待望のフラグシップを徹底レビュー
【レビュー】SHURE「SE846」を聴く ー イヤホンリスニングに革新をもたらすサウンド
■4ドライバー機ながらコンパクトな本体で装着感も軽快
これだけの技術革新を盛り込みながら、本体のサイズがとてもコンパクトに仕上がっていることにまず驚かされる。耳に着けてみると、SE535と変わらない快適な装着感が得られるどころか、むしろ着けやすくなった印象だ。同社スタッフの説明では、ハウジングの形状に丸みを持たせ、装着感や耐久性能を高める工夫を凝らしたのだという。
SE535と並べてサイズを比較すると、SE846の方が筐体にやや厚みがあるものの、ハウジングの中に各パーツが整然と配置されており、ラウンドフォルムのハウジングが僅かなスペースの無駄もなく包み込んでいることがわかる。
ケーブルは他のSEシリーズのイヤホンと同様、着脱式で交換可能。SE846の本体色はクリスタルクリアーだが、今回はケーブルも本体の色味に合わせて白銀色とし、透明度の高い被覆でカバーしている。ケーブルはしなやかで取り回しがよく、ポータブルリスニング時のタッチノイズもほとんど気にならない。
ケーブルは114cmと162cmの2種類が同梱されている。イヤホン側端子の種類はMMCXなので、例えばSE535用としてケーブルメーカーなどから発売されている製品を即座に導入し、リケーブルを試すことも可能だ。
プレーヤー側の端子はスマートフォンをメインに音楽を楽しむユーザーのため、ハードケースを付けた状態でもプラグインしやすいよう、新たに段差が設けられた。これも地味ながら嬉しい改善点と言えるだろう。
同梱アクセサリーもSE535と同様に充実。イヤパッドはノズルの中にフィルターを設けたフォームチップなど、豊富なバリエーションが選べる。
ノズルインサートを交換してみた
SE846のリスニング報告をお伝えする前に、本機の醍醐味であるノズルインサート交換について、その方法をおさらいしておこう。まずはアクセサリーキットに同梱されている専用工具の「ノズルキー」を準備する。
最初にイヤーチップを取り外す。SE846はステンレスノズルを採用しているためか、樹脂製ノズルのSE535よりもイヤーチップがしっかりと固定されており、その分着脱の際にはやや力が必要だった。なお、ノズルの太さや形状はSE535などのモデルとほぼ同じなので、イヤーチップは互換性がある。
先に用意したノズルキーを使って、ステンレスノズルを固定しているネジ式のステンレスカラーを取り外す。ステンレスノズルの着脱は、イヤホン本体の受け側に溝が、ノズル側には小さな突起が設けられているので、ノズルインサートの交換が終わったらそれぞれの凹凸を合わせ、しっかりと固定する。
ステンレスノズルの中に交換式のノズルインサートが装着されているので、これを3種類の中から好みのものに取り替えて、異なる音色にカスタマイズできる。なおノズルインサートの上部にもステンレスノズルにしっかりと固定するためのガイドが設けられているので、こちらも方向を合わせて装着する。
ノズルインサートの交換が終わったら、上記の所作を逆順に辿ってイヤーチップまで取り付ければ交換完了となる。この交換機能により、音がカスタマイズできるだけでなく、ノズルの奥深くまでクリーニングできるようになったことも嬉しいポイントだ。
なおノズルインサートのパーツはたいへん小さく軽量なので、交換作業に慣れてきたとしても油断は禁物だ。もしノズルインサートを紛失しても、スペアがオプションとして販売されるかはわからない。なるべくなら、自宅など慣れた環境で交換した方が良いと思うが、外出先などで付け替える際には片付いたテーブルの上などで行うことをおすすめしたい。