パーツや設計をブラッシュアップし音質を強化
デノンの7.1ch対応AVアンプ「AVR-X2000」を鴻池賢三がチェック
本機はDENONブランドのAVアンプのエントリークラス新製品として登場した、7.1ch対応モデルである。本機の特長としては、特にデジタル系の音質強化が挙げられる。聴感テストによって厳選された192Hz/24ビット対応の新型DACの採用に加え、周辺回路も高品質なシリコンウェファーで音質向上を狙ったオペアンプ、本機のためにチューニングされたカスタム仕様のオーディオ用コンデンサーを用いるなど、細部までブラッシュアップが図られている。
■重厚でウォームな音調にキレの良さを兼ね備える
機能面では、4Kディスプレイへの対応がトピックで、アナログおよびHDMI入力の映像信号を4Kにアップスケーリング又はパススルー出力が可能。さらに、4K映像にGUIをオーバーレイ表示できるパワフルな処理能力を備える。また、精細なグラフィック表示機能を利用し、設定や接続をアシストしてくれる「セットアップアシスタント」も新しい。
ネットワーク再生機能も強化され、192kHz/24bitのWAV/FLACやALACのデコードおよびギャップレス再生が可能。AirPlayにも対応する。スマートフォンとの連携は、iOS/Android用のアプリ「Denon Remote App」を用意し、入力や音声モードの切り換え、音量調整などの基本操作に加え、ネットワーク上の音楽ファイルをタッチ操作で選択して再生できる。
同時にリリースされた5.1ch対応のAVR-X1000との違いは、内蔵7chアンプとドルビープロロジックIIz対応による、ハイトchの拡張も可能なサラウンド音声の充実と、アンプ出力、HDMI入力数、4Kアップスケーリング及びパススルー機能の有無などである。
まずはCDで、ベースとなる音質の素性を探った。ユーザーの実使用を想定し、プレーヤーはBD/HDDレコーダー(DMR-BZT9300)を使用。接続は光デジタルとHDMIのデジタル系をメインに聴いた。第一印象として、重厚でウォームな音調は、従来および上位のDENONアンプと共通するが、野太いとも言えた低域の押し出し感がスッキリとニュートラルに改められ、キレと弾力が感じられる。低域の解像感とS/Nも向上し、小音量時も低域から高域までバランス良く聴かせてくれる。
試聴には、男性ボーカルBOZSCAGGSのアルバム『but beautiful』から再生の難しい「What’s New」を用いた。粒立ちを鈍らせず柔らかで、中高域の表現も好印象だ。欲を言えば、高域にもう一歩のエネルギー感が欲しいが、荒さを目立たせずリラックスして聴くには、現状のチューニングが適切かもしれない。今回の組み合わせでは、HDMIよりも光デジタル接続の方が定位も明瞭度も上で、CDを聴くためのオーディオアンプとしても楽しめそうだ。
マルチチャンネルの映画BDは、7.1ch収録の「ジュラシック・パーク」を試聴。サラウンド再生で気がつくのは、2ch再生時よりもさらに高密度でリアルな質感再現だ。おなじみのジャングルで雨が降るシーンは、雨粒がリアルで遠近の距離感も掴め、2ch再生時以上にS/Nの良さが実感できる。センターから放たれるセリフは明瞭かつ厚みがあり、Tレックスの鳴き声も唸りが低く轟きつつ、ゴロゴロとした質感も感じ取れるのはなかなかのハイレベルだ。
ガラスがひび割れる場面では、背筋がゾクゾクとするくらいに、ガラスの軋む音をストレートに表現する。2chではもう少しあってもよいかと感じた高域の突き抜け感が、7.1chではありありと感じられる。多チャンネルによる情報量の多さと密度のおかげだろう。本機の音質は7.1chで最も本領を発揮するようにチューニングされているのかもしれない。
ネットワーク再生は、シカゴの『Dialogue (Part One)』(FLAC 192kHz/24bit)を試聴した。リズムを刻むバスドラムの分厚さは圧巻で、全体的にも骨太なのが印象的。過去、192kHz再生では音の痩せが気になる製品が少なくなかったが、本機ではその心配が微塵もなく、ハイレゾ音源の魅力が堪能できる。DACやDAC周りのブラッシュアップの成果だろう。総じてハイレゾ音源では広帯域でエネルギーバランスも良く、本機はCD再生以上にハイレゾにフォーカスした音作りをしていると感じた。
