スピーカー内部に人工熟成処理木材の響棒を採用
JVC、ウッドコーンシリーズの最上位“プレミアム”モデル「EX-HR11」
JVCケンウッドは、JVCブランドより、ウッドコーンスピーカー搭載のコンパクトオーディオシステムのプレミアムモデル「EX-HR11」を直販サイト限定で9月17日より発売する。直販サイト価格は138,000円(税抜)。
EX-HR11はCD再生に加え、iPhoneやiPodの音源、USBメモリーの再生に対応したウッドコーンシステムのプレミアムモデルで、フルレンジスピーカー採用機のトップエンドに位置づけられる。今年6月に登場した「EX-HR9」(関連ニュース)で用いられた技術をベースとしつつ、さらなるブラッシュアップを行い、新技術も採用している。
アンプ部の実用最大出力は50W+50W。音声入力はアナログ×2、光デジタル×1、同軸デジタル×1を搭載。サブウーファー出力、3.5mmステレオミニ端子のヘッドホン出力、1系統のアナログ出力、FMチューナーも備える。ハイレゾ音源の再生には非対応だが、同軸/光デジタル入力は192kHz/24bitに対応する。以下にその詳細を説明していく。
■90mm径のフルレンジ・ウッドコーンスピーカーを搭載
本日28日、「EX-HR11」の製品発表会がJVCケンウッド本社で開催された。製品の主に技術面について、同社の今村智氏がその説明を行った。
スピーカー部については従来モデル「EX-HR9」をベースとしながら、様々な改良が施された。本機は90mmのフルレンジ・ウッドコーンスピーカーを搭載。音の伝播速度を向上させるチェリー材の薄板シートをウッドコーンの最適箇所に配置した、異方性振動板を採用する。これにより、広い空間再現と高解像度を備えるサウンドを実現するという。ユニットのエッジ材も改良され、ブチルゴムエッジの素材配合比率を変更した。マグネットについてはユニット口径に近いサイズの大型メインマグネットをすることで、躍動感ある低域再現を可能にした。
また、振動板の振幅方向追随性を向上させるために、内側から外側に向かって山谷の高さを大きくした不均一コルゲーションダンパーを採用。センターキャップの内側に発生する音を処理するために、ポールピース上部へのペイプル吸音材の装着も行われた。さらに磁気回路の歪を徹底的に抑えるために、アルミショートリングや銅キャップを採用。メイプル材をポールピース上部に装着することで、音の濁りも抑えている。
スピーカーユニットのセンターキャップの形状も、EX-HR9にならって変更。凸量を増やすことで、聴感上で広がりある抜けの良い高域再生を実現した。また、これまでクラフト紙を用いれたボビン素材を、木を薄さ80μmに削りだしたウッドシート(カバ)に変更。従来に比べて圧縮強度が高まったことで、より透明感のあるサウンドが再現可能になった。こちらもEX-HR9で先行して採用されていた技術だ。
■技術の蓄積に新規技術の採用で従来モデルからのさらなる進化を実現
エンクロージャーを含むスピーカー内部にも注目したい。フロントバッフルの裏面上部には、人工熟成処理を施した熟成スプルース響棒を設置。透明感ある響きと上方向への音楽空間の広がりを狙った。熟成処理を行った理由については、長年使い込まれた楽器の響きが美しい点、さらには木材は伐採後時間を経ると強度が増すことに着目したとのこと。人工熟成処理の設定については、設定条件を変えながら聴感上で確認を行い、最適化を行ったという。
ユニット磁気回路の後部には、新たにレッドオークを採用し形状も見直した大型ウッドブロックを搭載。取り付け位置を1mm単位で調整することで、ダクトからの不要な高域成分を制御し、スピーカーサイズを超える重心の低い低域再生を実現したという。このウッドブロックの形状については、数多くの素材、形状で試作を繰り返して、現在の形状およびレッドオーク材の採用にたどり着いた。
ボイスコイル錦糸線には4N-OFC(無酸素銅)を採用。本体背面にあるコアキシャル入力端子の固定部には、異種金属のアルミワッシャーを新たに追加し、振動を抑制した。スピーカーターミナル部には、接触抵抗を極力小さくしたダブルナット構造を採用している。
