【特別企画】リケーブルで音質カスタマイズ
「リケーブル」の効果を検証 − Beat Audio/ALO audioの注目モデルでテスト
ALO audioのイヤホンリケーブル製品レビュー | Text by 高橋敦 |
●ALO audioとは?
ケーブルデザイナーであるケン・ボール氏によって設立されたブランド。主力製品はもちろん、各種のオーディオケーブルだ。
しかし見落としてはならないのは、同社はヘッドホンアンプ等の周辺アイテムにおいても活躍しているということ。特に注目してほしいのはバランス駆動対応ポータブルヘッドホンアンプをいち早く展開してきたことだ。ポータブルオーディオにおいて先進的な挑戦をしてきたブランドと言える。その姿勢はケーブルも含めてあらゆる同社製品に反映されていることだろう。
製品群はケーブルも含めてこちらのブランドもハンドメイド。様々な処理を施された導体を中心に、丁寧に美しく仕上げられている。
▼SXC 24 Earphone Cable
高純度銀メッキ銅に、超低温で分子の並びを整えるクライオ処理、熱を加えることで柔軟性等を向上させるアニール処理を施した同社独自の導体素材を採用。外装は透明のFEP(フッ化エチレンプロピレン)。その内側にはL側とR側を見分けやすくするための色付きの糸が入っており、それがルックスのアクセントにもなっている。
聴いておどろいたのは中低音のドンッと来る押しの強さや厚み。すばらしい力強さだ。銀メッキで高域の特性を稼ぎつつ、導体の太さ等で中低域も押し出すようにチューニングしてあるのだろう。低音楽器だけではなく、例えばギターの音色も厚みのある表現だ。そういった具合に音像をやや大柄に描き出すので、ちょっと聴いただけだとその濃厚濃密なパワフルさが目立つ。
しかし聴き込んでいくと、例えばスネアドラムのゴーストノートやバズといった微細なそれでいて演奏ニュアンスとして重要な成分、その描き込みも自然に向上していると気付く。なので女性ボーカルは、肉厚でありながら息のシャープさも備えるといった実に好ましい描写だ。
AK120IIとNW-ZX1での印象の違いは、このケーブルはその違いが最も小さかった。音調全体に対してのケーブルの個性の支配力が強いのかもしれない。
AK120IIとの組み合わせでは、2.5mm端子でのバランス駆動もチェック。濃密濃厚という個性は生かしつつも、空間の余白が少し加わる。S/Nも向上し、それらの効果で例えば、音の消え際が最後までより美しく見えてくれるようになる。
(高橋敦)
ひとえにリケーブルといっても、導体の種類や線材の構造などの違いから、製品によって音質の傾向は様々だ。色々なリケーブル製品を試して、自分好みの音を見つけていくのも面白いだろう。なお、今回取り上げたBeat AudioとALO audioのリケーブル製品を取り扱うミックスウェーブでは、「ヘッドフォン祭」や「ポタフェス」「ポタ研」などのイベント会場でリケーブル製品各種の試聴デモを実施している。ぜひ普段使用しているイヤホンで、手軽にリケーブルを試してみてはいかがだろうか。
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