格は121,000円(税込)。
217W×86H×242Dmmというコンパクトな筐体に、独自のネットワークオーディオシステム「HEOS」とフルデジタルアンプ、HDMI入力などを搭載したネットワークアンプ製品。デノンでは、これまでにも時代に沿ったコンパクトオーディオシステムを打ち出してきたが、本製品は2024年のトレンドである「リビングオーディオ」に応えたモデルとなる。
デノンの田中清崇氏は「いわゆるHi-Fiコンポーネントというより、音楽を身近なものとして楽しんでほしい、という想いからDENON HOMEシリーズとしてリリースした。本機にはボリュームノブなどがなく、いわゆるオーディオっぽさがない。それでいて音はHi-Fiクオリティ、というものを、110年を超えるオーディオメーカーとして作り上げた」と語る。
デザインはアメリカ人のデザイナーが担当。コンセプトは「和」で、天板の波は枯山水を、キャビネットの丸みは茶器をイメージしたという。天板はパンチングメタルになっており、内部が透けて見えるが、コンデンサーなどの振動防止シリコンを黒くするといった工夫を施し、見栄えを損なわないように配慮したとのこと。
また、側面が底面に対して直角になるデザインは、実は一般的な金型では製造が難しく、前後左右の4方向からプレスする特殊な金型を用いることで実現したそうだ。
アンプは定格出力125W+125W(4Ω)のAxign社製フルデジタルアンプを採用。デジタル音声信号の入力に対応し、さらにスピーカー出力直前のフィルター回路までアナログ変換せず一貫してデジタルのまま処理するため、純粋かつ高品位に増幅することが可能だとする。
ネットワークオーディオシステムのHEOSを搭載することで、Amazon Music HDやSpotifyなどのストリーミングサービス再生から、最大PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzのハイレゾファイル再生、BluetoothやAirPlay 2でのワイヤレス再生にまで対応する。
eARC、CEC対応のHDMI入力を備え、194kHz/24bitまでのリニアPCM、Dolby Digital Plus信号をそのまま入力することが可能。ただし、マルチチャンネル信号はステレオにダウンミックスされて再生される。ほか、入力系統は光デジタル、USB-Aのデジタル入力、RCAのアナログ入力を装備する。
基板は3層構造となっており、下段に電源とアンプ、中段にHEOS、上段に入力系を配置。これにより、コンパクトな筐体サイズの中で電源基板の面積を多く確保することができ、高出力を実現させたという。また、温度の制御や、回路間の相互干渉を最小限に抑えるなどの観点からも、最適な形状/レイアウトになっているとのこと。
底面には4mm圧のアルミ製ボトムプレートを採用したうえで、高剛性のインナーシャーシで3層の基板を支える本機専用の「モノブロック・インナーストラクチャー」を新開発。デノンサウンドマスター・山内慎一氏が手掛けたオリジナルコンデンサー「SYコンデンサー」や、旗艦アナログプレーヤー「DP-3000NE」用に開発された大型カスタムコンデンサーなどの高音質パーツも投入している。本体質量は2.1kg。
音質検討はもちろん山内氏が担当し、「Vivid & Spacious」のフィロソフィーを追求。山内氏は音質を追い込む中でのポイントとして、「(Axignのフルデジタルアンプについて)第一印象で飛び抜けたものがあったわけではないが、実際に触ってみると扱いやすいと感じた」「パンチングメタルの天板は開放度が高く、Vivid & SpaciousにおけるSpacious(空間性)に大きく貢献している」と語る。
また、本機とコンセプトの近しい製品として、昨年発売したCDプレーヤー搭載ネットワークアンプ「RCD-N12」を引き合いに出しつつ、「RCD-N12のノウハウもあってスムーズに開発が進んだところや、N12における音質面の心残りを1年越しに実現できたところがある」「すごく積極的に鳴らすアンプで、かつVivid & Spaciousの要素も兼ね備えた製品」と、本機の違いについて説明した。
