圧倒的なコストパフォーマンス
【レビュー】全4モデルを一斉試聴! ソニー初のBAイヤホン「XBAシリーズ」を聴く
■1ユニット「XBA-1SL」¥7,455(税込)
■編集部:山本のレビュー
まずはフルレンジユニット1基を搭載するシングルドライバーモデル「XBA-1」から。
Gil Scottはボーカルの音像がどっしりと中央に定位する。男性ボーカルの解像感はやや浅めでフラット。もう少し低域の情報量が広がるとベストだが、力強さは十分にある。ローズ・ピアノ独特のビブラート感は、少しきめ細かさが省略されている感じもするが、タッチは明瞭で、聴き心地は悪くない。
演奏全体のバランスは高域方向がやや強めに表現される傾向で、ドラムスやベースなど低域はあっさりとしている。ボーカルは前面に押し出してくる感触。キリンジのアルバム「3」から『エイリアンズ』を聴いてみたが、J-POPなど“歌もの”の楽曲を中心に、ポータブルプレーヤーで気持ちよく聴きたい時にピタっとハマるイヤホンという印象だ。
Ann Sallyも、やはりボーカルがセンターにかっちりと定まるが、声の余韻があっさりとしてクールな印象だ。アコースティックギターの音色は弦の響きが乾いていて、少し硬いように思う。エージングで聴き込めば、もう少し音が開いてくるかもしれない。
■編集部:風間のレビュー
シングルユニットだけあり、ハウジングは小型で装着時の重さを感じない。まずはこの点に好印象を受ける。なおシリーズ4モデルのうち、プラグ部の素材は本機だけがプラスチックで、価格なりの仕様となっている。ケーブルは平型で細めだが、太さ自体はほかのシリーズと変わらない。
ザ・ラカンターズではイントロのギターの歪みを的確に再現し、解像感の高さを実感する。高域はよく伸びるのだが、反面、シンバルなどは音が団子になってしまい、音が分離されていない部分もある。また高域に歪みっぽさが若干感じられ、少し無理をしている感を受ける楽曲もあった。もちろん、価格帯を考えたら立派なものなのだが。
低域はWOODY CREEK「MR.BOJANGLE」で聴く。量感自体はシングルドライバーなりのもので、絶対的な音は沈みきらないが、低域の解像感は高く、陰影をしっかりと描き出すチューニングは見事だ。またボーカルなど中域の押し出しは強めだ。
特筆すべきは、シングルBA機らしいまとまりの良さだ。全体的な周波数バランスは整っており、ネットワークが無いことが奏効したのか解像感も高い。S/N重視というよりは解像感重視のチューニングだ。コストパフォーマンスが高く、気楽な普段使いには魅力的な1台と言えるだろう。