レコーダーの鉄人、折原一也がレビュー
年末年始番組で“録画力”チェック!シャープのスカパー! HD内蔵レコーダーを試す
■AQUOS Phoneとの連携機能をテスト
BD-W2000はもう一つ、非常に魅力的な特徴を備えている。レコーダーは今後、録画した番組を家庭内で配信したり、外出先に持ち出して視聴する、サーバーとしての役割が高まるはず。他社もこういった機能を拡充しているが、この機能を最も使いやすく作り込んでいるのが、シャープのBD-W2000と同社のAQUOS Phoneなのだ。
現在、録画した番組を、スマートフォンへ持ち出せるBDレコーダーがどれだけあるかご存知だろうか。意外と思うかもしれないが、2012年1月の時点でこの機能を実現しているメーカーは2社しかない。そのうちの1社がシャープなのだ。今回はNTTドコモ向けの“AQUOS Phone”「SH-01D」を用意し、レコーダーとスマートフォンの連携機能をチェックしてみた。
BD-W2000とAQUOS Phoneを連携させる方法は、大きく分けて二通りある。
一つは家庭内のWi-Fiを使って番組を視聴する、サブテレビ的な活用法だ。これはAQUOS スマートファミリンクと呼ばれているネットワーク連携で、恐らく読者の皆さんには、AQUOSブルーレイをDLNAサーバー、AQUOS Phoneのアプリ「SmartFamilink」をDLNAクライアントとして使うもの、と説明すれば話は早いだろう。
シャープはAQUOS Phone専用に、DTCP-IP対応のDLNAクライアントアプリ「Smart Familink」を提供している。
実際の接続方法は、レコーダー側で「ホームサーバーネットワーク設定」を有効にしておき、AQUOS Phone側からアクセスするだけと簡単だ。また、本機が備える無線LANアクセスポイント機能「WiFiコネクト」を使えば、無線LANルーターがなくても利用できる。
家庭内のあらゆるところで、録画した番組をHD画質のまま、コマ落ちなく視聴できるメリットは非常に大きい。特にBD-W2000はスカパー!HD録画にも対応しているので、スカパー!HDの視聴位置を広げる機能としても利用価値は高い。
■シャープAQUOS Phoneのみが対応、スマホへの番組持ち出し
もう一つの連動は録画番組の持ち出しだ。これまで携帯電話向けの番組持ち出しは各社がこぞって対応していたが、どうしたものかスマートフォンでは各社の対応が非常に遅れており、シャープのAQUOS Phoneだけが独走している状態だ。
ただし、持ち出し用動画の自動作成機能には様々な制限がある。まず、裏番組録画を行うと携帯電話向けの動画が記録されない。またDR以外の表番組録画と裏番組録画の実行中や、キーワード自動録画で録画した番組でも自動作成は行われない。またスカパー!HDに対しても無効だ。ここまで制約が多いと、逆にどう録画すれば持ち出し用動画の自動作成が行えるのか、考えこんでしまうほどだ。
いっそのこと、複雑な制約がある自動作成を諦め、携帯電話向けに「ダビング」を実行して持ち出す方法に徹すると割り切る方が良い。最高画質の「高画質1」(640×360ピクセル)であれば、高解像度化が進むスマートフォンでも十分すぎるほどの画質で番組を視聴できる。
今回、BD-W2000の気に入った機能を細かく使い込んでみた。録画テレビの隆盛でレコーダーという製品の存在意義が問われるなか、新しい試みに果敢にチャレンジしたモデル、という感想を持った。
たとえばスカパー!HDへの対応は、録画テレビでは真似できない。“AQUOS Phone”との連携についても、レコーダー、そしてスマートフォンのトップブランドの維持を見せ、他社に先んじている。レコーダー好きを自認する筆者にとってBD-W2000は、これまでのAQUOSブルーレイ製品群のなかでも飛び抜けて魅力的な製品と感じている。
(折原一也)