スピーカーキャビネットには、チェリー無垢材を採用。さらにスケール感ある重心の低い低音を再生するために、複雑な形状の竹響板を底面に追加。この点は、EX-AR9、EX-HR9から踏襲している。また、吸音材にはメイプル木製チップを採用しているが、個体ごとの音の響きを確認しながら、その量を0.1g刻みで個別に最適化しているのだという。
■アンプ部には“NEW”DEUSを搭載。K2テクノロジーも採用
アンプには、ハイレゾ対応モデルでも採用した高精度な信号増幅を可能にするデジタルアンプ「“NEW” DEUS」を搭載。デジタルとアナログのフィードバックを組み合わせたハイブリッドフィードバックにより、電源変動による影響を抑制し、S/Nや歪み率、高域の再生特性を改善している。
JVC独自のデジタル高音質化技術「“NEW” K2テクノロジー」も採用。音源のフォーマットに応じて自動的に最適なビット拡張、帯域拡張、および波形補正の処理を行う。これにより、CDに加え、USBメモリーやiPodから再生した圧縮音源についても、スタジオマスタークオリティに近づけて再生できるという。
フロントパネルやケース、シャーシに使用するパーツには、余分な振動を抑制する銅メッキネジや数々の異種素材ワッシャーを採用。トップカバーやリアパネル、フロントアルミパネルやボトムシャーシなどには特に銅メッキネジを用いているまた。ワッシャーについては、モールドフロントパネルシャーシの左側に真鍮ニッケルメッキワッシャー、右側に銅メッキワッシャーを用いるなど、異種金属による振動対策を行っている。
またプリント基板や部品に、振動吸収材を個別に部分装着することで、さらなる振動対策を徹底。音色感や解像感の向上が実現したという。
レシーバー部底面には厚さ9mmのMDF製「アークベース」を採用。さらに本体を3点で支える真鍮無垢削り出しのインシュレーターを配置している。インシュレーターは前後でそれぞれで異種金属のワッシャーを用い、滑り止めリングも3箇所で大きさを変えるなどを行い、制振対策を徹底している。筐体の側面にはサイドウッドを採用する。
■iPhoneやUSBメモリーの再生にも対応
本機は前面にUSB端子を備え、iPhone/iPod、USBメモリーの再生が可能。USBメモリー再生については、MP3,WMA、AACと圧縮フォーマットのみに対応する。同軸/光のデジタル入力も搭載するが、こちらは192kHz/24bitの入力が可能で、ハイレゾ対応のプレーヤーやD/Dコンバーターを接続可能だ。他にも、40局をプリセット可能なFM/AMチューナーを搭載している。
ウッドコーン・シリーズならではの特徴として、本機も「ビクタースタジオ」のエンジニアと共にサウンドチューニングを実施。原音探求の理念のもと、スタジオにおけるマスタークオリティーを忠実再現することを目指した。
レシーバー部の外形寸法/質量は、280W×161H×289Dmm/4.2kg。スピーカー部の外形寸法/質量は120W×161H×264Dmm/2.2kg。
■ハイレゾコンテンツの感動をCDでも味わってほしい
発表会の冒頭では、JVCケンウッドの営業企画グループ長である安富 稔氏がEX-HR11の企画意図について説明してくれた。
これまでのウッドコーンシリーズのフルレンジモデルの最上級機は「EX-AR9」(関連ニュース)であったが、EX-HR11ではこのモデルをはるかに凌駕するものをつくることを技術陣が目指した。また、ハイレゾ音源が一般化する中で、ハイレゾの感動を44.1kHz/16bitというCDの情報量でも味わってほしいという企画意図があったという。
また、EX-HR11は直販限定商品である点については、プロパー商品で培った技術やビクタースタジオとの音質チューニングにより、より高い付加価値を持つ製品を目指したモデルが直販限定製品であると説明。同社ショールームで定期的に試聴イベントを行うことなどで、確実にファンを増やしてきたと自信を見せていた。
