プロトタイプからの変更も体験
<試乗レポート>「AFEELA 1」は最先端のエンターテインメントEV、CES会場で体験した圧倒的高品質
ソニー・ホンダモビリティ(SHM)が、いよいよ2025年内に最初のEVとなる「AFEELA 1」を米国カリフォルニア州で発売する。筆者がCESの会場でAFEELA 1に乗って体験した最先端のインカーエンターテインメントをレポートする。
今年のCESにも生成AIにロボット、モビリティなどエレクトロニクスに関わるあらゆる話題の最先端が集まった。例えばテレビに生成AIの技術を活かして、ユーザーと自由に会話ができるAIエージェントのコンセプトなどを会場の色んなところで見つけることもできたが、これらはあと数年後のCESを賑やかにするトピックになるだろう。
思えばソニーが2020年のCESで初めてEVのコンセプトカーである「Vision-S」を発表してから5年が経った。1000万円を超えるクルマだし、当初は米国のみで販売されるため筆者には縁遠い存在だが、いよいよ商品としてAFEELAが誕生することが発表されたのは感慨深い。やはり今年もAFEELAを体験したことが筆者にとってCESで一番の思い出になりそうだ。
今回試乗できた「AFEELA 1 Signature」は商品としての形を想定した “ほぼ最終形” のモデルだった。まだプロトタイプモデルなので走行しながらデモを体験できる機会ではなかった。また筆者が試乗した当日のデモコンテンツには、いわゆるイマーシブオーディオ体験が含まれていなかったことは最初にお断りしておきたい。
SHMはAFEELAを「クリエイティブエンターテインメントスペースとしてのモビリティ」にするため、デザインとユーザーエクスペリエンスをひたむきにブラッシュアップしてきた。内装のマテリアルにも上質な素材が使われていて、シートに座るだけでもうっとりとする。外装はやはりフロント側のデジタル表示である「メディアバー」のインパクトが圧巻だ。
昨年のプロトタイプからルーフトップのデザインが少しまた変わった。中央がLiDARセンサーで、左右のボックスがセンシングカメラ。いずれも安全走行支援のためのセンサー機器が積まれている。どことなく猫耳っぽいデザインだ。
中に乗り込むと、フロントパネル全面の左右端にまで展開するインフォテインメントスクリーンのたたずまいに圧倒される。ステアリング(ハンドル)は通常の正円形ではなく、上半分を切り取って四角くしたようなヨークデザインだ。このステアリング形状とした理由のひとつは、走行情報を表示するインフォメーションディスプレイの表示を見切らないようにするためだ。
正面側のパネルは対角線5Kの高解像表示に対応する。横長で縦方向がやや狭いモニターはナビゲーションマップの表示にはあまり適していないとも言われるが、代わりにSHMが独自に制作した3Dインタラクティブマップが使えるようになるという。今回のCES時点ではまだ2D表示のマップだったが、AFEELAのデザインを存分に活かすマップビューがどのような体験になるのか楽しみだ。
走行中、助手席に座る家族がビデオコンテンツを視聴している間、ドライバーの集中を削がないようにモニター表示の工夫も凝らしている。ドライバー側からは助手席側のスクリーンが見られないようにプライバシーフィルターがかかるのだ。
充電中など長時間に渡る停車時には、ドライバーだって映画やゲームなどをゆっくり楽しみたい。その際には “Lスワイプ” というタッチジェスチャー操作により、助手席側のスクリーン表示を運転席側にぐいっとスワイプで移動させて運転席側のモニターで楽しめる。
上位モデルのAFEELA 1 Signatureはリアシートにも12.9型のモニターが装備できる。後部座席のモニターは直下型LEDバックライトを搭載しているため、明るい場所でも画面表示がクッキリと冴えている。
AFEELA 1の車内では、ソニーグループ傘下のアニメ配信サービス「クランチロール」のコンテンツが楽しめる。クランチロールのサービスは日本で提供されていないため馴染みないが、日本の人気アニメを数多く揃える定額制ストリーミングだ。北米など世界200以上の展開する国と地域で多くのファンを獲得している。
筆者はハイクラスなEVであるAFEELA 1で “アニメを満喫するドライバー” の姿が何となく想像できなかった。でもよく考えれば後部座席に同乗する子どもたちには大好評だろう。