発表に際し、一足先にDENON HOME AMPの音を聴くことができたため、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
まずはFourplayから聴いてみる。空間表現の巧みさはさすがの山内氏といったところだが、中でもベースとドラムが際立って力強く、筋肉質な鳴り方をしているのが特徴的だ。
アリソン・クラウスでは、様々な楽器の音をしっかり描き分ける空間性、アコースティック楽器の木の鳴りまで描く表現力を見せつつ、ほかのデノン製品と比べると、音の輪郭がくっきりしているような印象を感じる。
特に顕著なのがエレクトロミュージックで、シンセのギラっとしたキャラクターや、明滅するような瞬間的なベースをビビッドかつパワフルに描いてくれる。Vivid & Spaciousを基調としたデノンHi-Fiサウンドの系譜ながら、彫りの深い男性的な音を聴かせてくれるアンプだと思えた。
たおやかな音の表現やS/Nといった点についても、コンパクトなネットワークアンプとして申し分ない。デノンの他のHi-Fiコンポーネントとのキャラクター性の違いから、デノンユーザーのセカンドシステムとしても活躍してくれるのではないかと期待を持てた。
ちなみに本機の登場にあたり、先立ってマランツから発売されたワイヤレス・ストリーミング・アンプ「MODEL M1」を思い浮かべた方もいることだろう。確かに、同じディーアンドエムホールディングスの製品ではあるが、デノン田中氏曰く「最初の時点から両ブランド別々に開発しているため、内部構造や音は別物」とのこと。
同時に田中氏は、「おかげさまでMODEL M1は新しい市場を切り拓きつつあるが、それを1ブランドだけで行うのは大変なこと。そんななか、デノンのような老舗ブランドからもこういった製品を打ち出していくことに意味があるのではないだろうか」と、現代的なオーディオ市場への意気込みを見せていた。
■サブスク/テレビをカバーした現代的なコンパクトオーディオ「DENON HOME AMP」
217W×86H×242Dmmというコンパクトな筐体に、独自のネットワークオーディオシステム「HEOS」とフルデジタルアンプ、HDMI入力などを搭載したネットワークアンプ製品。デノンでは、これまでにも時代に沿ったコンパクトオーディオシステムを打ち出してきたが、本製品は2024年のトレンドである「リビングオーディオ」に応えたモデルとなる。
デノンの田中清崇氏は「いわゆるHi-Fiコンポーネントというより、音楽を身近なものとして楽しんでほしい、という想いからDENON HOMEシリーズとしてリリースした。本機にはボリュームノブなどがなく、いわゆるオーディオっぽさがない。それでいて音はHi-Fiクオリティ、というものを、110年を超えるオーディオメーカーとして作り上げた」と語る。
デザインはアメリカ人のデザイナーが担当。コンセプトは「和」で、天板の波は枯山水を、キャビネットの丸みは茶器をイメージしたという。天板はパンチングメタルになっており、内部が透けて見えるが、コンデンサーなどの振動防止シリコンを黒くするといった工夫を施し、見栄えを損なわないように配慮したとのこと。
また、側面が底面に対して直角になるデザインは、実は一般的な金型では製造が難しく、前後左右の4方向からプレスする特殊な金型を用いることで実現したそうだ。
■3層構造で高出力を実現。高音質パーツも惜しみなく投入
アンプは定格出力125W+125W(4Ω)のAxign社製フルデジタルアンプを採用。デジタル音声信号の入力に対応し、さらにスピーカー出力直前のフィルター回路までアナログ変換せず一貫してデジタルのまま処理するため、純粋かつ高品位に増幅することが可能だとする。
ネットワークオーディオシステムのHEOSを搭載することで、Amazon Music HDやSpotifyなどのストリーミングサービス再生から、最大PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzのハイレゾファイル再生、BluetoothやAirPlay 2でのワイヤレス再生にまで対応する。