また、セットステレオ市場において全体の出荷金額は減少傾向にあるなかで、ウッドコーンシリーズの販売・シェアは増加していることを強調。2013年度には過去最高の販売・シェアを記録したとのことだ。
EX-HR11はCD再生に加え、iPhoneやiPodの音源、USBメモリーの再生に対応したウッドコーンシステムのプレミアムモデルで、フルレンジスピーカー採用機のトップエンドに位置づけられる。今年6月に登場した「EX-HR9」(関連ニュース)で用いられた技術をベースとしつつ、さらなるブラッシュアップを行い、新技術も採用している。
アンプ部の実用最大出力は50W+50W。音声入力はアナログ×2、光デジタル×1、同軸デジタル×1を搭載。サブウーファー出力、3.5mmステレオミニ端子のヘッドホン出力、1系統のアナログ出力、FMチューナーも備える。ハイレゾ音源の再生には非対応だが、同軸/光デジタル入力は192kHz/24bitに対応する。以下にその詳細を説明していく。
■90mm径のフルレンジ・ウッドコーンスピーカーを搭載
本日28日、「EX-HR11」の製品発表会がJVCケンウッド本社で開催された。製品の主に技術面について、同社の今村智氏がその説明を行った。
スピーカー部については従来モデル「EX-HR9」をベースとしながら、様々な改良が施された。本機は90mmのフルレンジ・ウッドコーンスピーカーを搭載。音の伝播速度を向上させるチェリー材の薄板シートをウッドコーンの最適箇所に配置した、異方性振動板を採用する。これにより、広い空間再現と高解像度を備えるサウンドを実現するという。ユニットのエッジ材も改良され、ブチルゴムエッジの素材配合比率を変更した。マグネットについてはユニット口径に近いサイズの大型メインマグネットをすることで、躍動感ある低域再現を可能にした。
また、振動板の振幅方向追随性を向上させるために、内側から外側に向かって山谷の高さを大きくした不均一コルゲーションダンパーを採用。センターキャップの内側に発生する音を処理するために、ポールピース上部へのペイプル吸音材の装着も行われた。さらに磁気回路の歪を徹底的に抑えるために、アルミショートリングや銅キャップを採用。メイプル材をポールピース上部に装着することで、音の濁りも抑えている。
スピーカーユニットのセンターキャップの形状も、EX-HR9にならって変更。凸量を増やすことで、聴感上で広がりある抜けの良い高域再生を実現した。また、これまでクラフト紙を用いれたボビン素材を、木を薄さ80μmに削りだしたウッドシート(カバ)に変更。従来に比べて圧縮強度が高まったことで、より透明感のあるサウンドが再現可能になった。こちらもEX-HR9で先行して採用されていた技術だ。
■技術の蓄積に新規技術の採用で従来モデルからのさらなる進化を実現
エンクロージャーを含むスピーカー内部にも注目したい。フロントバッフルの裏面上部には、人工熟成処理を施した熟成スプルース響棒を設置。透明感ある響きと上方向への音楽空間の広がりを狙った。熟成処理を行った理由については、長年使い込まれた楽器の響きが美しい点、さらには木材は伐採後時間を経ると強度が増すことに着目したとのこと。人工熟成処理の設定については、設定条件を変えながら聴感上で確認を行い、最適化を行ったという。
ユニット磁気回路の後部には、新たにレッドオークを採用し形状も見直した大型ウッドブロックを搭載。取り付け位置を1mm単位で調整することで、ダクトからの不要な高域成分を制御し、スピーカーサイズを超える重心の低い低域再生を実現したという。このウッドブロックの形状については、数多くの素材、形状で試作を繰り返して、現在の形状およびレッドオーク材の採用にたどり着いた。
ボイスコイル錦糸線には4N-OFC(無酸素銅)を採用。本体背面にあるコアキシャル入力端子の固定部には、異種金属のアルミワッシャーを新たに追加し、振動を抑制した。スピーカーターミナル部には、接触抵抗を極力小さくしたダブルナット構造を採用している。
スピーカーキャビネットには、チェリー無垢材を採用。さらにスケール感ある重心の低い低音を再生するために、複雑な形状の竹響板を底面に追加。この点は、EX-AR9、EX-HR9から踏襲している。また、吸音材にはメイプル木製チップを採用しているが、個体ごとの音の響きを確認しながら、その量を0.1g刻みで個別に最適化しているのだという。
