[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第40回】PCOCC製造中止でこれからどうなる? ケーブルメーカー3社に突撃取材!
■オヤイデ電気に突撃インタビュー!
「率直な感想としては、こまったなと。古河電工から知らせを受けたのは年明けで、寝耳に水でした。国産の良い素材が手に入らなくなるのは、本当に困ります。うちはケーブルのラインナップの70〜80%程度にPCOCC-Aを採用していますので、影響は大きいです」。
今回の発表を受けての率直な感想を尋ねたところ、村山氏はそう語った。
オヤイデ電気とPCOCC-Aとの関係は深く長い。遡れば2005年に発売した「PA-02」シリーズがPCOCC-Aを初採用した製品。同社がケーブルブランドとして本格的に市場に参入してからさほど間を置かずに投入されている。そしてそのPA-02は現在まで続くロングセラーだ。ではそもそも、PA-02にPCOCC-Aを採用した理由はどこにあったのだろうか?
村山氏は、「ケーブルブランドとして市場に参入する時点で様々な導体素材を試聴したところ、PCOCC-Aの音が良かった。これはイケる! と思いました。また、PCOCC-Aは日本製です。私たちは電材屋として海外の製品も扱っていますが、その中で日本製の線材の優秀さを実感しています。品質が安定しているのです」と説明する。
オーディオの至上命題である音の良さと、製品化するにあたって必要な品質の安定性を共に満たす素材がPCOCC-Aなのだという。それだけに「PCOCC-Aがなくなるから、じゃあ代わりに次はこれで」と簡単にはいかない。実際に村山氏も次のように語っている。
「今のところ、そのままPCOCC-Aの代わりになるような相当品はありません。PCOCC-Aとは別の素材を探し出す必要がありますが、現在はまだ探し始めたばかりの段階です。世界最大の銅の生産国であるメキシコや、あるいは韓国の素材もリサーチしています。しかし先ほどお話ししたように、PCOCC-Aには国産素材ならではの品質の安定度という魅力もありました。現在の海外の素材がそれを満たしているのかは、実際に確認してみないことにはわかりません。また、オヤイデ電気としては国産素材のケーブル製品であることにも価値を見いだしてきましたので、そういったブランド思想との兼ね合いも悩ましいところです」。
新たな導体素材の選定は、やはり簡単なことではないようだ。しかしそこを何とかクリアして、オヤイデ電気の求める品質を満たす新たな素材を見つけられた場合、異なる素材での製品開発に何かしら問題はないのだろうか? その辺を伺ってみると…。
「その点については、特に心配していません。例えばACROSSシリーズに採用しているC.I.S.(十字絶縁構造)など、これまでのケーブル製作の技術は導体素材が変わっても継承できるものです。素材さえ見つかれば、いままでの技術を生かして製品として形にできます」。
力強い回答を得ることができた。オーディオファンとしてはこの「素材さえ見つかれば〜」に期待するしかない。答えが出るのはまだ少し先のことになるだろうが、今後も注視していきたいと思う。
以上が「PCOCC生産中止でどうなる?」取材で得られた各社の回答だ。それにしても残念なのは、ケーブルブランド各社をして「低重心で高密度で厚みのある低歪みで純度の高い音質」「これはイケる」と言わしめ、オーディオファンにも定番として評価されている素材が、経済的な事情で失われるという事実だ。やむを得ないこととは思うが、それにしても残念だ。
各社の努力が実を結んで、近い未来に「新しい◯◯素材のケーブルってPCOCC-Aとは違うけれどこれはこれでいい音だよね!」というような状況になっていることを願うばかりである。
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域 バックナンバーはこちら
「率直な感想としては、こまったなと。古河電工から知らせを受けたのは年明けで、寝耳に水でした。国産の良い素材が手に入らなくなるのは、本当に困ります。うちはケーブルのラインナップの70〜80%程度にPCOCC-Aを採用していますので、影響は大きいです」。
今回の発表を受けての率直な感想を尋ねたところ、村山氏はそう語った。
オヤイデ電気とPCOCC-Aとの関係は深く長い。遡れば2005年に発売した「PA-02」シリーズがPCOCC-Aを初採用した製品。同社がケーブルブランドとして本格的に市場に参入してからさほど間を置かずに投入されている。そしてそのPA-02は現在まで続くロングセラーだ。ではそもそも、PA-02にPCOCC-Aを採用した理由はどこにあったのだろうか?
村山氏は、「ケーブルブランドとして市場に参入する時点で様々な導体素材を試聴したところ、PCOCC-Aの音が良かった。これはイケる! と思いました。また、PCOCC-Aは日本製です。私たちは電材屋として海外の製品も扱っていますが、その中で日本製の線材の優秀さを実感しています。品質が安定しているのです」と説明する。
オーディオの至上命題である音の良さと、製品化するにあたって必要な品質の安定性を共に満たす素材がPCOCC-Aなのだという。それだけに「PCOCC-Aがなくなるから、じゃあ代わりに次はこれで」と簡単にはいかない。実際に村山氏も次のように語っている。
「今のところ、そのままPCOCC-Aの代わりになるような相当品はありません。PCOCC-Aとは別の素材を探し出す必要がありますが、現在はまだ探し始めたばかりの段階です。世界最大の銅の生産国であるメキシコや、あるいは韓国の素材もリサーチしています。しかし先ほどお話ししたように、PCOCC-Aには国産素材ならではの品質の安定度という魅力もありました。現在の海外の素材がそれを満たしているのかは、実際に確認してみないことにはわかりません。また、オヤイデ電気としては国産素材のケーブル製品であることにも価値を見いだしてきましたので、そういったブランド思想との兼ね合いも悩ましいところです」。
新たな導体素材の選定は、やはり簡単なことではないようだ。しかしそこを何とかクリアして、オヤイデ電気の求める品質を満たす新たな素材を見つけられた場合、異なる素材での製品開発に何かしら問題はないのだろうか? その辺を伺ってみると…。
「その点については、特に心配していません。例えばACROSSシリーズに採用しているC.I.S.(十字絶縁構造)など、これまでのケーブル製作の技術は導体素材が変わっても継承できるものです。素材さえ見つかれば、いままでの技術を生かして製品として形にできます」。
力強い回答を得ることができた。オーディオファンとしてはこの「素材さえ見つかれば〜」に期待するしかない。答えが出るのはまだ少し先のことになるだろうが、今後も注視していきたいと思う。
以上が「PCOCC生産中止でどうなる?」取材で得られた各社の回答だ。それにしても残念なのは、ケーブルブランド各社をして「低重心で高密度で厚みのある低歪みで純度の高い音質」「これはイケる」と言わしめ、オーディオファンにも定番として評価されている素材が、経済的な事情で失われるという事実だ。やむを得ないこととは思うが、それにしても残念だ。
各社の努力が実を結んで、近い未来に「新しい◯◯素材のケーブルってPCOCC-Aとは違うけれどこれはこれでいい音だよね!」というような状況になっていることを願うばかりである。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域 バックナンバーはこちら