さらに筆者はEVを所有していないのでイメージができなかったのだが、実際にはEVを充電する間の待機時間中にはクルマで映画やアニメを観て過ごしている方が多くいるそうだ。AFEELAは5G通信に対応するコネクテッドカーだ。こんなにリッチなエンターテインメントシステムを載せているなら使わない手はないだろう。なお、5Gデータ通信はオーナーに3年間無料のサブスクリプションサービスとして提供される。
そしてAFEELA 1もPlayStationのゲームコンソールとのPSリモートプレイに対応する。12月にはStingray Karaokeが提供するネットワークカラオケにAFEELAが対応することも発表された。AFEELA車内のプライベート空間で過ごす時間がとても心地よくなりそうだ。
冒頭にお伝えしたとおり、今回は用意されていたデモの都合で360 Reality Audioのイマーシブオーディオコンテンツを車内で体験できなかったが、こちらは以前のプロトタイプで体験している。その時に筆者は、音響環境がばっちり整ったAFEELAの車内でこそ360 Reality Audioの真価が活きることを思い知った。AFEELA 1はドルビーアトモスにも対応することが発表された。様々なイマーシブコンテンツがAFEELA 1に集まってくる。もちろん安くない買い物だが、AFEELAが「極上のEVシアター」でもあることが見えてくると、筆者もAFEELA 1が「いつかは欲しいクルマ」に見えてきた。
さらにもうひとつ気になる新機能がAFEELA 1に搭載されることになった。アクティブ・ノイズキャンセリング機能だ。これはヘッドホンやイヤホンのANC機能とコンセプトはほぼ一緒で、AFEELAの車内でオーディオコンテンツを楽しむ時に優れた静寂性を得るためのものだ。車両に搭載されているマイクや振動センサーにより路面に起因するノイズを検知し、独自のアルゴリズムで解析しながら不要なノイズ成分だけを打ち消す。
走行時に発生するロードノイズを軽減することが目的で、サイレンやクラクションなど安全走行のため絶対に欠かせない環境音がANCによって妨げられないようにチューニングされているという。こちらも今回のデモンストレーションではまだ体験できなかったが、次回試乗の機会があればぜひ体験をリクエストしたいと思う。
(1月17日13時00分 アクティブ・ノイズキャンセリングの仕様に関する記述を一部修正)
AFEELA 1は日本に2026年内の上陸を予定している。もしその前にまた試乗体験できる機会を得たらまたレポートしたいと思う。
■内側も外側も、徹底的にブラッシュアップされた「AFEELA 1」
今年のCESにも生成AIにロボット、モビリティなどエレクトロニクスに関わるあらゆる話題の最先端が集まった。例えばテレビに生成AIの技術を活かして、ユーザーと自由に会話ができるAIエージェントのコンセプトなどを会場の色んなところで見つけることもできたが、これらはあと数年後のCESを賑やかにするトピックになるだろう。
思えばソニーが2020年のCESで初めてEVのコンセプトカーである「Vision-S」を発表してから5年が経った。1000万円を超えるクルマだし、当初は米国のみで販売されるため筆者には縁遠い存在だが、いよいよ商品としてAFEELAが誕生することが発表されたのは感慨深い。やはり今年もAFEELAを体験したことが筆者にとってCESで一番の思い出になりそうだ。
今回試乗できた「AFEELA 1 Signature」は商品としての形を想定した “ほぼ最終形” のモデルだった。まだプロトタイプモデルなので走行しながらデモを体験できる機会ではなかった。また筆者が試乗した当日のデモコンテンツには、いわゆるイマーシブオーディオ体験が含まれていなかったことは最初にお断りしておきたい。
SHMはAFEELAを「クリエイティブエンターテインメントスペースとしてのモビリティ」にするため、デザインとユーザーエクスペリエンスをひたむきにブラッシュアップしてきた。内装のマテリアルにも上質な素材が使われていて、シートに座るだけでもうっとりとする。外装はやはりフロント側のデジタル表示である「メディアバー」のインパクトが圧巻だ。
昨年のプロトタイプからルーフトップのデザインが少しまた変わった。中央がLiDARセンサーで、左右のボックスがセンシングカメラ。いずれも安全走行支援のためのセンサー機器が積まれている。どことなく猫耳っぽいデザインだ。
中に乗り込むと、フロントパネル全面の左右端にまで展開するインフォテインメントスクリーンのたたずまいに圧倒される。ステアリング(ハンドル)は通常の正円形ではなく、上半分を切り取って四角くしたようなヨークデザインだ。このステアリング形状とした理由のひとつは、走行情報を表示するインフォメーションディスプレイの表示を見切らないようにするためだ。
