東芝REGZAの最新モデルをレビュー
驚きの調整メニューを持った「懐の深い」新REGZA − VGP審査員5氏が「ZG2」シリーズを徹底解剖
TITLE 1 シングルマン
最適なエリア駆動によりコントラストを確保
スタイリッシュで美しい映像が見どころ。月明かりだけで撮影したシーンを観た。HDカメラでの増感度撮影と推察され二人の男の裸身が赤っぽくざらつきやすいが、本機の場合映画プロ無調整のままでも肌が紅潮した自然な描写。黒レベルとガンマ調整で黒輝度を下げてもよく粘り暗部階調のデリカシーと情報量が損なわれない。16分割エリア駆動でコントラストは十分。ピークを下げると月光に輝く波頭が艶かしく息づく。(視聴:55ZG2)
TITLE 2 悪人
主人公の心の奥底までを描き出すことに成功
日本映画をビデオ化する際、セットアップを付けて黒の下端の階調をカットすることが多い。本作もその一例で、ディスプレイで切り替えを行わずそのまま再生すると黒が浮いて締まらない画に。黒が表現出来ないと主人公が背負っている闇の深さが直感できず、貧困と怨念のスパイラルからなぜ抜け出せないのか伝わらない。しかし、黒レベル、明るさ調整、ガンマ調整を行えば心の暗黒を易々と画面に取り戻すことができる。(視聴:55ZG2)
TITLE 3 ロビン・フッド
調整余地のないオート映像の素晴らしさを実感
冒頭の夜闇の中のアクションと、ラストのシャーウッドの森に身を隠しロビンとその仲間が新たな伝説になろうというシーンを視聴。この作品に関しては調整すべき余地が全くなかった。ディスプレイとしての完成度の高さに脱帽である。画面に張り付いたような歪みのない安定した映像で、ビデオノイズの少なさ、精緻な解像感が映像にみなぎっている。端整でなめらかな階調、眼にやんわり染み入るような色彩の艶が魅力。(視聴:55ZG2)
TITLE 4 栄光のル・マン
色合いと明るさを調整して記憶の赤に近付ける
ほとんどがレースシーンで真紅のフェラーリ512Mと水色のポルシェ917Kのデッドヒートをひたすら追う。ポイントは赤のバリエーション。本機はBT709比99% の広色域でフィルムトーンの赤を描き分けるが、記憶の中の大スクリーンの赤に到達させるために、今回は色合いと明るさをそれぞれ調整して好結果を得た。動きの多い映画だが「フィルム(無補間)」より「クリアフィルム」で自然なジャダー感が味わえる。(視聴:55ZG2)