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日立「P50-GP08」で3Dの良作『サンクタム』を観る
■<闇>と<光>の両方を描き出せるテレビが欲しい!
P50-GP08は日立がずっと手掛けてきたプラズマ方式大画面の最新機種で、録画テレビとしても500GBのハードディスクを内蔵するWoooの上位機である。
暗所コントラスト500万対1(これ以上は測定限界外)のダイナミック・ブラックパネルEXを搭載、ピュアカラーフィルター採用で色再現範囲が非常に広い。フィルターをガラス基板に直貼りし、外光反射を大幅に抑制し二重映りを軽減しているのも前モデルからの進化点だ。
映像エンジンには高画質回路“PictureMaster3"を搭載している。
本回路は「アドバンスドダイナミックコントラスト2」「3次元デジタルカラーマネージメント2」「アドバンスド3次元ノイズリダクション」「アドバンスドダイナミックエンハンサ」「カラーリミッタ」で構成される。
アドバンスドダイナミックコントラスト2は、個々の映像(フレーム単位)でのヒストグラムの検出精度を従来の2倍に細密化し、輝度信号と色信号を精密にコントロールしコントラストを高める。自然な階調、特に暗部でのなめらかなグラデーション表現に特長がある。
3次元デジタルカラーマネージメント2は、明度や彩度の調整に加え、特定4色(R/G/B/肌色)の色相補正機能を追加し、的確な色再現を行う。映像の色情報を常時分析し、プラズマ方式の利点を活かした微妙かつ豊かな色彩の変化を描き出す。
映画ソフトのフィルムグレイン(粒状感)の自然な再現は、高画質テレビの試金石だが、P50-GP08の場合、デジタル放送視聴時のノイズ低減と映画視聴時のフィルムグレインの保持の両立が慎重に図られている。アドバンスド3次元ノイズリダクションがそれで、3次元の名の通り、映像の中の静止部分と動画部分にそれぞれ適したノイズ低減処理を行うが、シネマモード視聴中はフィルムのグレインを残す工夫がなされている。
アドバンスドダイナミックエンハンサは、映像の鮮鋭感を上げる機能。2 種類の輪郭補正回路で被写体の凹凸や奥行き感、文字情報もクッキリ表示する。カラーリミッタは色のディテール部分に着目。映像ごとに色の情報を的確に分析し、飽和を抑えながら色の階調を表現する。
機能面では、前年のXP05系からトランスコード技術XCodeHDの処理能力を2倍に増強し、最大8倍の2番組同時AVC録画が可能である。同時録画においても、HDD(500GB)の容量をより有効に活用できる。スマートテレビとしての機能も高めており、スマホ、タブレットでの操作に対応を果たしたのも注目に値する。
『サンクタム』を見るためにP50-GP08を選んだ理由の一つに、フレームシーケンシャル方式の3Dに対応し、アクティブシャッターメガネで視聴する、オーソドックスな3Dテレビであることが挙げられる。アクティブシャッター眼鏡の重さと輝度低下が一部で不評なのか、最近は偏光方式とパッシブ型メガネを採用する3Dテレビが増えているが、パッシブ型は解像度が物足りない。3D意欲作『サンクタム』は画質のいいアクティブ型で見てほしい。
自発光のプラズマ方式であることも、P50-GP08に白羽の矢を立てた理由である。
最初に紹介した通り、光の差さない世界が映画の主要な舞台である。<闇>を描けるディスプレイでなければ『サンクタム』(聖域)の世界に入っていくことが出来ない。薄型テレビの数量の面で主流の液晶方式は各社の努力で大きく改善されたとはいえ、液晶パネルの背後にある光源(バックライト)を直接目視している感覚が、やはり付きまとう。
自発光という点では、韓国メーカーが発売準備中のOLED(有機EL)、国内からはクリスタルLEDも名乗りを上げているが、画質は一日にしてならず、である。発売から十年を経てプラズマ方式が到達した画質の牙城にここであらためて注目してほしい。
Woooは録画機能やホームネットワーク機能の充実が注目されることが多いし、事実その通りなのだが、コントラスト、階調表現、色彩の自然さ、豊かさなど、近年の日立のプラズマテレビの画質の完成度は非常に高い。あとは3Dの表現力だが、こればかりは未検証である。期待を胸にP50-GP08で視聴に臨んだ。