正面側のパネルは対角線5Kの高解像表示に対応する。横長で縦方向がやや狭いモニターはナビゲーションマップの表示にはあまり適していないとも言われるが、代わりにSHMが独自に制作した3Dインタラクティブマップが使えるようになるという。今回のCES時点ではまだ2D表示のマップだったが、AFEELAのデザインを存分に活かすマップビューがどのような体験になるのか楽しみだ。
■ドライバーを絶対に満足させるユーザー体験
走行中、助手席に座る家族がビデオコンテンツを視聴している間、ドライバーの集中を削がないようにモニター表示の工夫も凝らしている。ドライバー側からは助手席側のスクリーンが見られないようにプライバシーフィルターがかかるのだ。
充電中など長時間に渡る停車時には、ドライバーだって映画やゲームなどをゆっくり楽しみたい。その際には “Lスワイプ” というタッチジェスチャー操作により、助手席側のスクリーン表示を運転席側にぐいっとスワイプで移動させて運転席側のモニターで楽しめる。
上位モデルのAFEELA 1 Signatureはリアシートにも12.9型のモニターが装備できる。後部座席のモニターは直下型LEDバックライトを搭載しているため、明るい場所でも画面表示がクッキリと冴えている。
AFEELA 1の車内では、ソニーグループ傘下のアニメ配信サービス「クランチロール」のコンテンツが楽しめる。クランチロールのサービスは日本で提供されていないため馴染みないが、日本の人気アニメを数多く揃える定額制ストリーミングだ。北米など世界200以上の展開する国と地域で多くのファンを獲得している。
筆者はハイクラスなEVであるAFEELA 1で “アニメを満喫するドライバー” の姿が何となく想像できなかった。でもよく考えれば後部座席に同乗する子どもたちには大好評だろう。
さらに筆者はEVを所有していないのでイメージができなかったのだが、実際にはEVを充電する間の待機時間中にはクルマで映画やアニメを観て過ごしている方が多くいるそうだ。AFEELAは5G通信に対応するコネクテッドカーだ。こんなにリッチなエンターテインメントシステムを載せているなら使わない手はないだろう。なお、5Gデータ通信はオーナーに3年間無料のサブスクリプションサービスとして提供される。
そしてAFEELA 1もPlayStationのゲームコンソールとのPSリモートプレイに対応する。12月にはStingray Karaokeが提供するネットワークカラオケにAFEELAが対応することも発表された。AFEELA車内のプライベート空間で過ごす時間がとても心地よくなりそうだ。
■イマーシブオーディオやANC機能が進化
冒頭にお伝えしたとおり、今回は用意されていたデモの都合で360 Reality Audioのイマーシブオーディオコンテンツを車内で体験できなかったが、こちらは以前のプロトタイプで体験している。その時に筆者は、音響環境がばっちり整ったAFEELAの車内でこそ360 Reality Audioの真価が活きることを思い知った。AFEELA 1はドルビーアトモスにも対応することが発表された。様々なイマーシブコンテンツがAFEELA 1に集まってくる。もちろん安くない買い物だが、AFEELAが「極上のEVシアター」でもあることが見えてくると、筆者もAFEELA 1が「いつかは欲しいクルマ」に見えてきた。
さらにもうひとつ気になる新機能がAFEELA 1に搭載されることになった。アクティブ・ノイズキャンセリング機能だ。これはヘッドホンやイヤホンのANC機能とコンセプトはほぼ一緒で、AFEELAの車内でオーディオコンテンツを楽しむ時に優れた静寂性を得るためのものだ。車両に搭載されているマイクや振動センサーにより路面に起因するノイズを検知し、独自のアルゴリズムで解析しながら不要なノイズ成分だけを打ち消す。
走行時に発生するロードノイズを軽減することが目的で、サイレンやクラクションなど安全走行のため絶対に欠かせない環境音がANCによって妨げられないようにチューニングされているという。こちらも今回のデモンストレーションではまだ体験できなかったが、次回試乗の機会があればぜひ体験をリクエストしたいと思う。
(1月17日13時00分 アクティブ・ノイズキャンセリングの仕様に関する記述を一部修正)
AFEELA 1は日本に2026年内の上陸を予定している。もしその前にまた試乗体験できる機会を得たらまたレポートしたいと思う。