パイオニアのSACDプレーヤー上位機「PD-70」レビュー − DSDディスク再生も可能
DSDディスク再生も可能なSACDプレーヤーの上位機登場
「PD-70」は先行する「PD-10」「PD-30」の上に立つ、新型ピュアオーディオSACDプレーヤーシリーズにおける最上位モデルだ。ヘアライン仕上げが美しい高剛性なアルミフロントパネルを用いており、下位モデル同様にDSDディスク再生にも対応している。心臓部には同社AVアンプやネットワークプレーヤー「N-50」にも搭載されている192kHz/32bit対応DACチップAKM製AK4480を左右で1基ずつ、パラレル駆動させる“ツインD/Aコンバーター”を採用。DACのそばには“ハイアキュラシーマスタークロック”を置くことで高精度かつ正確な信号伝送を実現するとともに、時間軸でのブレを最大限抑え込む。
さらに最終段でのクロック信号の揺らぎを抑えるジッターリダクションICも搭載することで信号歪みを一層抑制したという。そしてPCM系プロセスには独自のアルゴリズムによるビット拡張技術“Hi-bit32 Audio Processing”を投入し、入力信号をよりアナログ波形に近付けて繊細なニュアンス再現へと結びつけている。また電源トランスも、音声信号をつかさどるアナログ系とデジタル系を完全に分離したツイン電源トランスを採用したほか、アナログ、デジタルの各回路構成、CDサーボやUSB系の電源経路も基板から分離し、信号経路を最短で結ぶ“ダイレクトコンストラクション”によって音のひずみや劣化を防いでいる。
構造の点に目を向けると、下位モデルではコストの点で実現が難しい、シャーシを二重構造として高剛性化と制振性の向上を図る“リジッドアンダーベース”を採用したほか、ディスクドアの前面部をトレイから分離し、ドアと本体接触部にはシーリング・クッションを用いて外部振動の影響を抑制する“アコースティックダンパートレイ”も取り入れた。加えて、ピックアップやディスクローダーやトラバースといったドライブメカを完全自社開発していることも大きな特徴だろう。
機能面ではiPod/iPhone/iPadのデジタル接続に対応しており、USBメモリーからのAAC、MP3など圧縮ファイル再生時には圧縮時に削られてしまったデータを補間する独自の“アドバンスド・サウンドレトリバー”を使うことも可能だ。さらに光・同軸デジタル入力を装備しており、本機単体でDACとしても活用できる。
鮮度の高い鮮やかな音が印象的な、バランスの良い音づくり
試聴では“ピュアオーディオモード”を有効にして試聴室リファレンス(アキュフェーズ「C-3800」「A-46」、エラック「FS249BE」)に繋いだ。
音場は奥行き深く、密度も濃く、分解能の高いサウンドを持っている。クラシックのホールトーンは涼やかでヴァイオリンのタッチは優しげに描写。倍音成分も素直に伸びており、ローエンドは弾力良い。
ジャズピアノは高低ともに伸び良く温かみある音像の厚みを得られる。ウッドベースは胴鳴りがリッチでムチっとした弦のハリがアクセントで各々の楽器は立体的に浮かぶ。
ロックにおいてはエレキのリフは太く、厚みのあるディストーションを響かせる。リズム隊も太く安定し、ボーカルは口元をシャープに描きながらボトムをしっかりと押し出し、解像感良く際立つ。
DSDディスク再生においてはすっきりとして音抜けの良い空間が広がり、音像も解像度高く、輪郭を引き締めている。質感は滑らかで適度な厚みがあり有機的で存在感ある描写だ。細部の分離感も高くアタックのキレとリリースの余韻が非常にきめ細かい。音場の残響感も分離して感じ取れるほど音場の情報量が多い。
■試聴ソース
○クラシック
・諏訪内晶子『シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲』(ユニバーサル・SHM-SACD:UCGD-9007)
○ジャズ
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(ユニバーサル:UCCU-9407)
・『Pure2 〜Ultimate Cool Japan Jazz〜』〜届かない恋、夢であるように(F.I.X:KIGA10)
○ロック
・デイブ・メニケッティ『MENIKETTI』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(DREAM CATCHER:CRIDE35)
○DSDディスク
・『Pure2 〜Ultimate Cool Japan Jazz〜』&『キズナ/Suara』(DSDマスターデータ)