■アンプ部には“NEW”DEUSを搭載。K2テクノロジーも採用
アンプには、ハイレゾ対応モデルでも採用した高精度な信号増幅を可能にするデジタルアンプ「“NEW” DEUS」を搭載。デジタルとアナログのフィードバックを組み合わせたハイブリッドフィードバックにより、電源変動による影響を抑制し、S/Nや歪み率、高域の再生特性を改善している。
JVC独自のデジタル高音質化技術「“NEW” K2テクノロジー」も採用。音源のフォーマットに応じて自動的に最適なビット拡張、帯域拡張、および波形補正の処理を行う。これにより、CDに加え、USBメモリーやiPodから再生した圧縮音源についても、スタジオマスタークオリティに近づけて再生できるという。
フロントパネルやケース、シャーシに使用するパーツには、余分な振動を抑制する銅メッキネジや数々の異種素材ワッシャーを採用。トップカバーやリアパネル、フロントアルミパネルやボトムシャーシなどには特に銅メッキネジを用いているまた。ワッシャーについては、モールドフロントパネルシャーシの左側に真鍮ニッケルメッキワッシャー、右側に銅メッキワッシャーを用いるなど、異種金属による振動対策を行っている。
またプリント基板や部品に、振動吸収材を個別に部分装着することで、さらなる振動対策を徹底。音色感や解像感の向上が実現したという。
レシーバー部底面には厚さ9mmのMDF製「アークベース」を採用。さらに本体を3点で支える真鍮無垢削り出しのインシュレーターを配置している。インシュレーターは前後でそれぞれで異種金属のワッシャーを用い、滑り止めリングも3箇所で大きさを変えるなどを行い、制振対策を徹底している。筐体の側面にはサイドウッドを採用する。
■iPhoneやUSBメモリーの再生にも対応
本機は前面にUSB端子を備え、iPhone/iPod、USBメモリーの再生が可能。USBメモリー再生については、MP3,WMA、AACと圧縮フォーマットのみに対応する。同軸/光のデジタル入力も搭載するが、こちらは192kHz/24bitの入力が可能で、ハイレゾ対応のプレーヤーやD/Dコンバーターを接続可能だ。他にも、40局をプリセット可能なFM/AMチューナーを搭載している。
ウッドコーン・シリーズならではの特徴として、本機も「ビクタースタジオ」のエンジニアと共にサウンドチューニングを実施。原音探求の理念のもと、スタジオにおけるマスタークオリティーを忠実再現することを目指した。
レシーバー部の外形寸法/質量は、280W×161H×289Dmm/4.2kg。スピーカー部の外形寸法/質量は120W×161H×264Dmm/2.2kg。
■ハイレゾコンテンツの感動をCDでも味わってほしい
発表会の冒頭では、JVCケンウッドの営業企画グループ長である安富 稔氏がEX-HR11の企画意図について説明してくれた。
これまでのウッドコーンシリーズのフルレンジモデルの最上級機は「EX-AR9」(関連ニュース)であったが、EX-HR11ではこのモデルをはるかに凌駕するものをつくることを技術陣が目指した。また、ハイレゾ音源が一般化する中で、ハイレゾの感動を44.1kHz/16bitというCDの情報量でも味わってほしいという企画意図があったという。
また、EX-HR11は直販限定商品である点については、プロパー商品で培った技術やビクタースタジオとの音質チューニングにより、より高い付加価値を持つ製品を目指したモデルが直販限定製品であると説明。同社ショールームで定期的に試聴イベントを行うことなどで、確実にファンを増やしてきたと自信を見せていた。
また、セットステレオ市場において全体の出荷金額は減少傾向にあるなかで、ウッドコーンシリーズの販売・シェアは増加していることを強調。2013年度には過去最高の販売・シェアを記録したとのことだ。
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