数々の高音質化ポイントとその効果を岩井喬が解説
今や希少な本格派ミニコンポ − JVCの“ウッドコーン”新入門機「EX-S5」音質レビュー
今やミニコンスタイルの本格派モデルは希少となりつつあるが、そのなかで“ウッドコーンスピーカー”というプレミアムなデバイスを軸に商品展開を続けるJVC。同社は価格レンジの上下ともにウッドコーンスピーカー採用システムのラインナップを揃えており、音質にこだわりたい音楽ファンや、オーディオエントリー層にとってなくてはならない存在となっている。
そうしたエントリー層に向け、プレミアムクラスで技術や音質を磨いてきたウッドコーンスピーカーを用いたコストパフォーマンスの高いシステムが2013年に登場した「EX-S3」であった。より現在のインテリア環境にフィットしやすいスタイリッシュなデザインを用いた“フラット&ロースタイル”を取り入れ、ウッドコーンの魅力をより多くのユーザーへ広めることができたのである。
それから2年、スマートフォンの普及とともに人気が高まってきたワイヤレスオーディオへのニーズも高まり、「EX-S3」は「EX-S5」へとモデルチェンジを果たした(関連ニュース)。
これまでに登場したウッドコーンスピーカーシステムとしてははじめてBluetooth接続機能を搭載。ワンタッチで接続設定が完了するNFCにも対応しており、EX-S3と同じくCDプレーヤー機能やAM/FMチューナーも搭載。
変更点の一つは従来モデルでレシーバー部の上面に設けられていたiOSデバイス用ドッグを廃し、前面パネルに設けられたUSB-A端子を使ったデジタル接続へと仕様を変えたことである。狭い棚のスペースにもセットできる“フラット&ロースタイル”を生かすため、天板部をシンプルにまとめたという。USBメモリーからの直接再生も可能だが、iOSデバイスのデジタル接続も同様、MP3/WMAファイルのみの対応でハイレゾファイルは再生できない。
このEX-S5において、音質面に大きく寄与する部分での変更として挙げられるのがスピーカーキャビネット構造の強化である。8.5cmウッドコーンスピーカーは従来と同一だが、12mm厚MDFを用いたキャビネットは剛性を高めるため四方留め構造を採用。サウンドの引き締めに効果を発揮している。
またバスレフダクトの口径もより太く、長めのものへと交換され(Φ25mm→Φ27mm・断面積17%アップ)、低域の放射特性を改善してより豊かなローエンドの響きを獲得。ユニットからターミナル間の内部配線材は18番OFC線を採用し、被覆の硬度や方向性も指定することで濁りのない伸びやかな音を実現したという。
さらに補強板位置の変更や補強桟を追加するなどしてキャビネット剛性をより高めたほか、スピーカーユニット背面にウッドブロックを取り付け(その位置も1mm単位で最適な場所を調整)、ダクトからの余分な高域反射を抑えるとともに、余分な振動を低減して低重心な低域再生の助けとしている。
レシーバー部はアンプを含め、入力から出力までフルデジタル構成を採用。電源回路の電解コンデンサなどに個別の振動対策を施すなどして質感とS/Nを向上させ、空間表現性も高めているという。
またトップカバーとサイドパネル部に徹底した振動対策を実施。ボトムや内部シャーシ部、リアパネル部における取り付けネジの一部を銅メッキ化し、場所によってアルミワッシャや銅ワッシャを挟み込むなどして異種金属の組み合わせによる共振の分散を図った。これらの取り組みによって高域方向への音ヌケや音場の透明感、アタックや音離れの良いサウンドを得ることができたそうだ。
発表会のおり、EX-S3との比較を聴かせていただいたが(CD演奏)、オーケストラの空間性がより自然に感じられ、高域方向の音ヌケの良さ、余韻の階調性の細やかさに改善がみられた。
ボーカルものにおいても定位感が高まり、エネルギーが集中する中域の質感もナチュラルで伸び伸びとした発音となっている。キャビネット構造の強化による音像の引き締め効果の高さが際立っており、サウンドの生々しさにも大きな変化があった。
ピアノの楽曲ではアタックの粒立ちをきめ細やかにまとめ、適度な硬さと透明感を持ったバランス良い音色を聴かせてくれる。余韻もすっきりとして音場は透き通っており、リヴァーブの分解能も高い。ボーカルものにおいても声の佇まいが自然で落ち着きと潤いのある質感を得られている。
Bluetoothのサウンド(SBCコーデック)も確認させてもらったが、やや質感が荒く感じられるものの、CD再生の品位と大きく変わらず、ボーカルのキレの良さ、透明感、細部の再現性においても驚くほどクオリティが高いものであった。
