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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第15回】徹底検証! iBasso「HDP-R10」のハイスペック機能をガッツリ試す

公開日 2012/08/28 11:17 高橋敦
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■2種類から選べるデジタルフィルター

「D-filter」では、DACのデジタルフィルターのタイプを設定できる。「Slow Roll-off」「Sharp Roll-off」の2種類からの選択だ。

据え置きオーディオでもマニアックな機能として認知されている、DACのフィルター設定を搭載。初期設定は「Slow Roll-off」

「Slow Roll-off」から「Sharp Roll-off」に変更してみると、音のカッチリとした強さ、明確さが高まる。一方で音色や全体のスムーズさは少し弱まる。それほど強力な変化ではないが、本機に注目するようなマニアにとっては、この微妙な変化がおいしいはずだ。

SRCとD-filterの組み合わせを、筆者の好みで追い込むと、SRCは「Native play」でD-Filterは「Sharp Roll-off」という、硬質感と解像感を強める設定だ。本機の基本的な音調は穏やかなのだが、この設定にすることでカチッとした方向に少し寄らせることができる。本機の懐は深い。

■DSD再生を試す! 果たして音質は?

さて前述のように、本機はDSD再生にも対応している。残念ながらPCMへの変換再生とはなるが、それでもこれは、本機の大きな特長のひとつだ。

再生方法だが、何も特別なことはない。他の形式のファイルと同じように本機の内蔵メモリーまたはSDカードに転送して、選曲ナビゲーションで選択すればOK。今回はe-onkyo musicで購入したDSDファイルでテストしたが、それに埋め込まれているタグ情報も問題なく認識。選曲ナビゲーションでもメイン画面でも、アーティスト名や曲名などがきちんと表示される。

画面中央部分に表示されるファイル名の拡張子は「dsf」だが、その下の表示は「24bit 88.2kHz」となっている。DSD-PCM変換再生が行われているわけだ

再生中にメイン画面で確認しても、DSD音源は88.2kHz/24bitのPCM信号に変換されて再生されていることがわかる。SRCでこれを176.4kHzにアップサンプリング再生することも可能だ。

音質だが、DSDらしい充実感や滑らかで密度のある音色の片鱗は感じられる。DSDでレコーディング〜マスタリングが行われている素材であれば、その「DSDらしさ」を感じ取ることはできるだろう。

念のため、DSDファイルを事前に88.2kHz/24bitのFLACファイルに変換したものとも聴き比べてみたが、特に差は感じられなかった。余計なことはせずに、DSDファイルは本機にそのまま放り込んで再生すればOKだ。

なお、DSDも含めて現在考えられる主なハイレゾ音源の形式と仕様への対応を念のため実際に確認してみたが、下の表のように、どれも問題なく再生できた。


他にもちろんMP3やAAC、例えばiTunes PlusとなってDRMフリーになって以降にiTunes Storeで購入したAACファイルも、問題なく再生できる。

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