【特別企画】炭山アキラが実力に迫る
注目インシュレーター「Wind Bell」待望の大型機器用モデル「WB-60」登場
■高品位なスプリングと「風鈴効果」の組み合わせ |
特許機器(株)の「ウインドベル」は、昨年に登場したと思ったら一気にインシュレーターの主役というべき一角を占めたといって間違いないだろう。
非常に高品位なスプリングで床面からの振動をシャットアウトし、同時に機器からの振動を床にも伝えないという「完全遮断」タイプのインシュレーターだが、本機のすごいところはそのスプリングに高度なダンパーを仕込み、スプリングの共振をしっかりと止めているところにある。完全遮断タイプのインシュレーターはともすると動作の起点が曖昧になり、音の腰が定まらない印象となることがあるが、こと本機に関する限り、その心配は全くない。
また「ウインドベル」のもうひとつの注目点に「風鈴効果」がある。ウインドベルは床と接するパーツと上物に接するパーツをスプリングとダンパーで接続した形状なのだが、その上物側が「風鈴」と通称される構造となっており、指で弾くと「チーン」と澄んだ音を聴かせるのだ。これはある種のスーパートゥイーターに近い効果を持ち、上へ載せた機器の高域方向を見事に整える効果を持つ。
最初に話を聞いた段階では「本当に大丈夫なのか、余分な音を付け加えてしまうだけではないのか」といぶかしんだものだが、第1号機「WB-30」の効果を実際に聴いてみると(レビュー記事)、なるほどこれは濁った高域を美しく整え、不要な音を出す傾向は微塵もない。何とも巧みな機構を、一体どうやって考え付いたのだろうと不思議に思っていた。
実は特許機器という会社は世界でも有数の振動にまつわるグッズを開発・販売している社で、小は屋外を車が通っただけで振動が悪影響を及ぼすというICチップの生産現場から、大はマンションやアミューズメント施設の免震構造体まで、世のありとあらゆる振動と半世紀近くにわたって戦ってきた「歴戦のつわもの」なのだ。微に入り細を穿つ振動の解析も同社にはお手の物で、その解析技術から生まれたのが「ウインドベル」といって差し支えないだろう。