圧倒的なコストパフォーマンス
【レビュー】全4モデルを一斉試聴! ソニー初のBAイヤホン「XBAシリーズ」を聴く
■3ユニット「XBA-3SL」¥24,675(税込)
■編集部:山本のレビュー
続いてXBA-2にトゥイーターを加え高域も拡張したという「XBA-3」を聴く。
ハウジングがゴロッとしているので装着しづらいのではと思ったが、実際に装着してみると付け心地はとても快適。個人的にはシリーズのうち、XBA-3がいちばんフィット感が良かった。
Gil Scottの再生は懐が深く、どの帯域も定位がどっしりとして、ディティールも細部まで逃さず描き込む。ローズ・ピアノの音色にも艶があって、ビブラートの響きが実に心地良く伝わってくる。バンド全体の演奏も、各楽器の音像が明確になり、立体的に表現される。ライブ演奏のようなリアリティが生まれてくるようだった。
Ann Sallyも細かな音をきちんと拾い、正確な再生を実現。低域がどっしりとしていて、帯域のバランス感や音のつながりにも安定感がある。アコースティックギターはハコ鳴り、弦の響きともに生の楽器の音にぐっと近づいた。
ウッドブロックなどパーカッション楽器も情報の密度が濃くリアリティが高い。ただ欲を言えば、ボーカルの声が少しドライで淡泊に聴こえてしまったので、もう少し艶やかさが加わるとなお良かった
安藤裕子のアルバム「The Best 03'〜09'」から『のうぜんかつら(リプライズ)』も聴いてみた。アコースティックピアノとボーカルによるツーピースのシンプルな演奏だ。本機で描き出される曲の情景はクールで、イメージ的には「冬の晴れた日の朝焼け」。個人的にはボーカルの声にもう少し温かみが乗り、「冬の晴れた日の夕焼け」くらいになると理想的なのだが。
■編集部:風間のレビュー
XBA-2に6,000円程度上乗せするとトリプルドライバーの「XBA-3」が購入できる。トリプルBAドライバーと言えば、一般的にはトップエンドイヤホンに位置づけられるクラス。果たしてどのような音を聴かせてくれるのだろうか。
まず低域の表現力が、XBA-2とはかなり異なることに注目したい。量感そのものはXBA-2よりはるかに上で、広がり感も出てくる。低音の輪郭もシャープ。ウッドベースなどは低域の階調を細やかに表現してくる。後述するXBA-4よりも量感は抑え気味だが、タイトな低音で、これはこれで「アリ」という印象だ。
反面、高域側は少しおとなしくチューニングしたのか、ギターの音の実在感、リアルさ、解像感は、一般的なトリプルドライバーモデルと比べ、やや抑え気味になる。ただしXBA-1/-2で散見された高域の歪み感はかなり抑えられ、S/Nが高まったのは嬉しい。
中域にも伸びやかさが加わり、音楽に潤いが加わる。「You Look Good To Me」の弦楽器の、スムーズな鳴り心地は、思わず試聴であることを忘れてしまうほど。またWilliam Silkのボーカルも、細かな口唇の触れあいまで克明に描き出す。ただし押し出し感はそれほど強くない。
各ユニットのつながりのチューニングが入念に行われた印象で、全体のまとまりが取れている。これで価格が約2万4,000円なのだから、コストパフォーマンスは非常に高い。