HOME > レビュー > フルHD/3D対応の超短焦点ハイCPプロジェクターBenQ「W1080ST」の実力に迫る

【特別企画】レンズシフト対応の兄弟機「W1070」との違いは?

フルHD/3D対応の超短焦点ハイCPプロジェクターBenQ「W1080ST」の実力に迫る

公開日 2013/05/17 11:57 鴻池賢三
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

だが本機の場合、比較的打ち上げ角は少なく、水平に投射すると、映像の下端がプロジェクターよりも少し高いくらいで違和感は少ない。W1070と異なり、光学レンズシフト機構は持たないが、マニュアルの上下台形補正機能も備えていて、映像の高さ方向の調整は容易に行える。

具体的には、プロジェクターを床上70cm〜80cm程度の仕事用デスクや食卓の上に設置しても、映像が天井まで上がってしまわず、丁度目線の高さに位置する。もちろん、プロジェクターを低い位置に設置しても、ワンタッチで高さ調整できる前脚と台形補正機能を利用すれば、映像を任意の高さまで上げる事ができ、設置性は良好だ。

ワンタッチで脚が伸びて高さ調整を行える

■測定数値が物語る2D画質の優秀さ

短焦点機は、映像光をワイドに拡散するという特性上、映像の歪み、収差、輝度ムラなど、画質面で不利なのは否めない。そこで今回は、テストパターンや輝度計を用いて検証を行った。

まず驚いたのは、最も心配していた映像の歪みが、目視で確認できなかった。本機を水平なテーブルに設置し、垂直のスクリーンに投射したが、映像は歪みの無い長方形で、傾きも感じられない。近年、レンズ設計技術は格段に向上しているようだ。

収差と解像度は、1080pの解像度テストパターンを用いて確認した。画面隅に1ピクセル程度の収差による色ズレ、上部に半ピクセル程度の色ズレが見られたが、視聴位置からでは判別できない水準。白黒パターンでは隅々まで1920x1080の画素が確認できるし、また、上下に黒帯の入る映画なら、収差による色ズレは映像部分に掛からない。つまり、収差による色ズレは極僅かで、さらに実用上は無視できると言える。

ユニフォーミティーは、照度計を用い、画面を9分割するANSI方式に沿って測定した。

-35%18% 13%
-25%745lx2%
-33%-15%-11%
ユニフォーミティー測定結果

測定結果は、画面中心の輝度を基準に、各ポイントの差異をパーセントで表したものである。デジタルシネマでは、±15%を許容しており、厳しく見ても差異が判別できないレベルだ。本機の場合、画面左側が暗くなる傾向があり、左上部が-35%の結果となった。

30%を超えると目視でも輝度の差が判別できるが、実は筆者の経験上、ホームシアター用のハイエンドモデルでも、広角側でレンズシフトを使うと、30%程度の輝度落ちを起こすモデルもある。本機が短焦点タイプである事を考えると、良く出来ていると言えるし、短焦点に魅力を感じるユーザーなら許容できるレベルと言えるだろう。

■「WXGAとフルHDの見た目の差は、2Kと4Kの差よりも遙かに大きい」

実際に視聴してみると、一見するとW1070と変わらない緻密で滑らかな映像で、フルHDの醍醐味が味わえる。だがここで忘れてはならないのは、本機が「短焦点」であると言う事だ。

現在、本機と同等の短焦点モデルは、1,280×800の画素を持つWXGA機が主流である。画素数で比較しても約2倍だが、透過型液晶で格子の幅が広いWXGA機と、DLPでフルHDの本機を比べると、見え方の違いは別次元だ。3H程度の視聴距離で比較すると、WXGA機は画素のツブツブが見えるのに対し、本機では見えない。この画素密度の違いは、グラデーションの滑らかさの違いとしても表れる。このWXGAとフルHDの見た目の差は、2Kと4Kの差よりも遙かに大きい。

次ページさらに具体的に画質をチェック/W1070との使い分けは?

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: