Apple WatchはApple Watch
Apple Watch レビュー|腕時計でもウェアラブル端末でもなく
■Apple Watchの「音楽端末」としての価値は?
結論からいうと、Apple Watchの「音楽端末」としての価値はかなり高い。先行するAndroid Wearベースの端末と比較すると、新味に乏しく映るかもしれないが、Apple WatchにはiTunesとiTunes Storeが背後にある。その点を踏まえれば、見え方が変わってくるはずだ。
標準装備のアプリ『ミュージック』は、iPhoneに貯えたサウンドライブラリを再生できるだけでなく、最大2GBの楽曲データをApple Watch側に持つことができる。Bluetooth/A2DPの送り出し側としての機能を持つため、Bluetooth対応ヘッドホンまたはBluetoothスピーカーを用意すれば、自律的に動作するデジタルオーディオプレイヤーとなるのだ。
実際にBluetoothスピーカー「Klipsch GiG」で試したところ、iPhoneと大きく変わらない手順で音楽を再生できた。利用されるコーデックがSBCかAACかは確認できなかったが、iPhoneと聴き比べても遜色はない。2GBといえばアルバム数枚を収めるにはじゅうぶん、初期のiPod nanoやiPod shuffleを上回る容量だ。
リモコンアプリ『Remote』も収録されている。パソコン側でiTunesを起動しておけば(iTunesライブラリを公開する設定も必要)、Apple Watch側から再生/停止を指示できる。出力先とするスピーカーも指定できるので、機能的にはiOS版『Remote』と大差ない。
ただし、Watchアプリ版『Remote』はiPhoneが必須。iTunesライブラリ(パソコン)にはApple Watchから直接アクセスできず、iPhoneのWi-Fiをオフにしていると動作しない。前述したWatchKit Extensionではなくネイティブアプリらしく、iPhone側に『Remote』アプリがなくても動作するが、『カレンダー』や『マップ』などハンドオフ(OS X Yosemiteからサポートされたアプリ間連携機能)がOS Xと直接やり取りできることからすると不思議な仕様だ。