一条真人の体当たり実験室
「見る」と「撮る」が高次元で融合 − ソニーの録画双眼鏡「DEV-3」を試す
■「ビデオカメラでも双眼鏡でもない」メリットを実感
DEV-3は世界初のハイビジョン3D動画が撮影可能なデジタル双眼鏡だが、そのアイデンティティは「ビデオカメラでも双眼鏡でもない」ところにあると考える。
デジタルビデオカメラのように「撮影だけ」のデバイスではなく、「見る」なかに「撮る」を上手に取り込んでいる。さりげなく景観や被写体を長めながら、必要に応じて映像を撮影できるのだ。また両眼で映像を見られる利点も大きい。ビデオカメラのファインダー、あるいは液晶ディスプレイで見るよりも自然で画質が良いことは前述の通りだ。
光学式の双眼鏡と比較すれば、軽さと価格では圧倒的に光学双眼鏡が有利だが、ビデオ録画機能という大きな魅力をDEV-3は備えている。
さまざまな魅力を持つDEV-3だが、これまでにないジャンルの製品だけに、今後、さまざまな方向に進化し、思いも寄らないデバイスに進化する可能性も秘めているのではないか。
様々な製品がデジタル化の一途を辿っているが、デジタル化の方向性は大きく分けて二つある。一つ従来のものをそのままデジタルに置き換えたもの。そしてもう一つは、デジタルならではの、新しい役割を備えたデバイスだ。さらに、新しい役割を持った製品は、また別の役割を加えることで、まったく異なる製品に進化する可能性も秘めている。
たとえばiPodは、最初は単に音楽を保存するだけのデバイスだったが、iPhoneが誕生したことでインターネットへのアクセスを可能にし、アプリが楽しめ、デジカメとしても使えるなど、進化してまったく違うデバイスに進化した。少し大げさかもしれないが、今回この「DEV-3」を使っていて、それと同じような未知の可能性を感じた。
(一条真人)