<山本敦のAV進化論>第11回
【インタビュー】radiko、エリアフリーの次は「音質向上」「オンデマンド聴取」を検討中
「radikoはインフラを提供する会社なので、当社にリスナーからの声が直接届くことはないのですが、それでもユーザーの方々からのニーズを把握するために、定期的にユーザーアンケートを実施してきました。アンケートの一部に設けていたフリーアンサーの中に、“エリアを越えて全国のラジオ番組が聴きたい”という要望を多くいただいたことに背中を押されました」(青木氏)
では、このタイミングでエリアフリー聴取のサービスがスタートした理由についてはどうだろうか。
「radiko.jpを起ち上げてから、まずは参加放送局を増やしながら配信エリアを広げて、配信プラットフォームを充実させるとともに、トラブルを減らし、万が一トラブルが発生した時の対処なども含めて、サービスの足場を固めることに注力してきました。いわば“第1フェーズ”としての足場固めがようやく落ち着いてきたところで、これからはユーザーからいただく声に耳を傾けながら、ユーザーにとってプラスになるサービスを展開していく“第2フェーズ”に移りたいと考えています。その第1弾として取り組んだものがエリアフリー聴取です」(青木氏)
ただ、エリア制限を解除したことでradikoはゴールインしたわけでなく、これはあくまで通過点であると青木氏は言う。なぜならそれは、これからユーザーのために様々なサービスを充実させていく中での“One of Them”でしかないからだ。「radiko.jpプレミアム」は、言うならばこれから始まる新しいradikoの「フェーズ 2-1」なのである。
■「ご当地名物番組」の魅力を全国に届けることもエリアフリーサービスの使命
とはいえ、エリアフリー聴取サービスを実現するためにはどんな苦労があったのか、訊ねておきたいところだ。
radikoではまず、初めての有料課金による配信システムを実現するための、会員管理やユーザーサポートの仕組みから整えていった。現在「radiko.jpプレミアム」は月額350円(税抜)で利用ができる。
各権利者に対して、サービスを始める意図についても丁寧に説明しながら理解を求めてきたという。
「設備投資と運用システムの構築が必要になることから、エリアフリー聴取は“有料サービス”として提供することになりました。もちろん、radikoは有料サービスすることが大事なのではなく、私たちの役割はあくまで“ラジオ文化の維持と拡大”であり、エリアフリー聴取は通信というプラットフォームでしかできなかったサービスであると考えています。
権利者の方々には、私たちの意図をご理解いただいたうえで、概ね歓迎、賛同していただきました。ユーザーの皆様からいただいた月額利用料は、さらに安定したサービスのために活用する考えです」(青木氏)
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