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評論家4名が語る

東芝 “4Kレグザ”「55XS5」大解剖!− 4Kアップスケーリング/表現力まで実力を徹底検証

公開日 2012/06/18 11:00 執筆者:貝山知弘/山之内正/大橋伸太郎/岩井喬
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大橋伸太郎&55XS5

技術に関する投資を惜しまない東芝は、次世代覇者たる資格を獲得している


ウインターズ・ボーン

永遠の僕たち
4K製品をこのタイミングで発売し、クオリティを世に問うという姿勢それ自体が素晴らしい。そこまでの長期視野がないとこれからのディスプレイの表現域、官能領域を見極めるパワーが育っていきません。4Kネイティブコンテンツが現れたとき、先鞭を付けたレグザによってポテンシャルの全貌が明らかになるはずです。そう思わせる何かが55XS5の映像から読み取れます。

昨年55X3で強烈に印象づけられた精細な表現は、55XS5ではさらに進化していることが視聴を通じて良く分かりました。4K体験がまだ済んでいない読者の方は、一刻も早く本機の映像を確認すべきです。例えば、映画を観る上での大きなベネフィットを本機が獲得していることが分かるはずです。画素が高密度化されることで階調表現が別次元に行くことが分かりました。そして、今回の2台目の4Kモデルである55XS5でも着実な進化が現れているな、というのが第一印象でした。


大橋伸太郎氏
今日『ウィンターズ・ボーン』を観て、その印象はさらに確信に変わりました。この作品は4Kカメラで撮られています。4Kカメラで撮った理由は、この作品が基本的にドキュメンタリーだからです。カメラをフィックスではなくあえて手持ちのカメラで登場人物を追う。4Kカメラ「RED ONE」が持つドキュメンタリーとの相性、客観的な画質と相まって、観客がそれまで観たことのない領域にまで入りこんで撮られた映像を、55XS5は見事に描き出しました。実像、即ちリアリズムが出ている。この作品の一貫したテーマである「貧困」をあまねくあぶり出していたと思います。

最初に観た『永遠の僕たち』(原題 : 『Restless』)での55XS5映像再現力も非常に見事だったと思います。この作品は、ナロウなコントラストレンジで撮った作品で、「未来に対して信じることができない」若者の悲しみと迷いを表現する必要があるのですが、このテーマも本機は見事に描ききりました。「Restless」とは、日本語に直すと「せわしない」という意味なのですが、その雰囲気が私にビビッドに伝わったのです。この作品の初見は埼玉の映画館でした。今日改めて55XS5の映像でこの作品を確認して、家庭用ディスプレイでもシアターに決して負けない、それ以上の映像の美しさが出せる可能性があることが分かりました。

いずれにしても、東芝の旺盛なチャレンジ意欲に関しては、心から拍手を送りたいと思います。未来の技術に関する投資を惜しまない同社の姿勢は、次世代ディスプレイの覇者たる資格を既に獲得しているわけですから。(談)


「55XS5」¥OPEN(予想実売価格750,000円前後)
【SPECIFICATION】●画面サイズ:55V型 ●液晶パネル方式:VA方式4K2Kパネル ●コントラスト:5000対1(ダイナミックコントラスト650万対1) ●画素数:水平3840×垂直2160 ●消費電力:268W(リモコン待機時0.14W) ●外形寸法:1253W×832H×357Dmm ●質量:27.5kg(スタンド含む)

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