強烈なラインナップが登場
新星イヤホンブランド「Aurisonics」日本上陸! 3モデルを高橋敦が一斉試聴
■ROCKETS − 小口径ダイナミック型らしいキレのある音
最後になったが、「個性」という面ではこれがいちばん突出している。予想実売価格27,500円前後だが、最下位機種ではなく全くの別物だ。
自称ロケット、筆者にはクラゲに見えるのは、「Tri-tab」と呼ばれるスカート状のパーツ。装着感を高めるこれがその印象を決定づけているが…そのスカートの中に隠されている部分やその他も個性だらけ。
筐体はチタン削り出し。チタンは強度の割に軽量、ギターのハイエンドパーツに採用されるほどの音響特性も備え、質感もよく錆びない。金属アレルギーも起こしにくい。だが加工性が低く、採用には手間とコストがかかる。しかし本機はそれをあえて採用してきた。個人的にチタンが大好物なので実に嬉しい。
そこに収められるドライバーは5.1mmのダイナミック型だ。中低域の充実は大口径に及ばないが、本機のコンセプトからすれば小口径にせざるを得ない。また小口径ダイナミック型は、BA型とは違うダイナミック型らしいキレっぷりという強みも備える。
本機のさらなる売りは耐久性。ケブラー製ケーブルは両手で力一杯引っ張っても問題なしとロット氏が豪語し実演したほど。コネクター部分の断線対策も万全。本機のみは超小型のためかリケーブル非対応だが、「壊れなきゃ問題ねーだろ?」ということだろう。その心意気やよし。さらにIP65相当というちょっとした防水性能まで備える。ラフに扱える安心感は普段使いにも嬉しい。
なおイヤーピースは他モデルと同じく「SureSeal」で、超小型筐体+Tri-tab+SureSealによる装着感も高く評価できる。
そして音は「小口径ダイナミック型らしいキレっぷり」の期待に応えてくれる音だ。特にスネアドラムやシンバルの「ザッ」と金属の濁点が付く質感の生々しさは実によい。それでいてギターのクリーントーンや女性ボーカルでは透明感も表現。太鼓のスパッとしたアタックとキレ、シンバル等のシャキンとした鋭さも気持ちよい。強いて弱点を言えば感度は低め。プレイヤーの音量を少し上げ目にする必要はある。
ベースやドラムスの低域の響きは、ASG2.5を聴いた後だと当初は物足りない。しかし代わりに例えばベースの音色の芯や音程感はより明確。アンサンブルとしてのバランスはよい。それにASG2.5と比べたりしなければそれほど不足してるわけでもない。ASG2.5にすぐに慣れたように、こちらにも僕はすぐに適応できた。
個性的な基本を同じくしつつ、さらにそれぞれで個性を分けたASGシリーズのASG2.5-REDとASG1PLUS-BLACK。さらに個性的なROCKETS。いきなり強烈なラインナップだ。ワイヤレスモデルも開発中とのことだし、カスタムの日本での扱いも気になる。個人的にも注視しておきたい新ブランドの登場だ。
(高橋敦)