[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第74回】「人気声優×人気ヘッドホン」総当たりテスト! 帰ってきた好評(?)企画、今年はヘッドホン編
■さあ今回も見よ、これが声優ソング×人気ヘッドホンの相対評価一覧表だ
本編完了!前回を超えて文字数がアレで僕の疲労度もアレだが、しかし今回も最後に相性評価一覧と各ヘッドホンごとのポイントをまとめておこう。
平均点は前回同様に今回においても、18世紀のアメリカで出版された日本料理の本くらい役に立たない数値なのであまり気にしないでほしい。お好きな声優さんとの相性だけ重視!
でもせっかく出した平均点なので、今回はそれを基にしてコストパフォーマンス(C/P)評価も点数化してみた。
1)平均点÷価格の数値を出す
2)その値が最大のMDR-10RCの点数を5と設定
3)それを基準に他のモデルの点数を算出
という計算だ。点数が高いほどコスパが高い。
改めて確認しておくと、各モデルの実売目安は
・MDR-10RC:1万6000円
・MOMENTUM On-Ear:2万1800円
・K712 PRO:4万3000円→4万7800円
・SRH1540:4万9800円
K712 PROのみ某大手量販店での取り扱いがないので他店の価格を参照しており、そのためポイント還元10%を想定した値段に直して計算している。
さてではそれも含めて各モデルのポイントをまとめていこう。
・MDR-10RC
中島さん小松さんについての評価が低いのは、歌自体、歌単体の問題ではない。このヘッドホンがややプッシュする低音の帯域とそれらの曲のベースやドラムスで強調されている帯域が重なってしまったのかそれらが少し目立った。そのため相対的に歌の存在感等が薄まり、今回の主旨には合わなかったのだ。
しかし音楽全体をバランスよく楽しむのであればこの程度の低音のプッシュは、むしろ好ましく感じる方も多いと思う。そしてそういった不利がありながらもコスパは圧倒的に高い。
・MOMENTUM On-Ear
戸松遥さんの歌との相性評価が突出しているが、全体的にそもそも女性ボーカルとの相性が良いと感じる。刺々しくなくほどよく丸みと厚みを帯びた感触が光る。強いて言うならば音のキレと声の倍音の伸びは、一般的には十分なレベルだが、今回の他のモデルと並べると特に優れてはいない。その点で上坂さんと花澤さんでの評価が低め。
コスパも悪くない。このモデルの場合はデザイン性とカラーバリエーションという付加価値もあるので、それも算入するとコスパはさらに高くなる。
・K712 PRO
基本的には何を聴いても最高レベル。強いて言えばモニター系としては穏やかなタッチが持ち味なので、上坂さん、戸松さん、ゆいかおりのアッパーチューンとの相性だけ少し下げた。まあ1540という比較対象があったので相対的にそうなったというだけで、絶対評価だったらどれも最高レベル。事前の期待通り、モニター系の細密な描写力とAKG開放型らしい和らぎの合わせ技には改めて感心させられた。AKG、驚異のチューニングだ。
コスパは、オーディオに限らずだが、価格帯が上がるほどコスパは下がる。低コストで実現可能で効果の大きい手法はエントリーからミドルレンジで使い尽くされてしまう。なのでハイエンドでは、高コストなのに効果は小さい手法も投入して音質を少しずつ高めていくわけだ。そこにお金を出せるかどうかは各自の考え方とお財布事情次第となる。
・SRH1540
シャープ!そしてそのシャープさが悪い方向に出ることがない。花澤さんや小倉さんのようなふわっとした倍音感がほしくなる声においてもだ。シャープさを極めることで柔らかさも表現できているというか、そういうレベルにある。もちろんさらにはボーカルの他もあらゆる要素がハイレベル。中低域の強靭さ、音のスピードと宇宙的空間性、描き込みのテクニック、荒い音も表現し切る残虐性、リズムを躍動させる力など、どれも文句なしだ。コスパについてはK712 PROと同様に考えてほしい。
…というわけでまとめも完了!全部読んでくれた方も一部読んでくれた方もおつきあいいただきありがとうございました。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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