内部刷新で音質強化したエントリーモデルを早速試聴
ヤマハAVアンプ「RX-V775」速攻レビュー − 「空間描写力が秀逸なエントリー機」
■空間描写力が秀逸! ヤマハAVアンプ13年春モデルの決定打
今春のヤマハAVアンプは、エントリークラスとして機能強化した「RX-V575」「RX-V475」、シンプルな機能だけに絞り込んだ超エントリー「RX-V375」の計3モデルが登場している。そして今回発表されたのが、この「RX-V775」。機能面はRX-V575/475とほぼ共通のスペックを備えながら、徹底的に音質を強化したエントリーモデルのトップエンドだ。
音質向上のポイントとしては、まずアナログとデジタルの回路の配置の見直しが行われた内部レイアウトの刷新が挙げられる。DAC回路は新たに2chチップの「PCM5101」を5個=10ch分搭載する構成を採用した。先代「RX-V773」は8ch分を1個の「PCM1681」でまかなっていたが、それと比較してグッと贅沢な仕様になった。それに伴ってサウンドチューニングも見直している。また電源回路はアナログ回路向けとデジタル回路向けに個別のトランスを搭載し、相互の干渉を避けると共に、より安定した電源供給を確保している。なお自動音場補正「YPAO-R.S.C.」も強化し、同社AVアンプの上位ライン“AVENTAGE”と同じプログラムを投入した。
続いて機能面も確認しておこう。先行してリリースされた下位モデルRX-V575/475に投入された春モデルの新機能をしっかり搭載している。HDMI端子は6入力/2出力を装備。入力のうち1基はスマートフォンとの接続に便利なMHLに対応する。ネットワーク再生機能も搭載し、WAVとFLACは192kHz/24bitにまで対応した。
Apple製品との親和性の面では、AirPlayに対応するほか、iPodデジタル接続対応のUSB端子も搭載する。スマートフォン全般との親和性の面では、オプションでBluetoothレシーバー「YBA-11」にも対応し、専用の電源端子も備えている。また、専用の操作アプリ「AV CONTROLLER」も利用できる。
■“自然な台詞”と“高い空間再現性”
映画『ダークナイト』冒頭の銀行強盗の場面では、ビル街の上空を写す広大なカメラワークに引けを取らない、広くて抜けのよい音場を再現する。場面が銀行内に移ると、台詞の響きによって、建物の広さや天井の高さ、硬い壁面の感触などが伝わってくる。細かな成分による空間描写が秀逸だ。道具や銃器を扱う際のカチャッとした効果音のキレ、精密感も十分。ショットガンの銃声の空気が太く弾ける感じもよい。
映画『セブン』ではレストランでの会話の場面を試聴したが、ここでもやはり空間の描写力に感心した。物音や気配が空間の各所に漂っており、店内の空気を感じられる。声は自然に、すっと届いてくる。息づかいや微妙な抑揚による表情の豊かさも十分な描き込み。モーガン・フリーマンの胸に響いて、深みのある声も良い具合だ。
ステレオの音楽ソースもいくつか聴いてみたが、ガチガチにシビアな再現性というよりは、少し緩めたおおらかな描写。声の良さは、もちろんボーカルもののソースでも発揮される。
その音は率直に一言、好印象。機能面も文句なし。今春のヤマハAVアンプのラインナップにおける決定打と言いたい完成度だ。
◆高橋敦 プロフィール
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。
今春のヤマハAVアンプは、エントリークラスとして機能強化した「RX-V575」「RX-V475」、シンプルな機能だけに絞り込んだ超エントリー「RX-V375」の計3モデルが登場している。そして今回発表されたのが、この「RX-V775」。機能面はRX-V575/475とほぼ共通のスペックを備えながら、徹底的に音質を強化したエントリーモデルのトップエンドだ。
音質向上のポイントとしては、まずアナログとデジタルの回路の配置の見直しが行われた内部レイアウトの刷新が挙げられる。DAC回路は新たに2chチップの「PCM5101」を5個=10ch分搭載する構成を採用した。先代「RX-V773」は8ch分を1個の「PCM1681」でまかなっていたが、それと比較してグッと贅沢な仕様になった。それに伴ってサウンドチューニングも見直している。また電源回路はアナログ回路向けとデジタル回路向けに個別のトランスを搭載し、相互の干渉を避けると共に、より安定した電源供給を確保している。なお自動音場補正「YPAO-R.S.C.」も強化し、同社AVアンプの上位ライン“AVENTAGE”と同じプログラムを投入した。
続いて機能面も確認しておこう。先行してリリースされた下位モデルRX-V575/475に投入された春モデルの新機能をしっかり搭載している。HDMI端子は6入力/2出力を装備。入力のうち1基はスマートフォンとの接続に便利なMHLに対応する。ネットワーク再生機能も搭載し、WAVとFLACは192kHz/24bitにまで対応した。
Apple製品との親和性の面では、AirPlayに対応するほか、iPodデジタル接続対応のUSB端子も搭載する。スマートフォン全般との親和性の面では、オプションでBluetoothレシーバー「YBA-11」にも対応し、専用の電源端子も備えている。また、専用の操作アプリ「AV CONTROLLER」も利用できる。
■“自然な台詞”と“高い空間再現性”
映画『ダークナイト』冒頭の銀行強盗の場面では、ビル街の上空を写す広大なカメラワークに引けを取らない、広くて抜けのよい音場を再現する。場面が銀行内に移ると、台詞の響きによって、建物の広さや天井の高さ、硬い壁面の感触などが伝わってくる。細かな成分による空間描写が秀逸だ。道具や銃器を扱う際のカチャッとした効果音のキレ、精密感も十分。ショットガンの銃声の空気が太く弾ける感じもよい。
映画『セブン』ではレストランでの会話の場面を試聴したが、ここでもやはり空間の描写力に感心した。物音や気配が空間の各所に漂っており、店内の空気を感じられる。声は自然に、すっと届いてくる。息づかいや微妙な抑揚による表情の豊かさも十分な描き込み。モーガン・フリーマンの胸に響いて、深みのある声も良い具合だ。
ステレオの音楽ソースもいくつか聴いてみたが、ガチガチにシビアな再現性というよりは、少し緩めたおおらかな描写。声の良さは、もちろんボーカルもののソースでも発揮される。
その音は率直に一言、好印象。機能面も文句なし。今春のヤマハAVアンプのラインナップにおける決定打と言いたい完成度だ。
◆高橋敦 プロフィール
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。