[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第83回】ダイソー“108円イヤホン/ヘッドホン”一気聴き! その驚愕の実力とは?
■2機種目:イヤーモニター風デザインのカナル型イヤホン
続いてはイヤーモニター風デザインのカナル型だ。まずケーブルの左右分割については先ほどと同様なので略。本体の質感や精度は、…お察しください。それほど厳密に生産管理しているとは思えないので個体差もあると思うのだが、今回購入したものについて言えば、先ほどの普通のカナル型よりもこちらのイヤモニ風カナル型の方が作りが粗い。見てわかるレベルでパーツのバリが残っている。
そしてイヤーピース周りだが、先ほどの普通のカナル型とはノズルの径が異なり、互換性がない。あとで説明する別売イヤーピースとも互換性がない。しかしイヤーピース自体は、先ほどのものよりもさらに良い。ちゃんとしたブランドのそれなりの価格のイヤホンのものと比べても見劣りしないほど、厚みがあってしっかりしている。
装着方法は、普通のイヤホンのようにケーブルを下に垂らしてもだいじょうぶだし、イヤーモニターのように耳の上に回しても不自然ではない。後者の方がタッチノイズ(ケーブルがこすれる音が耳に伝わってくる)を抑えられるのでおすすめ。ではこちらも試聴!
…あれ?普通の音がする。なんだよこれ、ぜんぜん期待はずれだよ!
…と最初の数小節くらいはそう思ったのだが、落ち着いて聴くとこちらも、もわっとした定位と空気、全ての音の輪郭が不明瞭、音が割れているなど、十分にあれな感じだ。現在において他ではなかなか味わえないローファイっぷりだ。しかし最初に聴いた普通っぽい形の方のカナル型の音があまりにも衝撃的だったために、こちらのインパクトは薄い。どうせなら前者の方がおすすめだ。
■3機種目:イヤーピース
次はイヤーピース。地味だが、実はこれがいちばんの注目アイテムかもしれない。ローファイで面白いとかそういうことじゃなくて実用的に。
カナル型イヤホンのイヤーピースといえば、気が付くとなくなっていることでおなじみだ。カナル型イヤホンユーザーなら、自分がなくして不便をしたことも、街の片隅に転がっているイヤーピースを見かけて「ああ、今日もまた誰かがイヤーピースをなくして困っているんだな」と思ったこともあるだろう。そんなときダイソーを見つけられたら、最小限の出費でその状況を脱せるかもしれないのだ。
まずイヤーピース自体の出来だが、厚みはかなりある。ちょっとありすぎなんじゃないかというくらいある。一方で特にMサイズは背は低めなので、装着感はしっかりしているが浅いといった感じ。
しかしいちばん気になるのはノズルにはめる部分の径と形状。自分が使っているイヤホンに適切に装着できるかだ。パッケージ裏面には「イヤーパッドジョイント部内径が4mmとなっており、フィックスイヤホンジョイント部外径が4mmのものにご使用可能です」と記載がある。ミリメートルで言われても、正直自分の使っているイヤホンのノズルの径とかわからないので実際に試してみた。すると手元にある大手ブランドの製品では、audio-technica「ATH-IM02」とSony「XBA-1」には、よい感じにハマってしっかり固定された。
この2モデルのノズルの径と形状は、他にも「だいたい同じ」と言えるブランドやメーカーが多い。この2つに使えたということは、他にも使えるイヤホンは多そうだ。一方、ノズル径が細い場合が多いイヤモニには多くの場合ハマらない。
もちろん、製品には具体的などこのメーカーのどのモデルに適合するといった表記はないし、僕としても保証はできない。その部分が緩いとイヤホンを耳から外したときにイヤーピースだけ耳に残ってとるのに苦労したりするので、注意してほしい。なお前述のように、今回取り上げたダイソーイヤホンの中では、普通のまるっこい形のカナル型には適合、イヤモニ風の方には不適合だ。
次ページ最後は…ダイソーの“ラウンドタイプ”ヘッドホンを聴く!