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オンライン限定イヤホンの音質もチェック!

ヤマハ“30年ぶり”のヘッドホンを聴いた! − 「HPH-200」「EPH-100」を編集部5名がクロスレビュー

公開日 2011/08/24 10:38 ファイル・ウェブ編集部
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“自然な音質と快適な装着感を追求したオープンエア型ヘッドホン”
HPH-200
 ¥OPEN(予想実売価格16,000円前後)

風間

筐体は軽量で、ハンドリングしやすい。携帯性も高いが、本機は開放型で音漏れするため、満員電車など人と近接する場所で使いにくいのは残念。ブラックとシルバーでまとめた外観は精悍だが、軽さを優先したためか、質感はそれほど高くない。

装着感はかなり良い。側圧もほどほどで疲れにくいし、イヤーパッドが耳に当たる感触が柔らかいのも好印象だ。

ロックやジャズ、クラシックなど様々なジャンルを聴いてみたが、サウンドはどちらかと言えば穏やかな印象。低域はかなり沈むのだが、輪郭が若干滲んでおり、細かな音の描き分けは今ひとつ。高域の伸びも、もう一声欲しいと感じる。ただしボーカルピアノなど中域の表現は得意で、厚みのある豊かなサウンドを響かせる。また音場の表現力は文句なしに高く、開放型らしい、広がり感のある音が楽しめる。

個人的にどちらかと言えばドンシャリ気味の音が好みなので、欲を言えばもう少し低域、高域の表現力を期待したかった。だが、装着感が良好で、聴き疲れしないバランスの良い音なので、BGMとして長時間試聴するといった用途にはおすすめできる。

ちなみに本機は圧縮音源との相性が良くない。圧縮に伴うボヤケをそのまま表現してしまうので、本機の実力をしっかりと引き出すためには、良好な音源と再生環境を整えておきたい。


山本

サウンドは低域を中心とした力強さが特徴と感じた。Perfume『チョコレイトディスコ』など、打ち込み系サウンドは低音がドッシリとしていて、かつ高域もしっかりと伸びるので、宇宙っぽい楽曲の世界が眼前した。

Ann Sally『胸の振り子』は、ボーカルとピアノの2ピースによるシンプルなセッションだが、足腰のしっかりとしたアコースティックサウンドを再現。レコーディングブースの臨場感が蘇ってきた。

程よいフィット感なので、長時間着けていても苦はなかった。オープン型なので、自分が使うならば役割は屋外よりも室内用のヘッドホンになると思う。イヤーパッドに肌触りの良いベロア調の生地を使っているが、夏場は汗を吸収してしまいそう。今後パッドの交換パーツが用意されるとよいと思う。

ブラック基調のクールなデザインなので、耳から外して肩にかけてもファッション・アイテムとしての得点も高いと思う。次のモデルではイヤーカップの外側にデカくヤマハの音叉ロゴを配置しても面白そうだ。


小澤

軽くて側圧も強くないので快適な装着感。ふかふかしたベロア生地も耳に心地よい。オープンエア型で結構音漏れするため、外出先でというより家のなかで使うことをオススメしたい。2mの延長コードも付属するので、テレビとつないで楽しむのもアリだと思う。

実際試聴すると、「楽器の音色の忠実な再現を目指した」という言葉に納得。アコースティック楽器の音の質感がとてもきれい。『You look good to me』のピアノのしっとりとつややかな感触はとても好ましい。低音域は、やや輪郭や柔らかいがたっぷりと豊かな音を聴かせてくれ、ウッドベースの弓が弦をこすっている感じや松ヤニのひっかかり感がものすごく伝わってくる。トライアングルの高音の伸びやドラムのブラシの粒立ちも「クッキリ鮮やか」とまでは行かないが十分すばらしい再生力。

ショパンは、分解能が良くないとグシャッと汚い音になりがちな冒頭のCのオクターブがきれいに再生できている。鍵盤を叩くタッチを感じられるような、しっかりと中味の詰まった量感あるピアノの音を楽しむことができた。


小野

全体的にまろやかというか、品の良い音といった印象。トランペットソロの高音域など、ともすれば刺さりがちになりそうな部分も心地よく聴かせてくれる。主旋律の後ろでスカのリズムを刻むピアノやギターなど、各楽器のバランスも好印象だった。

しかし、KAGEROがカバーした『STAR WARS』では、その激しいアレンジの角が取れてしまう印象も受ける。おとなしめの楽曲のほうが合っているのかもしれないとも感じた。装着感については、頭が大きめな自分にもちゃんとフィットしてくれたので一安心。


杉浦

結論から言えば、開放感があって「素直」な印象。低音が良く出ている印象を持ったが、そこまで解像度が高いわけではない。それぞれの音域を必要以上に引き立てることはなく、ただ素直に出しましたという感じだ。「さすがピアノメーカー」と思ったのは、『主よ、人の望みの喜びよ』のピアノが奏でる中域の和音1つ1つが胸の中にしっくりと落ち着くようで心地よかったこと。

また、試聴曲の『のはら』を聴いているときに、「こういう曲との相性が良いヘッドホンなんだな」と思った。同曲は弦楽器、ピアノ、たて笛など、おもちゃ箱をひっくり返したように色とりどりの音が可愛らしく奏でられる曲で、踊るようなパーカッションの音色が、開放的に伸び伸びと描かれている。

ちなみに外にも持ち歩いてみたが、遮音性は高くないので電車や飲食店など公共の場では音漏れして周囲の人に振り向かれる。装着感は自分の頭の形にフィットしたのか、軽量性もあってわりと良かった。

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