発売に先駆け使用感や音質をレビュー
【レビュー】 iPhone 5とも聴き比べ!ソニーの新Androidウォークマン“F800シリーズ” の完成度は?
■iPhone 5と聴き比べてみた
試聴は付属のイヤホンと、BAドライバー2基を搭載したオーディオテクニカの「ATH-CK100PRO」とで行った。あわせて、先日発売されたiPhone 5と聴き比べることで、F800シリーズの“音の個性”を感じようという試みだ。スマートフォンよりも専用機の方が音質が良いというのは、オーディオファンにとっては当たり前と感じられるかもしれないが、ここでは先入観を捨て、あえて今最も話題の製品と聴き比べてみた。
付属イヤホンはダイナミック型ということもあり、低域がしっかりした印象。解像感もまずまず、適度にヌケのいい高域を楽しませてくれる。低域が目立つものの全域にわたりバランスの取れた音作りが感じられ、ノイズキャンセリング対応ということもあり、付属品としては上々という印象を受けた。
しかし、これはF800で使用したときの話。プレーヤーをiPhone 5に替え、まったく同じ曲(44.1kHz/16bit WAV)を聴くと、低域の盛り上がりが気になった。歴代のiPhoneの音は、よくも悪くも全域にわたりフラットな傾向があるからだろう。
次にF800のイヤホンを「ATH-CK100PRO」に換えて聴いてみると、質感が一変。中高域の解像感はぐっと高まり、細かなシンバルワークも鳴らし分けるほど描写力の向上を実感できた。ピアノの音の艶も増し、ボーカルの定位もより明確になる。モノによっては耳障りなギターのグリッサンドも自然だ。F800シリーズ本来の実力が感じられた。
こちらもiPhone 5で聴いてみたが、音の繊細さはF800がやはり数段上で、艶やかだったピアノの音がiPhone 5ではサラリと描写されてしまうなど、特に中高域の華やかさが乏しくなる印象は否めなかった。
内蔵スピーカーについても触れておくと、こちらはiPhone 5に軍配が上がる。F800ではxLOUDで補正しなければ、ボーカルばかり目立つスカスカした印象だが、iPhone 5は補正なしでそれなりに聴かせてくれる。
両機の音を聞き比べた全体の印象だが、本格的なオーディオセットを「音楽と向き合う」だとすると、iPhone 5は「音楽と知り合う」、F800は「音楽と付き合う」といったところか。おそらく、“Walkman”もそこを目指していることだろう。