iPhone/iOSに対応するアプリ「Denon Remote App」はオーソドックスな作り。入力切り換え、音声モードや音量などの基本操作では、迷うことなく使い易い。特筆すべきはネットワーク再生時の一覧表示機能で、操作から一覧表示までの時間が短縮され、スクロール時に待たされることもなく快適だ。日常的にもストレスなく活用できるだろう。
■重厚でウォームな音調にキレの良さを兼ね備える
機能面では、4Kディスプレイへの対応がトピックで、アナログおよびHDMI入力の映像信号を4Kにアップスケーリング又はパススルー出力が可能。さらに、4K映像にGUIをオーバーレイ表示できるパワフルな処理能力を備える。また、精細なグラフィック表示機能を利用し、設定や接続をアシストしてくれる「セットアップアシスタント」も新しい。
ネットワーク再生機能も強化され、192kHz/24bitのWAV/FLACやALACのデコードおよびギャップレス再生が可能。AirPlayにも対応する。スマートフォンとの連携は、iOS/Android用のアプリ「Denon Remote App」を用意し、入力や音声モードの切り換え、音量調整などの基本操作に加え、ネットワーク上の音楽ファイルをタッチ操作で選択して再生できる。
同時にリリースされた5.1ch対応のAVR-X1000との違いは、内蔵7chアンプとドルビープロロジックIIz対応による、ハイトchの拡張も可能なサラウンド音声の充実と、アンプ出力、HDMI入力数、4Kアップスケーリング及びパススルー機能の有無などである。
まずはCDで、ベースとなる音質の素性を探った。ユーザーの実使用を想定し、プレーヤーはBD/HDDレコーダー(DMR-BZT9300)を使用。接続は光デジタルとHDMIのデジタル系をメインに聴いた。第一印象として、重厚でウォームな音調は、従来および上位のDENONアンプと共通するが、野太いとも言えた低域の押し出し感がスッキリとニュートラルに改められ、キレと弾力が感じられる。低域の解像感とS/Nも向上し、小音量時も低域から高域までバランス良く聴かせてくれる。
試聴には、男性ボーカルBOZSCAGGSのアルバム『but beautiful』から再生の難しい「What’s New」を用いた。粒立ちを鈍らせず柔らかで、中高域の表現も好印象だ。欲を言えば、高域にもう一歩のエネルギー感が欲しいが、荒さを目立たせずリラックスして聴くには、現状のチューニングが適切かもしれない。今回の組み合わせでは、HDMIよりも光デジタル接続の方が定位も明瞭度も上で、CDを聴くためのオーディオアンプとしても楽しめそうだ。
マルチチャンネルの映画BDは、7.1ch収録の「ジュラシック・パーク」を試聴。サラウンド再生で気がつくのは、2ch再生時よりもさらに高密度でリアルな質感再現だ。おなじみのジャングルで雨が降るシーンは、雨粒がリアルで遠近の距離感も掴め、2ch再生時以上にS/Nの良さが実感できる。センターから放たれるセリフは明瞭かつ厚みがあり、Tレックスの鳴き声も唸りが低く轟きつつ、ゴロゴロとした質感も感じ取れるのはなかなかのハイレベルだ。
ガラスがひび割れる場面では、背筋がゾクゾクとするくらいに、ガラスの軋む音をストレートに表現する。2chではもう少しあってもよいかと感じた高域の突き抜け感が、7.1chではありありと感じられる。多チャンネルによる情報量の多さと密度のおかげだろう。本機の音質は7.1chで最も本領を発揮するようにチューニングされているのかもしれない。
ネットワーク再生は、シカゴの『Dialogue (Part One)』(FLAC 192kHz/24bit)を試聴した。リズムを刻むバスドラムの分厚さは圧巻で、全体的にも骨太なのが印象的。過去、192kHz再生では音の痩せが気になる製品が少なくなかったが、本機ではその心配が微塵もなく、ハイレゾ音源の魅力が堪能できる。DACやDAC周りのブラッシュアップの成果だろう。総じてハイレゾ音源では広帯域でエネルギーバランスも良く、本機はCD再生以上にハイレゾにフォーカスした音作りをしていると感じた。
iPhone/iOSに対応するアプリ「Denon Remote App」はオーソドックスな作り。入力切り換え、音声モードや音量などの基本操作では、迷うことなく使い易い。特筆すべきはネットワーク再生時の一覧表示機能で、操作から一覧表示までの時間が短縮され、スクロール時に待たされることもなく快適だ。日常的にもストレスなく活用できるだろう。