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WalkmanやiPod touchとの相性を検証

PHILIPS“Fidelio”「S2」を注目ポータブルプレーヤー4機種と組み合わせテスト

公開日 2014/04/15 10:30 高橋 敦
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Fidelio「S2」と「NW-ZX1」の組み合わせでは、高音側についてはピアノやギターが、硬質でありながらも角を少しだけ落として艶を出す。アコースティックギターやシンバルは、輝きすぎない落ち着いた鈴鳴り。坂本真綾さん「30minutes night flight」など女性ボーカルの刺してくる成分をしっかり出しつつも、高音が綺麗に伸びているので、それが適度にほぐれていて心地よいこともポイント。

低音は太らせずに重心を下げた印象。量感を稼ぐのではなく、重心の腰をぐっと落とした感じだ。ダフト・パンク「Get Lucky」の低音域でのベースラインはまさに這うような感触。ギターのカッティングのキレとベースのヘヴィさの対比がより鮮やかになる。

Fidelio「S2」は各プレーヤーの個性を描き分けることが可能な表現力を持っていた

■「S2」×Astell & Kern「AK100MKII」

最後はAstell & Kern「AK100MKII」。前回のレポートでのレファレンス機だ。ハイレゾポータブルとしてはいち早く、小型軽量・使いやすさ・音質等をバランスよく兼ね備えて登場して好評を博したAK100をベースに、ヘッドホン出力のドライブ力強化(インピーダンス調整)を施したモデル。

>Astel&Kern「AK100MKII」

印象としては、NW-ZX1やあるいは上位モデルのAK120は音色の艶が光るが、AK100MKIIはダイレクト感の強さが光る。また全体的には見通しの良いすっきり系だが、雑味を濾過したすっきり系ではなく雑味も生かしたすっきり系。ストレートな出力で、S2の持ち味である「再現性」も「躍動感」も共に生かしてくれる。

高音側では、ギターのカッティングのエッジ感、シングルコイルのギターらしい軋み感が生々しい。それを筆頭にロックやハードエレクトロのザクッとした感触はなかなか良好。ボーカルも化粧っ気はないがだからこそ抜けが良い。繊細と言うほどではないが、歌い回しや息づかいの機微などの描き込みも十分。

低音側はまあ普通には確保されているが、特に充実しているわけではない。しかし低音を主張しないことでそれより少し上の帯域がよい感じに際立つのか、ベースやドラムス、あるいはアナログ感のある音色のシンセ、それらの音色は、重厚ではないがほどよく自然に太い。

ということでS2とポータブルプレーヤー4モデルを組み合わせてみたが、それぞれのプレーヤーがそれぞれなりにS2の持ち味を生かしてくれた。どれがベストかはユーザーの使い方、予算、狙う音調などによるが、いずれにしてもS2の潜在能力を、そして音楽の楽しさを、より引き出してくれることだろう。

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