【特別企画】スリムな新サウンドバーと台座型システム
“スタンダードクラスのシアターシステム決定版”。ソニー「HT-CT780」など3機種を折原一也が体験
■実力十分な台座タイプ「HT-XT100」
さて、バータイプではテレビラック上の設置スペースを確保できない、という人もいるだろう。そんな環境でも問題なく対応できるのが台座型デザインの2.1chシアターボード「HT-XT100」だ。
スピーカーユニットはトゥイーターとウーファーを搭載した正面向きの構造となっており、サブウーファーまでも本体下側に搭載。デジタルアンプ「S-Master」と「S-Force フロントサラウンド」も搭載している。
さらには「ClearAudio+」によるサウンドフィールドの切り替え、NFC対応のBluetoothのオーディオなどなど、エントリー向けのモデルとしては贅沢過ぎる作り。これまで紹介してきたサウンドバーと外見こそ違えど、その中身はやはりソニーのホームシアターシステムを継承する正統派なのだ。
音声入力はHDMI(ARC)に対応。テレビ側にARC対応の端子があればHDMIケーブル1本の接続で済むシンプルな設計もわかりやすい。
「HT-XT100」のサウンドも、やはり「HT-CT780」「HT-CT380」の流れを汲む、空間のスケールを正確に再現するタイプ。『ベイマックス』を観てもキャラクターの声の演技の再現性が優れているし、BGMはエネルギッシュな中域の厚みを持って再現してくれる。
部屋全体に映画の世界が広がるような没入感は予想以上で、今回のテストでは32インチの「KJ-32W700C」と組み合わせたが、50インチ以上クラスのテレビでもスケール感は十分に通用することだろう。
重低音も、さすがにサブウーファーが別筐体のタイプと比べると抑えめだが、それでもかなりのレベル。マンション暮らしなどなら十分すぎると言えるだろう。なお、本機でも内蔵サブウーファーのボリュームを独立して調整可能だ。音質面でも使い勝手でも、書斎などのプライベート空間をホームシアターにグレードアップさせるのにピッタリな製品と言えよう。
■“スタンダードクラスのホームシアターシステム決定版”
なお、同社サウンドバーには「HT-ST9」と「HT-NT3」、台座型のシアターボードには「HT-XT3」という、ハイレゾやLDAC対応の上位モデルも存在している。
それぞれについて少し紹介しておくと、「HT-ST9」は7.1ch、「HT-NT3」は2.1chのモデル。磁性流体スピーカーを採用しており、同軸スピーカーによってコンパクトサイズながらハイレゾ対応を実現した。また、新波面制御技術では新アルゴリズムを開発し、より広い音場でかつ後方にも回りこむサラウンドを実現している。
台座型の「HT-XT3」は2.1chで、ハイレゾやLDACのほか、HDCP 2.2による4Kパススルーに対応する点などが今回テストした「HT-XT100」との違い。底面のサブウーファーもHT-XT100が1基であるのに対し、HT-XT3は2基内蔵している。さらなるグレードアップを狙うなら、これら上位モデルを選択肢に入れるのもよいだろう。
今回「HT-CT780」「HT-CT380」「HT-XT100」の3機種を実際に試してみて、実売5万円以下のホームシアターでここまでのサラウンド空間再現に到達するものかと何度も驚かされた。“スタンダードクラスのホームシアターシステム決定版”と自信を持ってオススメしたい。