様々な記録から予測
ビートルズのハイレゾ配信はいつ実現する? 元洋楽ディレクターが徹底分析
■デジタル版においても「英国オリジナル盤」が世界基準
1987年にザ・ビートルズのアルバムがCD化されてからは、キャピトル仕様の『マジカル・ミステリー・ツアー』を例外として、「英国オリジナル盤」がオフィシャル曲収録盤の世界基準となった。それまでは、日本に限らず各国独自の編集盤が多数出回っており、アルバムのタイトルやジャケット、選曲も、その国ごとの戦略に沿って担当ディレクターが編集するのが一般的だった。
2014年、米国と日本がビートルズ・デビュー50周年を迎え、米国では『The U.S. Albums』、日本は『MEET THE BEATLES(JAPAN BOX)』リリースの特別許可が出たが、ガイドラインにそって音源はあくまでも「2009年リマスター」が用いられた。概要を紹介しておく。
・『ザ・ビートルズ THE U.S. BOX』 2014年1月21日発売(13CD/Box set)
1987年に英国発売のオリジナル盤のみがCD化され、米国盤の13タイトルは廃盤になった。2004年にその一部がCD化されたが、続きが出ないままとなっていた。今回、キャピトルの強い意向で、米国上陸50周年記念として米国版全タイトルを復刻。うち5タイトルが初CD化となった。ただし、マスターは全曲2009年リマスターが使われ、かつてのフェイク・ステレオ(疑似ステ)はモノに戻された。
・『ミート・ザ・ビートルズ(JAPAN BOX)』 2014年6月25日発売(5CD/Box set)
1964年から1965年の間に発売された、日本独自のザ・ビートルズのアルバム5枚の初CD化。音源はいずれも2009年のリマスターを使用した。
■EMIがユニバーサルミュージックに売却される
EMIがユニバーサルに売却されたため、ビートルズの契約はユニバーサル・ミュージックに引き継がれている。EMIにかわりビートルズの原盤権を持つのは、2012年11月に設立された、ユニバーサル傘下のカルダーストーン・プロダクション(Calderstone Productions Ltd.)。資本金1ポンドの非公開有限会社で、ビートルズのマーケティングが定款にある。ちなみに、カルダーストーンという名称はリバプール市内の公園の名前から取られた。
そしてアップル・コアCEOのジェフ・ジョーンズが、ビートルズに関連する業務全体をコントロールしている。膨大なビートルズのアンソロジーアルバムの制作責任者であり、ユニバーサル傘下のアビーロード・スタジオと共に作業を進めている。アップル・コアがコントロールするのはビートルズの全カタログと1970年〜1978年のジョン・レノン、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スターのソロの作品。ポール・マッカートニーは、自身が設立したMPL(McCartney Productions Limited)で作品を管理している。
なお2014年、アップル・コアが中心となって進めたのは、下記のビートルズのアナログLPの復刻である。海外盤についてはオリジナルのカッティング・マスターを引っ張り出してきた点が興味深い。
・『ザ・ビートルズ MONO LP BOX』 2014年9月10日発売(14LP/Box set)
2009年発売のCD盤『The Beatles In Mono』はガイドライン通り「2009年リマスター」から作られたのに対し、この新たなアナログ盤プロジェクトでは、50年近く前のオリジナルのカッティング・マスター(4分の1インチのマスター・テープ[38cm/sec])を直接使い、アビイ・ロード・スタジオでカッティングを行った。その音質は1960年代に製造されたモノ・レコードの初回プレスと厳重に比較された。貴重なマスター・テープの再生には、徹底的にテストされたスチューダー「A80」を用い、1980年代のノイマン「VMS80」カッティングレースで作業した。LP盤のプレスはドイツのオプティマル・メディアが担当し、全世界に向けて製造された。
・『ザ・ビートルズ 赤盤LP・青盤LP』 2014年12月3日発売
ビートルズのベストセラー年代別2枚組ベスト・アルバム、『ザ・ビートルズ 1962〜1966(赤盤)』『ザ・ビートルズ 1967〜1970(青盤)』も復刻された。担当はアビー・ロードのショーン・マギー。赤盤LP、青盤LPともオリジナルのカッティング・マスター(4分の1インチのマスター・テープ[38cm/sec])を使用。ただし、擬似ステレオだった曲はモノに差し替えられた。また、当時のカッティング・エンジニア、ハリー・モスが残したメモを参考に作業を行った。なお、国内生産される日本盤はデジタルの「2009年リマスター」が使われた。