・『音展』ライブレコーディングイベントにおける長谷川友二氏のギター弾き語り(ウッドベース:土井孝幸氏、筆者によるDSD録音)
(岩井喬)
「PD-70」は先行する「PD-10」「PD-30」の上に立つ、新型ピュアオーディオSACDプレーヤーシリーズにおける最上位モデルだ。ヘアライン仕上げが美しい高剛性なアルミフロントパネルを用いており、下位モデル同様にDSDディスク再生にも対応している。心臓部には同社AVアンプやネットワークプレーヤー「N-50」にも搭載されている192kHz/32bit対応DACチップAKM製AK4480を左右で1基ずつ、パラレル駆動させる“ツインD/Aコンバーター”を採用。DACのそばには“ハイアキュラシーマスタークロック”を置くことで高精度かつ正確な信号伝送を実現するとともに、時間軸でのブレを最大限抑え込む。
さらに最終段でのクロック信号の揺らぎを抑えるジッターリダクションICも搭載することで信号歪みを一層抑制したという。そしてPCM系プロセスには独自のアルゴリズムによるビット拡張技術“Hi-bit32 Audio Processing”を投入し、入力信号をよりアナログ波形に近付けて繊細なニュアンス再現へと結びつけている。また電源トランスも、音声信号をつかさどるアナログ系とデジタル系を完全に分離したツイン電源トランスを採用したほか、アナログ、デジタルの各回路構成、CDサーボやUSB系の電源経路も基板から分離し、信号経路を最短で結ぶ“ダイレクトコンストラクション”によって音のひずみや劣化を防いでいる。
構造の点に目を向けると、下位モデルではコストの点で実現が難しい、シャーシを二重構造として高剛性化と制振性の向上を図る“リジッドアンダーベース”を採用したほか、ディスクドアの前面部をトレイから分離し、ドアと本体接触部にはシーリング・クッションを用いて外部振動の影響を抑制する“アコースティックダンパートレイ”も取り入れた。加えて、ピックアップやディスクローダーやトラバースといったドライブメカを完全自社開発していることも大きな特徴だろう。
機能面ではiPod/iPhone/iPadのデジタル接続に対応しており、USBメモリーからのAAC、MP3など圧縮ファイル再生時には圧縮時に削られてしまったデータを補間する独自の“アドバンスド・サウンドレトリバー”を使うことも可能だ。さらに光・同軸デジタル入力を装備しており、本機単体でDACとしても活用できる。
鮮度の高い鮮やかな音が印象的な、バランスの良い音づくり
試聴では“ピュアオーディオモード”を有効にして試聴室リファレンス(アキュフェーズ「C-3800」「A-46」、エラック「FS249BE」)に繋いだ。
音場は奥行き深く、密度も濃く、分解能の高いサウンドを持っている。クラシックのホールトーンは涼やかでヴァイオリンのタッチは優しげに描写。倍音成分も素直に伸びており、ローエンドは弾力良い。
ジャズピアノは高低ともに伸び良く温かみある音像の厚みを得られる。ウッドベースは胴鳴りがリッチでムチっとした弦のハリがアクセントで各々の楽器は立体的に浮かぶ。
ロックにおいてはエレキのリフは太く、厚みのあるディストーションを響かせる。リズム隊も太く安定し、ボーカルは口元をシャープに描きながらボトムをしっかりと押し出し、解像感良く際立つ。
DSDディスク再生においてはすっきりとして音抜けの良い空間が広がり、音像も解像度高く、輪郭を引き締めている。質感は滑らかで適度な厚みがあり有機的で存在感ある描写だ。細部の分離感も高くアタックのキレとリリースの余韻が非常にきめ細かい。音場の残響感も分離して感じ取れるほど音場の情報量が多い。
■試聴ソース
○クラシック
・諏訪内晶子『シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲』(ユニバーサル・SHM-SACD:UCGD-9007)
○ジャズ
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(ユニバーサル:UCCU-9407)
・『Pure2 〜Ultimate Cool Japan Jazz〜』〜届かない恋、夢であるように(F.I.X:KIGA10)
○ロック
・デイブ・メニケッティ『MENIKETTI』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(DREAM CATCHER:CRIDE35)
○DSDディスク
・『Pure2 〜Ultimate Cool Japan Jazz〜』&『キズナ/Suara』(DSDマスターデータ)
・『音展』ライブレコーディングイベントにおける長谷川友二氏のギター弾き語り(ウッドベース:土井孝幸氏、筆者によるDSD録音)
(岩井喬)