【特別企画】連載第2回:「VGP2015」総合金賞受賞モデルの実力に迫る
最上位“4Kレグザ”「Z10X」の画質を徹底チェック − 様々な映像ソースで検証
東芝から発売された、同社テレビのフラグシップ4Kモデル“4K REGZA(レグザ) Z10X”の魅力に迫る本企画。「VGP2015」総合金賞を受賞するなど評価を集める同製品がさらなる高画質化を果たした技術的裏付けを山之内正氏が徹底解説した前回(関連記事)に引き続き、今回は大橋伸太郎氏がその画質をチェック。4Kネイティブコンテンツ、BDソフト、そして地デジのアップコンバートに至るまで様々なソースでZ10Xの実力に迫った。
■Z10Xは「テレビ技術の深い部分、つまり画質面で地道な変革を成し遂げた製品」
従来機「Z9X」から6ヶ月弱という異例に短いインターバルで登場した「Z10X」。この短いインターバルをもって、たんに“Z9Xに4Kチューナーを搭載しただけの製品”と捉えるとしたらそれは間違いだ。Z10Xはテレビ技術の深い部分、つまり画質面で地道な変革を成し遂げた製品である。本機の技術と機能については連続記事の前回ですでに紹介済みなので、今回はZ10Xの画質を検証し「前進」の歩幅を明らかにしていこう。
テレビの画質は、搭載チューナーの受信性能を別にした場合、精細度、鮮鋭度、コントラスト、色彩表現の4つで構成される。Z10Xは、映像エンジン「レグザエンジンCEVO 4K」のファームウェア、パラメータ、アルゴリズム等多くの改良が加えられ、この4要素全てが躍進を遂げている。その進化のほどをこれから実際の映像を例に挙げてみていこう。
■「入力ソースを問わず透明感があり自然な立体感のある清々しい画質」
Z10Xの映像を見て相変わらず印象づけられるのが圧倒的なS/Nのよさである。Channel 4K(4K試験放送)から2KのBDソフトまで入力ソースを問わず、透明感があり自然な遠近感(立体感)のある、作為を排した清々しい画質だ。
こうした点がレグザのレグザたる所以だが、これは先に挙げた4つの要件のうちの精細感と鮮鋭度から生まれる。こうした特徴はZ9Xで十分に達成されていたが、今回新規に搭載されたインテリジェント質感リアライザー、インテリジェント・ハイダイナミックレンジ復元の効果でさらに前進を遂げている。
そして、画質の第2の要件であるコントラスト、ことに黒再現に関してもZ10Xは進化が見られる。
Z9Xの黒表現は自然だが、暗室環境で視聴した場合、やや物足りなく感じることもあった。これは、黒を過度に引き込んだ作為的(演出的)なコントラスト表現は映像のユニフォーミティ(整合性)を損なうとした東芝技術陣の判断がその理由のひとつ。
また、同社のプレステージ的製品であるセルレグザ「55X1」で採用していた直下型ローカルディミング(エリア駆動)のアルゴリズムが時代の先を行く画期的なものであったため、Z9Xまで引き継いできたということもある。
セルレグザの場合、512分割という細かい部分駆動を行っていたのに対し、Z9Xは分割数を合理化した駆動パターン(エリア数は非公開)を採用している。そのため、明暗コントロールという点でハードウェアと超精密なアルゴリズムとの間で若干の齟齬があったわけである。そこで、今回のZ10Xは映像エンジンのアルゴリズムを一新し、エリア数とアルゴリズムの当初からの一致を図っている。
そしてもうひとつ、エリア駆動の明暗値判断の基準変更も黒の再現性向上につながっている。
これまでレグザのバックライトのエリア駆動は、エリア内の輝度ピーク(RGB最大値)を検出し、それをベースに当該エリアの明暗値を決めた。しかしピークによる検出は、暗い中に光が現れるとバックライトを落とす度合いを抑え明るい方向へシフトし、動き(変動)が検出されると動作が不安定になるという側面もある。
そこでZ10Xでは、検出の尺度をピークからAPL(明るさの平均値)へ変更。APLベースの方が、ピークが入っても全体の変動が少なく安定性が高く、結果的に黒輝度が下げられるのである。
■Z10Xは「テレビ技術の深い部分、つまり画質面で地道な変革を成し遂げた製品」
従来機「Z9X」から6ヶ月弱という異例に短いインターバルで登場した「Z10X」。この短いインターバルをもって、たんに“Z9Xに4Kチューナーを搭載しただけの製品”と捉えるとしたらそれは間違いだ。Z10Xはテレビ技術の深い部分、つまり画質面で地道な変革を成し遂げた製品である。本機の技術と機能については連続記事の前回ですでに紹介済みなので、今回はZ10Xの画質を検証し「前進」の歩幅を明らかにしていこう。
テレビの画質は、搭載チューナーの受信性能を別にした場合、精細度、鮮鋭度、コントラスト、色彩表現の4つで構成される。Z10Xは、映像エンジン「レグザエンジンCEVO 4K」のファームウェア、パラメータ、アルゴリズム等多くの改良が加えられ、この4要素全てが躍進を遂げている。その進化のほどをこれから実際の映像を例に挙げてみていこう。
■「入力ソースを問わず透明感があり自然な立体感のある清々しい画質」
Z10Xの映像を見て相変わらず印象づけられるのが圧倒的なS/Nのよさである。Channel 4K(4K試験放送)から2KのBDソフトまで入力ソースを問わず、透明感があり自然な遠近感(立体感)のある、作為を排した清々しい画質だ。
こうした点がレグザのレグザたる所以だが、これは先に挙げた4つの要件のうちの精細感と鮮鋭度から生まれる。こうした特徴はZ9Xで十分に達成されていたが、今回新規に搭載されたインテリジェント質感リアライザー、インテリジェント・ハイダイナミックレンジ復元の効果でさらに前進を遂げている。
そして、画質の第2の要件であるコントラスト、ことに黒再現に関してもZ10Xは進化が見られる。
Z9Xの黒表現は自然だが、暗室環境で視聴した場合、やや物足りなく感じることもあった。これは、黒を過度に引き込んだ作為的(演出的)なコントラスト表現は映像のユニフォーミティ(整合性)を損なうとした東芝技術陣の判断がその理由のひとつ。
また、同社のプレステージ的製品であるセルレグザ「55X1」で採用していた直下型ローカルディミング(エリア駆動)のアルゴリズムが時代の先を行く画期的なものであったため、Z9Xまで引き継いできたということもある。
セルレグザの場合、512分割という細かい部分駆動を行っていたのに対し、Z9Xは分割数を合理化した駆動パターン(エリア数は非公開)を採用している。そのため、明暗コントロールという点でハードウェアと超精密なアルゴリズムとの間で若干の齟齬があったわけである。そこで、今回のZ10Xは映像エンジンのアルゴリズムを一新し、エリア数とアルゴリズムの当初からの一致を図っている。
そしてもうひとつ、エリア駆動の明暗値判断の基準変更も黒の再現性向上につながっている。
これまでレグザのバックライトのエリア駆動は、エリア内の輝度ピーク(RGB最大値)を検出し、それをベースに当該エリアの明暗値を決めた。しかしピークによる検出は、暗い中に光が現れるとバックライトを落とす度合いを抑え明るい方向へシフトし、動き(変動)が検出されると動作が不安定になるという側面もある。
そこでZ10Xでは、検出の尺度をピークからAPL(明るさの平均値)へ変更。APLベースの方が、ピークが入っても全体の変動が少なく安定性が高く、結果的に黒輝度が下げられるのである。