1987年にザ・ビートルズのアルバムがCD化されてからは、キャピトル仕様の『マジカル・ミステリー・ツアー』を例外として、「英国オリジナル盤」がオフィシャル曲収録盤の世界基準となった。それまでは、日本に限らず各国独自の編集盤が多数出回っており、アルバムのタイトルやジャケット、選曲も、その国ごとの戦略に沿って担当ディレクターが編集するのが一般的だった。
2014年、米国と日本がビートルズ・デビュー50周年を迎え、米国では『The U.S. Albums』、日本は『MEET THE BEATLES(JAPAN BOX)』リリースの特別許可が出たが、ガイドラインにそって音源はあくまでも「2009年リマスター」が用いられた。概要を紹介しておく。
・『ザ・ビートルズ THE U.S. BOX』 2014年1月21日発売(13CD/Box set)
1987年に英国発売のオリジナル盤のみがCD化され、米国盤の13タイトルは廃盤になった。2004年にその一部がCD化されたが、続きが出ないままとなっていた。今回、キャピトルの強い意向で、米国上陸50周年記念として米国版全タイトルを復刻。うち5タイトルが初CD化となった。ただし、マスターは全曲2009年リマスターが使われ、かつてのフェイク・ステレオ(疑似ステ)はモノに戻された。
・『ミート・ザ・ビートルズ(JAPAN BOX)』 2014年6月25日発売(5CD/Box set)
1964年から1965年の間に発売された、日本独自のザ・ビートルズのアルバム5枚の初CD化。音源はいずれも2009年のリマスターを使用した。
■EMIがユニバーサルミュージックに売却される
EMIがユニバーサルに売却されたため、ビートルズの契約はユニバーサル・ミュージックに引き継がれている。EMIにかわりビートルズの原盤権を持つのは、2012年11月に設立された、ユニバーサル傘下のカルダーストーン・プロダクション(Calderstone Productions Ltd.)。資本金1ポンドの非公開有限会社で、ビートルズのマーケティングが定款にある。ちなみに、カルダーストーンという名称はリバプール市内の公園の名前から取られた。
そしてアップル・コアCEOのジェフ・ジョーンズが、ビートルズに関連する業務全体をコントロールしている。膨大なビートルズのアンソロジーアルバムの制作責任者であり、ユニバーサル傘下のアビーロード・スタジオと共に作業を進めている。アップル・コアがコントロールするのはビートルズの全カタログと1970年〜1978年のジョン・レノン、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スターのソロの作品。ポール・マッカートニーは、自身が設立したMPL(McCartney Productions Limited)で作品を管理している。
なお2014年、アップル・コアが中心となって進めたのは、下記のビートルズのアナログLPの復刻である。海外盤についてはオリジナルのカッティング・マスターを引っ張り出してきた点が興味深い。
・『ザ・ビートルズ MONO LP BOX』 2014年9月10日発売(14LP/Box set)
2009年発売のCD盤『The Beatles In Mono』はガイドライン通り「2009年リマスター」から作られたのに対し、この新たなアナログ盤プロジェクトでは、50年近く前のオリジナルのカッティング・マスター(4分の1インチのマスター・テープ[38cm/sec])を直接使い、アビイ・ロード・スタジオでカッティングを行った。その音質は1960年代に製造されたモノ・レコードの初回プレスと厳重に比較された。貴重なマスター・テープの再生には、徹底的にテストされたスチューダー「A80」を用い、1980年代のノイマン「VMS80」カッティングレースで作業した。LP盤のプレスはドイツのオプティマル・メディアが担当し、全世界に向けて製造された。
・『ザ・ビートルズ 赤盤LP・青盤LP』 2014年12月3日発売
ビートルズのベストセラー年代別2枚組ベスト・アルバム、『ザ・ビートルズ 1962〜1966(赤盤)』『ザ・ビートルズ 1967〜1970(青盤)』も復刻された。担当はアビー・ロードのショーン・マギー。赤盤LP、青盤LPともオリジナルのカッティング・マスター(4分の1インチのマスター・テープ[38cm/sec])を使用。ただし、擬似ステレオだった曲はモノに差し替えられた。また、当時のカッティング・エンジニア、ハリー・モスが残したメモを参考に作業を行った。なお、国内生産される日本盤はデジタルの「2009年リマスター」が使われた。