eARC、CEC対応のHDMI入力を備え、194kHz/24bitまでのリニアPCM、Dolby Digital Plus信号をそのまま入力することが可能。ただし、マルチチャンネル信号はステレオにダウンミックスされて再生される。ほか、入力系統は光デジタル、USB-Aのデジタル入力、RCAのアナログ入力を装備する。
基板は3層構造となっており、下段に電源とアンプ、中段にHEOS、上段に入力系を配置。これにより、コンパクトな筐体サイズの中で電源基板の面積を多く確保することができ、高出力を実現させたという。また、温度の制御や、回路間の相互干渉を最小限に抑えるなどの観点からも、最適な形状/レイアウトになっているとのこと。
底面には4mm圧のアルミ製ボトムプレートを採用したうえで、高剛性のインナーシャーシで3層の基板を支える本機専用の「モノブロック・インナーストラクチャー」を新開発。デノンサウンドマスター・山内慎一氏が手掛けたオリジナルコンデンサー「SYコンデンサー」や、旗艦アナログプレーヤー「DP-3000NE」用に開発された大型カスタムコンデンサーなどの高音質パーツも投入している。本体質量は2.1kg。
音質検討はもちろん山内氏が担当し、「Vivid & Spacious」のフィロソフィーを追求。山内氏は音質を追い込む中でのポイントとして、「(Axignのフルデジタルアンプについて)第一印象で飛び抜けたものがあったわけではないが、実際に触ってみると扱いやすいと感じた」「パンチングメタルの天板は開放度が高く、Vivid & SpaciousにおけるSpacious(空間性)に大きく貢献している」と語る。
また、本機とコンセプトの近しい製品として、昨年発売したCDプレーヤー搭載ネットワークアンプ「RCD-N12」を引き合いに出しつつ、「RCD-N12のノウハウもあってスムーズに開発が進んだところや、N12における音質面の心残りを1年越しに実現できたところがある」「すごく積極的に鳴らすアンプで、かつVivid & Spaciousの要素も兼ね備えた製品」と、本機の違いについて説明した。
■「DENON HOME AMP」編集部インプレッション
発表に際し、一足先にDENON HOME AMPの音を聴くことができたため、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
まずはFourplayから聴いてみる。空間表現の巧みさはさすがの山内氏といったところだが、中でもベースとドラムが際立って力強く、筋肉質な鳴り方をしているのが特徴的だ。
アリソン・クラウスでは、様々な楽器の音をしっかり描き分ける空間性、アコースティック楽器の木の鳴りまで描く表現力を見せつつ、ほかのデノン製品と比べると、音の輪郭がくっきりしているような印象を感じる。
特に顕著なのがエレクトロミュージックで、シンセのギラっとしたキャラクターや、明滅するような瞬間的なベースをビビッドかつパワフルに描いてくれる。Vivid & Spaciousを基調としたデノンHi-Fiサウンドの系譜ながら、彫りの深い男性的な音を聴かせてくれるアンプだと思えた。
たおやかな音の表現やS/Nといった点についても、コンパクトなネットワークアンプとして申し分ない。デノンの他のHi-Fiコンポーネントとのキャラクター性の違いから、デノンユーザーのセカンドシステムとしても活躍してくれるのではないかと期待を持てた。
ちなみに本機の登場にあたり、先立ってマランツから発売されたワイヤレス・ストリーミング・アンプ「MODEL M1」を思い浮かべた方もいることだろう。確かに、同じディーアンドエムホールディングスの製品ではあるが、デノン田中氏曰く「最初の時点から両ブランド別々に開発しているため、内部構造や音は別物」とのこと。
同時に田中氏は、「おかげさまでMODEL M1は新しい市場を切り拓きつつあるが、それを1ブランドだけで行うのは大変なこと。そんななか、デノンのような老舗ブランドからもこういった製品を打ち出していくことに意味があるのではないだろうか」と、現代的なオーディオ市場への意気込みを見せていた。