海上忍が速攻レポート
ついにスタートした「iTunes Match」は日本で受け入れられるか?
■年単位の契約にはハードルの高さも
問題はコストだ。利便性を踏まえると、1ヶ月あたり税込み約332円という出費はリーズナブルに思えなくもないが、契約は年単位のため、3,980円というイニシャルコストが必須となる。ここで足踏みしてしまうユーザは少なくないはずで、熱心なiPhone/Macユーザ以外に食い込むためにはひと工夫必要だろう。
「自分の知らない音楽との出会いがない」という点も気になる。Appleの場合、いろいろな音源を試聴できる機能は「iTunes Radio」(日本未導入)に集約されており、iTunes Matchとは別のサービスとなるからだ。iTunes Storeの試聴機能がよく利用されていることをふまえても、iTunes Radioとは両輪の関係にあるサービスと考えられる。
日本ではMusic Unlimitedや通信キャリア系の定額音楽配信サービスがあり、月単位で契約できる気易さで順調にユーザー数を増やしていることから、Appleといえど後発の苦しみを味わうことになりそうだ。
オーディオファイルの視点でいうと、iTunes Matchにはハイレゾ試聴のようなクオリティ面での訴求が一切ないことが気にかかる。前述の定額音楽配信サービスはいずれもAAC/320kbpsであり、数値的には不利だ。それに、せっかくロスレスで統一したライブラリを非可逆圧縮されても…と、ハイレゾ音源から取り込んだが、iTunes MatchでAAC化された曲を聴きながら暫時考え込んでしまった。1年後の契約期限をどうするか? iTunes Radioが開始されるかどうかで決断するつもりだ。
(海上忍)