HOME > レビュー > マランツ「NA7004」の新機能、AirPlayの使い勝手を一足先に検証する

アップル製品との接続性が飛躍的に向上

マランツ「NA7004」の新機能、AirPlayの使い勝手を一足先に検証する

公開日 2010/12/24 15:35 海上 忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

ファームウェアアップグレード後のNA7004を起動すると、「Hello」に続けて「marantz NA7004 UPGRADE」と表示される。これでLANの設定(といってもDHCPで自動的にIPアドレスを取得するのでEthernetケーブルをつなぐだけ)が完了していれば、AirPlay経由で音楽データを受信できる。

ファームウェアアップグレードを実行すると、電源投入後に「marantz NA7004 UPGRADE」と表示される

背面のEternetポートにLANケーブルを接続すると、iTunesの下部からリモートスピーカーとしてNA7004を選択できるようになる

AirPlayの設定は、まったく必要ない。Windows/Mac上で動作するiTunes、またはiOS 4.2が導入されたiPhone/iPod touch/iPadで外部スピーカー出力を選択すると、候補に「Marantz:[NA7004]」と表示されるので、これを選択するだけでいい。音楽の再生を始めると、NA7004の有機ELパネルはAirPlay受信モードとなり、曲名やアーティスト名、再生時間などの情報が表示される。

AirPlayモード時には、AirPlayのアイコンが左上に表示される

AirPlayモードはNA7004を一種のスピーカーとして利用するもので、基本的には出力側(iTunes/iOSデバイス)のなされるがままだ。

ただし、iTunes側のオプションで「リモートスピーカーからiTunesのコントロールを許可」を有効にしていれば、再生停止や曲送りといったかんたんな操作ができるようになる。付属のリモコンやWizz Appも利用可能だ。プレイリストやアーティスト/アルバム単位での変更はできないが、NA7004の操作体系を生かせることは利点といえる。

■iTunes/iPod以外のソースもAirPlay経由で

AirPlayの送信側(サーバ)として機能するソフトウェアは、iTunesとiPod(ややこしいことに、iOSに収録されている音楽再生アプリも「iPod」だ)のみで、原則としてApple製品以外のオーディオ機器からは受信できない。しかし、「Airfoil」のように、独自の解析によりAirPlay経由での再生を可能にしたサードパーティ製ソフトウェアも存在する。

Mac OS X版AirFoil v3.5.4で試したところ、DVDプレーヤーやVLC(フリーのメディアプレーヤー)で無事に再生できることを確認した。AirFoilはシステムに出力する音声をジャックしてAirPlayに振り向けるため、再生時はパソコンから音は聴こえなくなるが、システムの警告音を含め、あらゆる音声をNA7004に出力できる。

AirFoilの操作パネル。M-CR603など他のAirPlay対応機との同時出力も可能で、増やしてもCPU負荷には大きく影響しない

Mac OS XのDVDプレーヤーで再生中の音声をAirFoilで出力、AirPlay(互換)のオーディオストリームとして受信しているところ

なお出力されるオーディオストリームは再生ソフトのほか、Mac OS Xの場合はCoreAudio APIの設定に影響される(ユーティリティフォルダの「Audio MIDI設定」で変更可)ので、加工した音を出力する用途にも使える。

Mac OS Xの「Audio MIDI設定」。このアプリケーションを利用すると、サンプリング周波数を変えて出力することが可能

■AirPlayの意義とは

NA7004はDLNAクライアントとしての機能を備えており、DLNAサーバとしての機能を備えるNASやミュージックサーバ上の音源を聴くことができる。サポートしているオーディオフォーマット(MP3/WMA/AAC/WAV/FLAC)であれば、トランスコードなしに再生できるため、理論上音質の変化は発生しない。

一方のAirPlayは、再生ソフト(iTunes/iOSのiPod)が対応するフォーマットであるかぎり、44.1kHz/16bitのALACとしてエンコードし、配信される(関連記事)。その意味ではAirPlayのほうがDLNAに比べ工程が増えることになる。

いずれにせよ、AirPlayが高音質音楽配信で一般的なFLACに対応せず、一方でNA7004がALACに対応しない以上、iTunesライブラリの内容をオーディオ機器に配信するという意味でのAirPlayの活用範囲は、本格オーディオの分野では限定的となるだろう。ただし、iPhoneなどの小型デバイスからワイヤレス出力できる扱いやすさや手軽さは、大きなメリットになる。

(海上 忍)

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE