折原一也氏が徹底レビュー
ソニー〈ブラビア〉の新高画質回路「X-Reality PRO」はネット動画にどう効くのか!?
ソニー 新〈ブラビア〉に搭載された新高画質回路「X-Reality PRO」の秘密へ迫る連載企画。今回は折原一也氏がYouTubeTMをはじめとするネット動画に対する効果を徹底検証。そもそものソースが低画質である場合の多いネット動画への対応力はいかに!?
■多種多様の映像ソースへの対応力を備えた新高画質回路「X-Reality PRO」
新〈ブラビア〉の「KDL-HX920」「KDL-HX820」「KDL-HX720」シリーズに搭載されている新高画質回路「X-Reality PRO」。近年ますます多様化する映像ソースに対して、データベース型複数枚超解像技術によってそのソースに応じた高画質化を行える点が大きな特長だ。このように、非常に汎用性に優れた高画質回路として設計されていることは以前の対談でも述べた通りだ。
これまで、テレビは放送波を視聴するモニターとしての役割を担うことがほとんどだった。しかし現在、テレビに映し出されるは多種多様である。そして、近年新たに追加された映像ソースの数々は、必ずしもクオリティーを追求したものばかりではないということは読者の皆さんもご存知だろう。
その代表例が、インターネットによる動画投稿サイトである。
今や、パソコンでインターネットにアクセスしているユーザーのほとんどがYouTubeをはじめとするネット動画共有サイトにアクセスし、日常的にインターネットムービーを鑑賞する時代になった。そして昨今ではそうしたネット動画を視聴できるテレビも数多く登場しており、もちろん〈ブラビア〉も例外ではない。
インターネットの動画サイトで公開されている映像は、一般ユーザーによるホームビデオやアーティストのミュージック・クリップ、テレビ番組のダイジェスト映像など様々だ。素人が撮影した映像からプロのものまで、映像のクオリティーも玉石混淆である。
また、例えばYouTubeでは720pなどHDコンテンツも増えてきてはいるものの、まだほとんどの映像は240pや320p程度の解像度だ。比較的サイズの小さなパソコンのモニター上で再生するならまだしも、大画面テレビで視聴すると映像の粗さに唖然とすることも少なくない。
「X-Reality PRO」は、そんな低画質の映像ソースにも実力を発揮する。そのキーとなるのがデータベース型複数枚超解像技術である。
このデータベースには、様々な映像での“本来あるべき波形”が数千パターン蓄えられている。入力されてきた映像信号の波形を分析し、このデータベースからもっとも適した波形を参照し、映像を補正するのだ。もちろんデータベースの中にはネット動画に向けたものも存在しており、適切な高画質化処理を行えるわけだ。
■低画質のネット動画も55V型の大画面での視聴に耐えられるレベルに
さて、それでは実際に映像を確認した感想を述べていこう。結論から言うと、YouTubeに公開されている映像を実際に視聴してみて「X-Reality PRO」の効果の高さに大いに驚かされた。なお、テストには55V型の「KDL-55HX920」を使用した。
視聴では、まず比較のため「X-Reality PRO」非搭載の46V型テレビでYouTubeの映像を全画面表示したのだが、やはり解像感の不足が気になってしまった。なかでも特に気になったのが、折り返し歪みと呼ばれる、櫛状に発生する映像ノイズだった。