ウッドコーンシステムの鳴らし込みテクニックも熟成の域に到達しているのか、EX-S5はエントリークラス機の枠を超えた開放感ある鳴りっぷりとバランスの良さ、音像の実在感を味わえる高音質モデルとして仕上がっているようだ。
そうしたエントリー層に向け、プレミアムクラスで技術や音質を磨いてきたウッドコーンスピーカーを用いたコストパフォーマンスの高いシステムが2013年に登場した「EX-S3」であった。より現在のインテリア環境にフィットしやすいスタイリッシュなデザインを用いた“フラット&ロースタイル”を取り入れ、ウッドコーンの魅力をより多くのユーザーへ広めることができたのである。
それから2年、スマートフォンの普及とともに人気が高まってきたワイヤレスオーディオへのニーズも高まり、「EX-S3」は「EX-S5」へとモデルチェンジを果たした(関連ニュース)。
これまでに登場したウッドコーンスピーカーシステムとしてははじめてBluetooth接続機能を搭載。ワンタッチで接続設定が完了するNFCにも対応しており、EX-S3と同じくCDプレーヤー機能やAM/FMチューナーも搭載。
変更点の一つは従来モデルでレシーバー部の上面に設けられていたiOSデバイス用ドッグを廃し、前面パネルに設けられたUSB-A端子を使ったデジタル接続へと仕様を変えたことである。狭い棚のスペースにもセットできる“フラット&ロースタイル”を生かすため、天板部をシンプルにまとめたという。USBメモリーからの直接再生も可能だが、iOSデバイスのデジタル接続も同様、MP3/WMAファイルのみの対応でハイレゾファイルは再生できない。
このEX-S5において、音質面に大きく寄与する部分での変更として挙げられるのがスピーカーキャビネット構造の強化である。8.5cmウッドコーンスピーカーは従来と同一だが、12mm厚MDFを用いたキャビネットは剛性を高めるため四方留め構造を採用。サウンドの引き締めに効果を発揮している。
またバスレフダクトの口径もより太く、長めのものへと交換され(Φ25mm→Φ27mm・断面積17%アップ)、低域の放射特性を改善してより豊かなローエンドの響きを獲得。ユニットからターミナル間の内部配線材は18番OFC線を採用し、被覆の硬度や方向性も指定することで濁りのない伸びやかな音を実現したという。
さらに補強板位置の変更や補強桟を追加するなどしてキャビネット剛性をより高めたほか、スピーカーユニット背面にウッドブロックを取り付け(その位置も1mm単位で最適な場所を調整)、ダクトからの余分な高域反射を抑えるとともに、余分な振動を低減して低重心な低域再生の助けとしている。
レシーバー部はアンプを含め、入力から出力までフルデジタル構成を採用。電源回路の電解コンデンサなどに個別の振動対策を施すなどして質感とS/Nを向上させ、空間表現性も高めているという。
またトップカバーとサイドパネル部に徹底した振動対策を実施。ボトムや内部シャーシ部、リアパネル部における取り付けネジの一部を銅メッキ化し、場所によってアルミワッシャや銅ワッシャを挟み込むなどして異種金属の組み合わせによる共振の分散を図った。これらの取り組みによって高域方向への音ヌケや音場の透明感、アタックや音離れの良いサウンドを得ることができたそうだ。
発表会のおり、EX-S3との比較を聴かせていただいたが(CD演奏)、オーケストラの空間性がより自然に感じられ、高域方向の音ヌケの良さ、余韻の階調性の細やかさに改善がみられた。
ボーカルものにおいても定位感が高まり、エネルギーが集中する中域の質感もナチュラルで伸び伸びとした発音となっている。キャビネット構造の強化による音像の引き締め効果の高さが際立っており、サウンドの生々しさにも大きな変化があった。
ピアノの楽曲ではアタックの粒立ちをきめ細やかにまとめ、適度な硬さと透明感を持ったバランス良い音色を聴かせてくれる。余韻もすっきりとして音場は透き通っており、リヴァーブの分解能も高い。ボーカルものにおいても声の佇まいが自然で落ち着きと潤いのある質感を得られている。
Bluetoothのサウンド(SBCコーデック)も確認させてもらったが、やや質感が荒く感じられるものの、CD再生の品位と大きく変わらず、ボーカルのキレの良さ、透明感、細部の再現性においても驚くほどクオリティが高いものであった。
ウッドコーンシステムの鳴らし込みテクニックも熟成の域に到達しているのか、EX-S5はエントリークラス機の枠を超えた開放感ある鳴りっぷりとバランスの良さ、音像の実在感を味わえる高音質モデルとして仕上がっているようだ。